青い花

読書感想とか日々思う事、飼っている柴犬と猫について。

江戸城大乱

2016-03-11 07:17:49 | 日記
『江戸城大乱』(1991)は、徳川五代将軍の 座を巡る跡目争いを題材にした時代劇映画。
監督・舛田利雄。製作・高岩淡 、村上光一。企画・日下部五朗。原案・桂木薫。脚本・ 高田宏治。出演・松方弘樹、十朱幸代、 坂上忍、三浦友和、丹波哲郎、 金子信雄、十朱幸代など。

《延宝8(1680)年の春。四代将軍・徳川家綱(金田賢一)は、虚弱体質で世継ぎも出来ぬまま病いの床に就いていた。
家綱に代わり政を取り仕切る大老・酒井雅楽頭忠清(松方弘樹)は、時期将軍として家綱の次弟・綱重(神田正輝)を擁立した。大方の賛同は得たものの、尾張当主・徳川光友(金子信雄)だけは、「将軍位継承の権利は御三家にもある」と異を唱える。
剛腕の酒井に反感を持つ者は多い。三代将軍・家光の血を引く館林当主・綱吉(坂上忍)もその1人であった。綱吉は若手旗本の不平分子を集めて酒井暗殺を画策するが、彼らの動きはすべて酒井側に筒抜けだった。綱吉らは全員、堀田備中守正俊(三浦友和)によって捕縛された後、小伝馬町にて綱吉以外は打ち首となった。釈放された綱吉は、堀田相手に徳川一門に生まれたことの恨みをぶちまける。

堀田備中守正俊に綱重出迎えの大命が下る。ところが江戸への帰還中に綱重は何者かに殺されてしまい、堀田は窮地に立たされる。

綱吉の生母で、家光の側室・桂昌院(十朱幸代)は、実子の綱吉を五代将軍にと考えるのだが、酒井はこれを強硬に跳ね除ける。
酒井の理不尽な対応に激怒した桂昌院は、酒井とは最早戦うしかないと決意し、堀田に助力を求めた。実は、桂昌院と酒井の間には、綱吉の出生に関して決して口外できない秘密があったのだが…》

あえて五代将軍・綱吉の継承争いというマイナーなネタを持ってきたことは評価したい。
酒井忠清とか堀田正俊なんて映像作品ではなかなか取り上げられる人物でもないので、彼らを中心に据えて、どのような物語を作り上げたのか興味を持って鑑賞したのだが…。
如何せん切り込み方が中途半端なのである。地味でも史実に忠実に進めるか、お金をふんだんにかけて娯楽性に特化するか、どちらかにして欲しかった。

あまり知られていない地味なテーマを持ってきたがゆえに、何とか盛り上げようとして余計なエピソードを盛り込み過ぎて散漫な印象になってしまった。首を傾げたくなるような珍説がいくつも採用されているので、気が散って仕方が無い。架空の設定は最後に明かされる酒井と綱吉の隠された関係のみにしておいた方が、インパクトが大きかっただろう。

それならば、せっかく有名なテレビ俳優を多数起用しているのだから、お正月長編テレビ時代劇風に賑やかな内容にすれば良かったのかと言えば、そんな内容ならあえて劇場に足を運ぶ意味も無いわけで…。本作にも一応殺陣や爆破シーンはあるのだが、ちょっと予算不足が透けて見えるような仕上りだった。無理に劇場上映にせず、二時間ドラマとしてテレビで放映すれば良かったのではないだろうか?

将軍家の世継ぎ争いなのに、登場人物が皆あまり賢くない印象なのが残念。知力より暴力で、まるで田舎ヤクザの抗争劇である。
知略も戦略も中途半端で、登場人物たちそれぞれの背景や動機が曖昧。それもあえてぼかしているのではなく、単に構想の練り方が甘いだけというような印象だ。俳優の知名度に寄りかかった作品だと思った。

文句ばかりで終わるのは心苦しいので、最後に気に入った点を一つ挙げたい。
力強い毛筆の題字に、ギラギラした笑みを浮かべた酒井の生首が宙を飛ぶパッケージのデザインは格好良かったです。
コメント    この記事についてブログを書く
« 山猫 | トップ | ホワイトディ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿