青い花

読書感想とか日々思う事、飼っている柴犬と猫について。

『燃えよ剣』観てきました

2021-11-22 08:31:40 | 日記

先週末にようやく『燃えよ剣』を見ることができました。
本当だったら去年の五月に公開だったのですよね。公式の動きをちゃんとチェックしていないので憶測でしかありませんが、五月公開は土方歳三の誕生日と命日にかけていたのでしょうか。
それはともかく、その後コロナの影響で公開延期になってしまって。それから感染者数が増える一方で、本当に劇場で公開できるのか心配していました。なので、十月十五日に公開が決まった時はホッとしましたし、その週末には見に行くつもりでいたのです。が、予定が合わなくて、結局封切り日から一ヵ月も経ってしまったのでした。

我が家は家族全員、初めての司馬遼太郎が『燃えよ剣』だったので、この映画はどうしても家族一緒に見に行きたかったのです。読んだのは、娘が中一、私も中一か中二の時。夫は社会人になってからです。
ちなみにコロナが蔓延してから初めての映画館鑑賞となりました。
朝一の回で、公開開始から一ヶ月以上経っている割にはそこそこの客の入りで、ロビーで知り合いに声をかけられたりしました。

おうちでのんびり鑑賞もいいですが、やはり殺陣は大きなスクリーンが映えます。
私が一番見入ったのは芹沢鴨の暗殺でした。
池田屋事件とか油小路事件とか、他にもっと見栄えのする殺陣があっただろと突っ込まれそうですが、なかなか凄惨な死にざまで、芹沢鴨の強キャラ感と新選組の暗部がよく出ていたんですよ。
芹沢が酔って寝ているところを、上から襖で抑え込んで刀でブスブス刺しまくるんですけど、何が何でも此奴の息の根を止めるんだという鉄の意志を感じました。襖どかしてもまだ生きてるし、芹沢鴨ホントに怖い。正攻法では絶対に潰せる気がしません。
その少し前に芹沢の勢力を削ぐために、彼の片腕の新見錦に切腹を強要したシーンも結構なエグさでした。それも含めて芹沢ってよほどの脅威だったのだなと。
その一方で、凶暴な印象が強い芹沢が、八木家の子供たちと遊んだり、教養を伺わせるシーンも差し込まれていて、全体的に駆け足な印象だった本作品の中で、かなり丁寧に描かれている人物だと思いました。
土方から芹沢の暗殺計画を告げられた時に、沖田が「芹沢先生、かわいそうだな」とフワっとした口調で言っていましたけど、本当にかわいそうな男でしたよ。

もちろん、一番丁寧に描かれていたのは、主役の土方歳三です。
先ほど全体的に駆け足だったと言いましたが、二時間半ほどの映画の中で、新選組が発足した理由や滅んだ理由を視聴者に理解させるためには、当時の時勢を説明する必要があります。そこに関係する人物の多さを考えたら、どうしても早回しっぽくなってしまうのは仕方がありません。
それでも尺的に入れきれないエピソードは多いので、「清河八郎って誰?」くらいの知識で見ると、意味が解らないかもしれない。そこはもう、史実を扱った映画なのだから、事前にその時代の予備知識をある程度頭に入れていくべきなのだと思います。
駆け足な分、邦画にありがちなベタベタした感情の垂れ流しが少なく、最後まで倦まずに見れたので、そこはまぁいいかなと思いました。
で、土方を語る上では、彼が武州多摩の百姓だったことと、あの地域が天領だったことは欠かせません。そのために原作でも映画でも武州時代はそれなりの尺をとって描かれています。
本作中では土方と沖田総司の会話が多く、常に熱く前のめりな土方とフワっとした物腰の沖田の対比が面白くて、燃えよ剣ファンにこの二人の組み合わせが人気なのも納得できました。
土方の人生には、近藤勇も欠かせませんね。
娘が劇場前の広告を見ながら「近藤さんがめっちゃ近藤さん」と言っていましたが、ビジュアルだけじゃなく、佇まい全体が燃えよ剣の近藤勇でした。
近藤が新政府軍に投降することを決めたシーンで、腕を掴んで引き留める土方に「もう解放してほしい」と言うんですけど、あんな柔らかい口調で「トシ」と呼ばれたら、手を放してしまうよなぁと。うちの娘は、このシーンから最後までずっと泣きっぱなしでした。
近藤、土方、沖田には、彼らにしか出せない空気感があって、彼らの末路を知っている者として、最初から最後までそこに切なさを感じていました。あんなにずっと一緒だったのに、死ぬときはバラバラなんですよ。
特に一番最後まで生きた土方の胸中を思うとしんどさしかない。
近藤、沖田と死に別れて、永倉、原田といった試衛館メンバーとも袂を別って。北へ北へと転戦していくうちに、古参隊士がどんどん欠けていく。この時期の土方は、何を支えに戦っていたのでしょうか。
また芹沢の暗殺に話が戻りますが(私、芹沢好き過ぎるな)、新見を切腹に追い込む時に、土方が沖田に「新見と芹沢は、俺と近藤さんみたいなものだから」と説明するんです。
芹沢にとって、新見の喪失がどれほどのダメージになるか分かっていて、その効果を狙っているんですね。土方にとって、近藤の死は自分が死ぬより辛いことでしょうから。土方のそういうところが好きです。

あと、新選組の隊服について。
新選組といえば浅葱のダンダラが有名ですが、原田監督が「幹部クラスはダンダラを着なかった」という説を採ったそうで、黒を基調としたデザインになっていました。これが動きやすそうで格好良かったです。ダンダラを着なかった説は、子母澤寛の新選組三部作に、当時の新選組を知っている人たちの証言として載っていたと思います。
原田左之助がゲームキャラみたいに派手なビジュアルだったのはこの映画オリジナルだと思いますが、いいアクセントになっていました。

映画を見終わったら、ちょうどお昼時になっていました。
この日はテラス席でハンバーグを食べてきましたよ。


夫は和風ハンバーグセット。
写真に写っていませんが、飲み物はグレープフルーツジュースでした。


娘はチーズハンバーグセット。
飲み物は林檎ジュース。


私はアボカド添えハンバーグセット。
飲み物は柚子ソーダ。

ご飯を食べながら、燃えよ剣の感想を言い合いました。
結果、我が家では山崎烝が人気なことが判明。
監察というポジションがまず魅力的ですよね。鳥羽伏見から江戸に逃れる船上で、死期を悟った山崎が「水葬にしてください。塩漬けは嫌」と剽軽な口調で言っていたのも忘れられません。
それと、密偵の中島登が渋かった。
新選組隊士のなかで、中島はそんなに有名な人物ではないけど、彼は土方とともに蝦夷まで行って戦っています。

ご飯を食べた後は、娘がアクセサリーを見たいと言い出したので、雑貨屋に行きました。


ポニーフックとイヤリングです。


カルディでおやつも買いました。マリトッツォとその他いろいろ。
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