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しぼめる花

2008-10-06 00:26:51 | ロマン派

シューベルトの「しぼめる花」の主題による序奏と変奏は、美しく、そして演奏する音色をよく考えなくてはいけない曲です。

この曲は1826年、シューベルト26歳の時に、ヴィルヘルム・ミュラーによる「美しい水車小屋の娘」と言う20編からなる詩に曲をつけたものです。この詩集の中で、少年が水車小屋の娘に恋をし、その喜びを歌い、他の男のもとに去られ、嫉妬、失恋の悲しみ、絶望、そして死を選びます。その中の第18番目「しぼめる花」を自ら変奏し、序奏をつけたものです。

「おまえたち花はみんな、 彼女が僕にくれた花。 入れてもらおう、一緒に僕の墓の中へ。
何とおまえたちはみんな、悲しそうに僕を見るんだ?まるで僕に起ったことを知っているようじゃないか?
ああ、涙は 五月の緑を育てはしない、死んでしまった愛を再び花咲かせはしない。
それでも春はやって来て、冬は去って行くだろう、そして花が 草の中に育つだろう。
僕の墓の中に 置かれている花々、その花々はみんな、彼女が僕にくれた花だ。
そして彼女が この丘に通りかかった時、 心の中で想ってくれたなら、「あの人は誠実だった」と!
その時にはすべての花々よ、 咲き出せ、咲き出せ! 五月が来たんだ、冬が去ったんだ。」

墓の中に投げ入れられた花のイメージを表すために、はじめの主題は暗いピアニッシモで演奏されます。
それは、フレンチスタイルのフルートの音色のイメージとはまったく違います。ビブラートはかけないか、かけたとしても長い波長で、かけているかいないかわからない程度に。唇は柔らかく締めないで大き目のホールで、冬の風のような感じで、お腹の支えをしっかりし、音程は、音程範囲の中でも低い目で、でも、何より、大切なのは歌の心、その心にふさわしい音色を研究することが大切です。
後は超絶技巧をテーマにふさわしい音色で吹ききること…それが大変ですが。
死の世界のへの憧れ。テーマが若いと笑わないで、その後すぐ31歳でシューベルトは亡くなってしまったのだから。



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