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大学1年生向け経済セミナーの本

2010-09-09 06:32:10 | 
マンキュー・ハーバード大経済学教授のブログをGoogleリーダーに登録してチェックしているのですが、今年の一年生向けのセミナーの本のリストがあがっていました。かの有名なご本人の著書Principle of EconomicsとかMacroeconomicsのようなテキストはこのセミナーではあがっていません。別の授業では使っているんでしょうけど。

日本とアメリカの大学の差の大きなものに、圧倒的な読書量のちがいがあります。とくに文系は...これで1授業なんですから、全部で何冊読まないといけないんでしょう。一ヶ月に1~2冊ペースで進んで、しかもディスカッションが多いですから熟読して考える必要がでてきます。

経済学の本って、入門書と、バブル関連の本、話題になった本をつまむ、というパターンなので、体系的な知識があるとはいいがたいのです 


この順番通りに読み進めていくのだそう。なにせ一年生向けですから、自分の知識程度でもついていけるでしょう。この順番通り読んでしまおうか、と思ってるところ。

The Worldly Philosophers, by Robert Heilbronr

The Worldly Philosophers: The Lives, Times And Ideas Of The Great Economic Thinkers
Robert L. Heilbroner
Touchstone


代表的な経済学者の伝記と思想の本。世界的なベストセラーで何度も改訂を進めています。大学で読まされたハーバード・ラッセルの哲学史を思い出しちゃいました。あれの経済学版と考えればいいんでしょう。きっと。タイトルもおもしろいんですよね。Worldly Philosophers。たしかに経済学者って世俗の哲学者だ...

邦訳もでてます。ちくま学芸文庫なので手に入りやすいかも。

入門経済思想史 世俗の思想家たち (ちくま学芸文庫)
Robert L. Heilbroner,八木 甫,浮田 聡,堀岡 治男,松原 隆一郎,奥井 智之
筑摩書房



Reinventing the Bazaar: A Natural History of Markets, by John McMillan

二冊目は市場の歴史です。ジョン・マクミランはゲーム理論の大家ですが、市場メカニズムの分析も主な研究対象なのだそう。

Reinventing the Bazaar: A Natural History of Markets
John McMillan
W W Norton & Co Inc



和訳もでてます。わざわざネット取引をタイトルにいれてるのはマーケティング戦略ですかね(笑)しかし、値段を考えて、半額以下の原書を読もうと思ってます。

市場を創る―バザールからネット取引まで (叢書“制度を考える”)
John McMillan,瀧澤 弘和,木村 友二
NTT出版




Thinking Strategically, by Avinash Dixit and Barry Nalebuff

直訳すると、「戦略的に考える」戦略本ですから、ゲーム理論の本ではあるみたいですが、ありがちな数学の公式やらゲーム理論用語がならぶものではなさそう。ゲーム理論はおもしろそうだけど、数学の壁にはねかえされる身としては安心してよめるかもしれません。政治キャンペーン、野球、人種隔離制度、徴兵、制限速度、子育てなど身近な話題を使って、原則、コンセプト、ツール技術を紹介しようというもの。気楽な読み物としても読めそうです。囚人のジレンマとか、ゲーム理論の基礎は理解できるでしょう。

こちらも和訳はでていますが...高いんですよね。やはり原著を読むことにしましょう。

戦略的思考とは何か―エール大学式「ゲーム理論」の発想法
菅野 隆,嶋津 祐一
阪急コミュニケーションズ



Capitalism and Freedom, by Milton Friedman

いきなり超大物の登場。なにせこの本じたいがジョン・スチュアート・ミル『自由論』、フリードリッヒ・ハイエク『隷従への道』と並ぶ自由主義(リバタリアニズム)の三大古典の1冊。


Capitalism and Freedom
Milton Friedman,Rose D. Friedman
Univ of Chicago Pr (Tx)


とはいえ、とても読みやすいという評がAmazonにのっています。それに日本語版の以下の紹介も魅力的。

本書第2章に、政府がやる理由がない政策が14列挙されている。●農産物の買取保証価格制度●輸入関税または輸出制限●農産物の作付面積制限や原油の生産割当てなどの産出規制●家賃統制●法定の最低賃金や価格上限●細部にわたる産業規制●連邦通信委員会によるラジオとテレビの規制●現行の社会保障制度、とくに老齢・退職年金制度●事業・職業免許制度●いわゆる公営住宅および住宅建設を奨励するための補助金制度●平時の徴兵制。「自由市場にふさわしいのは、志願兵を募って雇う方式である」●国立公園●営利目的での郵便事業の法的禁止●公有公営の有料道路

徴兵制はともかくとして、これって今の日本にあてはまるんでないのっていう内容がならんでるではありませんか。このやる必要のない政策の列挙だけで読みたい気がむくむくわいてきました。

これも原書のほうが安いんですが、これは読むなら次の和訳のほうか?と思ってます。なにせ訳者が村井章子さん。翻訳だってことさえ考えずにするするっと読めそう。おもしろければ、原書は電子版を手に入れればよいでしょう。


資本主義と自由 (日経BPクラシックス)
村井 章子
日経BP社




Equality and Efficiency: The Big Tradeoff, by Arthur Okun
Equality and Efficiency: The Big Tradeoff
Arthur M. Okun
Brookings Inst Pr


直訳すると、「平等と効率」ペーパーバックになって手頃な値段で手に入るというのに、なぜか内容紹介のない本、、、古いからなんでしょう。和訳もすごく古いです。124ページなので短いです。20世紀の政治・経済の問題が非常にクリアにかかれている、と書評にはありました。古くても例は今でも通じるらしい。政府や社会はどの程度、経済的平等を追求すべきか、リベラルも保守主義も直面しないといけないトレードオフ(平等と効率のことなんでしょう)などが書かれているということ。 サンプルページをきちんと読めば、おおまかな内容はわかるかな???


Nudge, by Richard Thaler and Cass Sunstein

Nudge
Christoph Bausum
Ullstein Taschenbuchvlg.


入門的とはいえ学術書っぽいのが並んだかと思うと、いきなりベストセラーがきました。実際の行動の観察を重視する行動経済学はたぶん、とっつきやすいのでしょう。行動経済学の入門書としておすすめらしい。原書のタイトルもいいですよね。おい、こんなのでいいのか、という合図に人をひじでつつく、っていうのは内容にぴったりに思えます。


和訳もでてます、が、あんまり評判はよくありません。値段を考えても原書ですね。

実践 行動経済学 健康、富、幸福への聡明な選択
遠藤 真美
日経BP社




How the Economy Works, by Roger E.A. Farmer

How the Economy Works: Confidence, Crashes and Self-Fulfilling Prophecies
Roger E. A. Farmer
Oxford Univ Pr (T)


これは今年の春でたばかりの新しい本です。現在の経済危機について、専門用語をつかわずに経済学者が説明した本、ということです。20世紀初頭以来の古典派経済学とケインズ経済学とのあいだをいったりきたりする動き、大恐慌(古典経済学とケインズの両方で説明)、1970年代の新古典派経済学、ケインズ経済学からは資本主義には何らかのガイダンスが必要であるという原則を紹介、自由市場経済のいきすぎを修正しながらも、起業家精神を損なわず、中央政府指令型の計画経済に陥らない方法などなどが書かれているそう。今の経済の状況を知るにはよさげです。




長すぎて投稿できませんでした。次回に続きます。

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