声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

シュールな手術

2022-04-08 22:17:00 | Diary
「明日が楽しみですね」

と手術準備室で待つ間に看護師から声をかけられた。

「強い近視が弱い近視に改善されますよ」

「近くのモノが見えやすくなると生活も楽になりますよ」


それを聞いて少し気分が良くなった…

小学校の低学年から視力が弱くなり
中学校を卒業する頃には0.1以下で、

成人してからもメガネとコンタクトレンズ無しでは何もできないし、

最近では老眼も加わってますます見えづらくなった。

たまたま硝子体出血で、この眼科に飛び込んだ際の診察で初期の白内障が見つかった。
「手術するなら早い方がいい、目の疲れも軽減されますよ」

と勧められて今日を迎えた。


手術台は、歯科の診察台のような椅子で
眼の周りをピタッとしたゴム製のカバーのようなモノで覆われ、

瞬きをしないように上下の瞼をテープでしっかり固定される。

カッと見開いた眼で眩しいほどのライトを見つめるように言われ

その1点をジッと見たままで行われるのだが、
途中の作業は、かなりシュールだ。

シュルシュル、ピュルピュル、チルチルと不思議な音がする…

それに続いて英語で女声のAIボイスが聞こえた。

まるで、
スタンリー・キューブリックの映画のワンシーンのようだ。

《時計じかけのオレンジ》を思い出した。

後で看護師に訊くと

妙な音は、濁った水晶体の中の液を抜く時の音らしい…

まるで前衛音楽のような不思議なBGMだった。

局部麻酔をしているが、時おりチクッとする感覚もあった。

恐らく、3ミリの切れ目を入れた時の痛みだろう、

一旦全て水晶体の中身を吸い出して、
それから何かの数値を測るために上部の赤い光りを見るように言われた。

赤い光は少しずれて見えたが、

その後で眼内レンズを装着する際に

「15、15…」と執刀医がそばの助手に伝えていた。

眼内レンズのサイズだろうか?

レンズが入ってきた直後に何か異物が目の前を覆ったような感触があったが、

その後に再び上部の赤い光を見るように言われた際は、
一瞬だったがクッキリと見えた…と思った。

10分程度で終わると思ったが、
私には、とても長く感じた。

手術が終わって外に出ると顔の半分を大きな白い絆創膏で覆った私の顔を見るなり、

「大袈裟だな」
と夫が言った。

そして車の助手席に乗った私に

「対向車から見ると、怖いだろうなぁ」と笑った。

私はスタンリー・キューブリックの世界観に通じるような貴重な体験をしたことを自慢したが、

たぶん夫には理解できないだろうし、
同じ体験をしたくはないだろう。

明日は、
またデマンドバスで通院する。

そして眼科医院まで、この白い絆創膏のままで1.4キロの道を歩くのだ。

帽子が必要だな。

帰宅するとHalは、待ちかねていたようにすぐに出てきた。

良い子で留守番ができたようだ。

よかった。










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眼科2F待合室

2022-04-08 21:24:00 | Diary
義母の付き添いで来た時には
こんな面倒くさい事をやったかなぁ…

と思うほど、
術前の目薬の点眼回数の多さと言ったら…

10分ごとに差すのが1種類、
それを差し終えると2分ごとに差すのが2種類。

看護師の説明に従ってはいるが
同時に6名の患者が点眼するので多少はズレてくる。

その6名のほとんどが私より10歳くらい年上に見える人たちで、

これまでにメガネをかけた事のない人ばかりらしく、
術後1ヶ月間は保護メガネが必要と聞きビックリする人もいて、

慌てて医院の推奨する保護メガネのサイズを合わせ始めた。

白内障手術の待合室は、
今までに私が経験した手術前の雰囲気と比べると、和気あいあいとして明るく
深刻さが全く感じられない。

恐らく患者の殆どが
既に白濁などの症状が出ているのだろうか、

私のように
白内障の症状は軽くても、強度の近視が原因で目が疲れるというワケではなさそうだ。

ひと通りの説明が終わった後で、
看護師が
「ご質問がある方は?」
と聞いた途端に、

後ろに座っていた夫が「ハイ!」
と手を挙げた。

イヤ〜な予感がした。

「なんで付き添いが必要なんですか?」

と…。

(あぁ、またバカなことを…)

看護師には、
思いがけない質問だったらしく
半ば呆れたように薄笑いを浮かべながら

「当院の方針なんです」とひとこと告げた。

(~_~;)

夫には直前に説明してはいるが、
その際にも

「眼科の手術に付き添いは不要だろう、だいいち失敗したってオレなんにもできないんだから」

と不服そうに答えたのだ。

これまで、過去に受けた手術では、

「万が一って事があるしなぁ…これで最後ってこともあるし」

と、文句を言わずに付添いをしてきたが、今回ばかりは納得できないらしい。

 死ぬ心配のない日帰り手術には付添い不要だと言うのが夫の言い分なのだ。

どうやら歯の治療と変わらないぐらいの認識しかないらしい。

それと、もう一つ、
付添いを渋る理由はHalだ。

Halが1匹で留守番している事も気になっているのだ。

このところHalは頻尿の症状が出てきて長時間の留守番ができなくなっている…

私だって、それは心配だ。

心配だが、
今は目の手術も気になる。

血圧も下が100を越えてしまった…

コレは多分、夫が変な質問をしたせいだ。







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デマンドバスに乗って

2022-04-08 18:56:00 | Diary
運転禁止の今日はデマンドバスに乗って眼科医院に行く。

…と言っても、
デマンドバスの到着地は、眼科医院から1.4キロ手前のスーパーまでだが…。


昨夕、電話で予約したものの果たして遅れずに来てくれるのだろうか…と心配していたが、
予約した11:28にピッタシやってきた。

初めて乗るデマンドバスは、
ミニバンをちょっとだけ大きくしたような10人乗り?のマイクロバスで乗車口は左手1箇所だ。

「料金は先払いですか?」と尋ねると
「どっちでもいいですよ」とのこと。

運転手の顔はビニールに遮られて見えないが、声の感じから70代半ばだろうか、
白髪混じりの頭が見える。

乗った時点では客は私1人、

「スーパー◯◯までですね」と念を押され、
「はい、お願いします。何分ぐらいかかりますか?」
と訊くと、

「乗り継ぎですか?」
と聞き返された。

「いえ、そこから歩いて眼科に行くので」

そう答えると

「あぁ、◯◯眼科ですね!けっこう歩くことになるね」

と、答えたと言うことは…

私と同じパターンの乗客を何度も乗せているということだ。

「白内障ですか?」
と訊かれ
「はい、これから手術なんです」
と、話すと

「それじゃぁ運転できないものねぇ…あちこち廻って行くけど12時までには着けるでしょう」

と答える運転手、

その言葉どおり、通常なら5分程度で着く近所の自治会館に大廻りして到着。

しばらく待っていると、
道路を隔てた工務店の方から年配の女性が出てきて慣れた様子で乗ってきた。

どうやら常連客のようだ。

走り始めて、すぐに運転手が
「Kさん、4月からバス停が変わったからね、次からはT医院の前になるよ」

と私の斜め後ろの席に座った常連客に声をかけた。
「あら、遠くなるんだね」

と残念そうに答えたそのT医院とは、3月の初めに私が3回目のワクチンを打った所だ。

バスはT医院の十字路を左折して、
またもや住宅街の狭い道をぐるぐると廻りながら走る…

「アレ?1本間違えたかなぁ」

と運転手が独り言のように言っている…

「あっ、ここでいいですよ」

と答えた常連客のKさんが運転手に声をかけた。

それをわざと無視してか、
バスは住宅街のカーブを大きく廻って住宅街の角でゆっくりと止まった。

右の家には「K」という表札が見える。
梟の置物が門の上に乗っかった立派な和風の家だ。

親切な運転手さんは、
Kさんの家の玄関前で止まったようだ。

バスがKさんを下ろすと、
また乗客は私1人だけになった。

いつもはマイカーで通っている道だが、1本入った住宅街は、どれも初めて見る景色ばかりで新鮮だ。

菜の花とイエローと桜のピンクのコントラストが目を楽しませてくれる。

たまにはデマンドバスも良いかもね。




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