YB&YBRダイアリー

中国ヤマハのYB125SPとYBR125でバイクライフを満喫するブログ
(自己責任を伴う整備・改造を多く含んでいます)

強化クラッチに変えた

2018年05月13日 | YB125SP改造

 曇りのち雨の天気予報なのでツーリングには行かずに、前か
ら構想していた我がYB125SPのクラッチ強化を実行してみたよ。
今まで臨時でクラッチスプリングにシムを入れた疑似強化で過
ごしていたが、先週のクラッチ交換お手伝いで道具も感覚も残
っているのだ。

随分前に輸入しておいた強化クラッチセットで、これに変えると
クラッチプレートとフリクションプレートが1枚ずつ増えて、
高負荷に耐えられるようになる。

補修用のクラッチプレート・フリクションプレートは中国ホンダ
のCG150用が流用可能で、他にフリクションプレートだけは
YB/YBR/YX/XTZ125系やCG125用、日本国内ではAPEと同じ
大きさなら使える。
また建設社のJS125用もこれらと共通寸法仕様だよ。

 単体だと差を判断しにくいプレッシャープレートとクラッチボ
スの厚さの差。

入手した物に誤納納品が無いか、実測確認しておくと良い。
(端のため、測定値に誤差は生じるけれどプレッシャープレート
は0.9㎜差、ボスは0.8㎜差がある)

なお純正4枚型と強化5枚型の互換性はフリクションプレートと
スプリングボルトだけなので、作業中に互いが混ざったり面倒
になってクラッチボスだけ純正を残して他を強化品に換える等の
作業をすると動作不良を起こす。
各部寸法(厚み)には意味があるのだ。

 詳しい作業手順書を書くつもりは無いので、要点だけ書き散ら
すよ。
まず、入手したセットをいったんばらしてから、クラッチボスと
プレッシャープレートの各部を観察してバリを
取る作業をする。
これをやらないと、場合によってはクラッチの入り切り動作が
円滑にならなくなり切り切れない、または繋がりきれない現象が
起きる可能性がある。
ひと手間かける事で後から再度開けて作業しなくて済む。
カッターや目の細かいヤスリなどで丁寧にバリを取り除いて
から洗浄しておくと良い。

ステップが邪魔なので一時的に外してよけておく。

これでクラッチカバーが外しやすくなるのだ。

カバー固定ボルトなどは付いてた順番に並べると良い。

3種類の長さがあるから、その辺にポイと置くと後でどこだっけ?
て悩んでしまう。w

エンジンオイルは前日に抜いておいた。

少し残ってる分が垂れるから、下に養生しないと地面が油だらけ
になってしまうのだ。

開けたついでにオイルストレーナーを確認。

ストレーナーにゴミが溜まっていたら掃除して戻すと良い。
方向に注意。

クラッチスプリングボルトを外して各クラッチ板をまとめて抜く。

これが今後、5枚仕様に変わるのだ。

スチールボールに注意。

穴の中のスチールボールをうっかり無くすとクラッチ機能が動作
しなくなるので、奥にでも押し戻しておく。

強化クラッチセットのスプリング。

左が純正で右が強化版。
強化セットのスプリングは線径が太くて少しだけ短い。

ちょっと実験してみた。

強化クラッチセットの中身だけ組んでみたけれど、噛み合わせの
突起が浅くて機能しない。
やはりセット全部を交換しないと寸法が合わないのだ。

ロックワッシャーを起こす。

マイナスドライバーを叩きこんだり色々工夫して曲げ戻すのだ。

ナットが回る程度まで平らにすればヨシ。

強化クラッチに交換する時は、この工具が必要だよ。

ウオーターポンププライヤーとクラッチホルダー。
共に安物で十分で輸入工具屋さんや通販で入手可能。
某XTZ125愛用者さんはアストロプロダクツのAP M/Cクラッチ
ロックプライヤーをご愛用で、何度も作業しているところを見る
と、けっこう使いやすいみたいだ。

クラッチボスを外す。

19mmのナットはきつく締まってるから、柄の長い工具が有利。

ボスの裏側、つまりプライマリードリブンギアの表に厚手のワッ
シャーがあるはず。

ポロっと落として組む時に入れていないと重大故障の原因になる。

強化セットのクラッチボスを組んだらロックワッシャーとナット
を仮組する。

ナットの指定トルクは60Nmなんだけど、どうもこれがかなり
きつい。
脱脂してトルクを探りながら調べた結果、40Nmもあれば十分な
トルクだと判明した。
実は他の誰かが思い切り締めてシャフトを折ってしまって、
廃車になった経緯を知ってるので、怖くて指定トルクに出来ない
のだ。
40Nmでもロックワッシャーが緩み止めになるから、自己責任で
この値に決定したよ。

固定ナットを本締めする。(俺は40Nmにした)

クラッチホルダーの柄が短くて固定できないから、延長パイプ
を事前に用意した方が良いだろう。
使ったのはホムセンの組み立て家具、ヤザキのイレクターパイプ
で、直径28mm、長さ450mm物。(198円くらい)
端に埋め込み蓋(38円)を入れると様になる。w

ロックワッシャーを曲げる。



ウオーターポンププライヤーが一番使いやすい。

プレート類を組んでみた。

凸凹の深さもこれなら問題なし。

クラッチプレートを組む時は裏表に注意。

プレス加工のエッシが立ってる側(端が鋭くなってる)を表にして
装着する。ヤスリで全部の端をバリ取りの要領で滑らかにするなら
裏表が気にしなくて済むけれど、面倒だからなあ。

純正のアジャスターボルト・アジャスタースクリュー(プッシュ
ロッド)などを強化プレッシャープレートに移しておき、組む前
にアジャスターは緩めにセットしておく。

スプリングボルトの指定トルクは6Nm。

適当なアルミ板をギアに噛ませて回り止めするか、クラッチクラ
ウンを手で押さえながら締める。
むやみに締めすぎてナメてしまって終了した人も居るから、かなり
重要な作業だ。

クラッチ調整。

ロックナットを緩めてからアジャスタースクリューを回して、
切り位置を決定するのだ。

クラッチレバーを軽く握って遊びが無くなる場所、つまり切れ
始めの時に上の凸部と下のリターンスプリングの引っ掛け溝が
一致する付近が適正位置になるようにアジャスタースクリューを
調整する。
後からゼファー750純正クラッチケーブルを流用する予定があるな
ら、この機会に溝位置よりわずか約2mm程度右側に凸部をセッ
トすると、純正も流用もケーブル自体の遊び調整機構の範囲に
収まる。
アジャスタースクリューを何度か調整して、位置決めしたら
ロックナットを仮に締めこむ。
そして今度はクラッチレバーをしっかり握るとクラッチ板が離れ
る動作を目視確認できるはず。

ロックナットの指定トルクは8Nm。 この調整を後からやり直
すには、再度オイルを抜いてカバーを外す必要があるので、ちゃ
んと追い込んだ方が良い。
作業忘れが無いか確認後、クラッチカバーを組み付ける。

位置決め用ダウエルピンは2か所ある。

これも知らずに脱落させて、後から地面に転がってるのを発見し
ても、また開けなければならないので注意。

クラッチカバー内のオイルシール。

もしもこのオイルシールが破れなど破損していたら、TT-R125
用の部品番号で入手できるから交換すれば良い。
実は中国人工員がいい加減な作業で無理やり押し込んで、オイル
シールを壊した車体が何体か出回っているのだ。w

 オイルシール破損の一例。


 オイルシールから外れたスプリングバンド。

クラッチカバーを外して中を見た時にクランク軸の先端
にこんなバンドが引っかかっていたら、オイルシール破損
が原因なのでTT-R125の同型部品を購入して交換するべき
である。
エンジン全体へのオイル圧送に関係するオイルシールな
ので、オイル圧の低下の原因になって故障を起こす可能性
があるのだ。 

カバーを装着する時は、オイルシールとシャフトを合わせる
ようにしながら真っ直ぐ押すのがコツ。

ダウエルピンと共に位置は決定される。
クラッチカバーとセルモーターのボルトの指定トルクは10Nm。

後のアース線も忘れずに共締めしておく事。

後は外したステップを組んでから、新品のエンジンオイルを投入。

 以上が大まかな注意点で、もしも不慣れならば必ずパーツカタ
ログや2005年式YBRのサービスマニュアルを良く見て、構造と
作業要領を理解してから行ってください。
このページだけで出来るのは他の車種でのクラッチ分解経験者だけ
だと思うよ。

 XTZ125Eで強化クラッチ化している作業動画があるので、合わ
せて見ると良いだろう。
https://www.youtube.com/watch?v=0QpbRNE-hm8

 さて、作業が終わってひと回りしてきたら違いに驚いたよ。
スパッとクラッチがつながるし、走り始めの押し出し感が臨時の
クラッチ強化小細工よりもハッキリしている。
ボアアップ等した時は効果絶大だと思われるし、強化クラッチ化
は体感できる改造だと思う。
特に大荷物なキャンピングやアドベンチャー系改造には有利だと
思うね~。

 残念な事に雨が降り出して、本日のおバイクいじりは終了。
有意義な休日であった。



15 コメント

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Unknown (ムネカ)
2019-05-31 18:51:57
クラッチ交換の参考にさせて頂きました。
質問なんですが、クラッチ内のオイルシールを破損させるとどの様な不具合が出てしまうのでしょうか?
また、オイルシールの先はどこに繋がっているのでしょうか?
返信する
Unknown (雷太)
2019-05-31 20:59:24
例のオイルシールはクラッチカバー経由でオイルポンプからシール介してフィルターローター経由でクランク軸ベアリングや周辺ギアなどにオイルが圧送されます。
つまりここが破損して漏れているとクランク周辺への油圧が低下するので、すぐに不具合は出ないにしても設計外の状態なので、長期的に見ると潤滑と冷却に不利ですね。
幸い、このオイルシールは国内で入手可能な物なので、破損を発見したら交換で済みます。
重要なオイルシール機能という事は間違いないと思っています。
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Unknown (ムネカ)
2019-05-31 23:00:58
返答ありがとうございます。
先日、クラッチ交換した後、原因不明の充電不足が発生しており、レギュレートレクチファイアかジェネレータかと考えていて、オイルシールの軸が反対側のジェネレータと同じなので関係有るのかと思って質問させてもらいました。
イグニッションをonにするとタコメーターが動いたり。謎です。
返信する
アース線忘れか? (雷太)
2019-06-01 01:10:42
クラッチカバーの左端のボルトに黒いアース配線があるはずですが、組み立て時に元のようにカバーボルトと共締めしましたか?
クラッチ交換作業で電気に関係する部品はココだけです。
このページ内の写真をよく見るとアース線の位置が分かるはずです。
返信する
Unknown (ムネカ)
2019-06-01 15:16:13
アース線は元通り共締めしているので大丈夫です。セルスターターは元々外していません。とりあえず頑張ってみます。
ありがとうございました。
今後も興味深いblog楽しみにしています。当方白色のyb125sp乗りです。
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Unknown (雷太)
2019-06-01 18:35:33
判断が難しいタイミングの故障ですね。
ただし過去にアース線を付け忘れて始動行為を行った事があるなら、メインハーネス内の細いアース線に過負荷がかかって切れるパターンもあるようです。
とにかくどこかに接触不良が起きていないか、色々確認してみてください。
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Unknown (ムネカ)
2019-06-01 19:35:27
ありがとうございます。
とりあえず、充電不足は無視してエンジンをかけようとジャンプさせてセルモーターを回そうとするとバッテリー辺りから『ジジジ』と音がしすことがわかりました。怖いのですぐにスターターを離しましたが、何でしょう?
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Unknown (ムネカ)
2019-06-01 19:40:59
書き忘れましが、スターターリレーの所のヒューズは切れていません。押しかけではちゃんとエンジンかかります。何となくスターターリレーが怪しくなってきました。
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Unknown (雷太)
2019-06-01 19:52:34
スターター系統ですね。
リレーの内部接点が劣化すると起きる症状ですが、一応バッテリー端子とリレーの太い配線端子のネジ止めが緩んでいないか確認してください。
緩んでも同様な症状が起きます。
一回緩めてからまた締めこむ接触回復作業も行ってみてください。
これでダメならリレー交換でしょう。
返信する
Unknown (ムネカ)
2019-06-06 23:02:03
丁寧な返信と回答ありがとうございます。
先日、スターターリレー(同型のホンダVFR400用)が届きを交換しましたが、改善されず、セルモーターは回りせんでした。
前のブログ記事を参考に暗電流を調べて電気の漏れもないので、レギュレートレクチファイア不具合もなさそうです。
セルモーターは単品でバッテリーから直接繋いで動作確認したらちゃんと動きます。相変わらず押しがけならO.K.です。
YBを買ったときにバイク屋さんにもらった配線図と雷太さんの配線図をにらめっこしながら、何かしらヒントはないかと見てて、クラッチのところの逆流防止ダイオードは関係が低いでしょうか?どこにあるのかもまだ探せていませんが。やれるとこまでやってみてダメだったらバイク屋さんに白旗上げに行きます。長々とすみませんでした。
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