万葉集ブログ・1 まんえふしふ 巻一~巻八

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0572 沙弥満誓

2007-07-26 | 巻四 相聞
大宰帥大伴卿上京之後沙弥満誓贈卿歌二首

真十鏡 見不飽君尓 所贈哉 旦夕尓 左備乍将居

まそ鏡 見飽かぬ君に 後れてや 朝夕(あしたゆふへ)に さびつつ居(を)らむ


太宰帥・大伴(旅人)卿が上京した後、沙彌滿誓が(大伴)卿に贈る歌二首

「“まそ鏡”私が憧れる大伴旅人卿。(旅人卿は上京され)私は(大宰府に)残りました。(私は)朝な夕なに、寂しく過ごしています」

0571 大伴四綱

2007-07-25 | 巻四 相聞
月夜吉 河音清之 率此間 行毛不去毛 遊而将歸

月夜(つくよ)よし 川の音清し いざここに 行くも行かぬも 遊びて行かむ

右一首防人佑大伴四綱


「月の夜が美しい。川の音も清らかに。今ここに、(都に)行く者も行かぬ者も、(今宵は)遊んで行きましょう」

右の一首は、防人佑・大伴四綱

●防人佑(さきもりのすけ):大宰府(だざいふ)の役所の一つ 防人を監督する防人司(さきもりのつかさ)の次官


0570 麻田陽春

2007-07-24 | 巻四 相聞
山跡邊 君之立日乃 近付者 野立鹿毛 動而曽鳴

大和へに 君が発つ日の 近づけば 野に立つ鹿も 響(とよ)めてぞ鳴く

右二首大典麻田連陽春


「大和方面に、あなたが発つ日が、近づいてきます。野に現れるシカも、(別れを惜しんで声を)響かせて啼いています」

右の二首は、大典・麻田連陽春

0569 麻田陽春

2007-07-23 | 巻四 相聞
辛人之 衣染云 紫之 情尓染而 所念鴨

韓人(からひと)の 衣染むといふ 紫の 心に染みて 思ほゆるかも


「朝鮮の人が、衣を染める、“紫の”(あなたが私の)心に染み込んで、(いつもあなたのことを)思っています」

●紫:ムラサキの根で染めた色(紫色)

0568 門部石足

2007-07-22 | 巻四 相聞
大宰帥大伴卿被任大納言臨入京之時府官人等餞卿筑前國蘆城驛家歌四首

三埼廻之 荒礒尓縁 五百重浪 立毛居毛 我念流吉美

み崎廻(み)の 荒磯(ありそ)に寄する 五百重波(いほへなみ) 立ちても居ても 我(あ)が思へる君

右一首筑前掾門部連石足


太宰帥・大伴(旅人)卿が大納言に任ぜられ、京に臨入しようとする時。府の官人等が、卿を筑前国の蘆城(あしき)の駅家にて餞(はなむけ)とする歌四首

「岬めぐりの、荒磯に寄せる、幾重の波のように。立っていても座っていても、私が思う君よ」

右の一首は、筑前国の掾(じょう)・門部連石足

●掾:律令制で国司の第三等官