万葉集ブログ・1 まんえふしふ 巻一~巻八

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1307 柿本人麻呂歌集

2009-07-31 | 巻七 比喩歌
寄川

従此川 船可行 雖在 渡瀬別 守人有

この川ゆ 舟は行くべく ありといへど 渡り瀬ごとに 守(も)る人のありて


川に寄せる

「この川は、舟で(渡って)行けるよ、と(人は)言うが、渡し場ごとに、番人の姿があるではないか(それだと妻の元に行かれない)」

1306 柿本人麻呂歌集

2009-07-30 | 巻七 比喩歌
寄花

是山 黄葉下 花矣我 小端見 反戀

この山の 黄葉(もみち)が下の 花を我れ はつはつに見て なほ恋ひにけり


花に寄せる

「この山の、もみじの葉の下にて、花を(見た)僕。ちらっと見ただけで、一層忘れられなくなりました」

1305 柿本人麻呂歌集

2009-07-29 | 巻七 比喩歌
雖見不飽 人國山 木葉 己心 名著念

見れど飽かぬ 人国山(ひとくにやま)の 木の葉をし 我が心から なつかしみ思ふ


「いつ見ても満足する、人国山の、木の葉を、僕は心からいとおしく思うよ」

●人国山:所在地不明

1304 柿本人麻呂歌集

2009-07-28 | 巻七 比喩歌
寄木

天雲 棚引山 隠在 吾下心 木葉知

天雲の たなびく山の 隠りたる 我(あ)が下心 木(こ)の葉知るらむ


木に寄せる

「“天雲の”棚引く山のように、隠された、僕の心の奥は、木の葉だけが知っている」

1303 柿本人麻呂歌集

2009-07-27 | 巻七 比喩歌
潜為 海子雖告 海神 心不得 所見不云

潜きする 海人は告れども 海神の 心し得ねば 見ゆといはなくに


「(海底深く)潜水する、海の男は(何度も真珠が欲しいと)口に出して言っているが、“海神の”許しが得られずにいてか、(真珠はまだ)見つかってはいないようだ」

(あの男は、海に潜って、惚れた女をゲットしようと頑張ってるが、頑固親父から全く許しを得られてないようだぜ。あいつに女なんて絶対ムリ無理!)