万葉集ブログ・1 まんえふしふ 巻一~巻八

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1663 大伴家持

2010-07-22 | 巻八 冬相聞
大伴宿祢家持歌一首

沫雪乃 庭尓零敷 寒夜乎 手枕不纒 一香聞将宿

淡雪の 庭に降り敷き 寒き夜を 手枕まかず ひとりかも寝む


大伴宿祢家持の歌一首

「淡雪が、庭に降っては敷き詰める、寒い夜。(私は妻の)腕を取ることもなく、独りで寝るのか」

1662 田村大嬢

2010-07-21 | 巻八 冬相聞
大伴田村大娘与妹坂上大娘歌一首

沫雪之 可消物乎 至今尓 流經者 妹尓相曽

淡雪の 消ぬべきものを 今までに 流らへぬるは 妹に逢はむとぞ


大伴田村大娘が、(異母)妹・坂上大娘に与える歌一首

「淡雪が、消えてしまうように(私もこの世から消えたかった)。(だのに)今まで、流されて(生きて)きたのは、(可愛い異母)妹に会いたいがためでした」

1661 紀少鹿女郎

2010-07-20 | 巻八 冬相聞
紀少鹿女郎歌一首

久方乃 月夜乎清美 梅花 心開而 吾念有公

久方の 月夜を清み 梅の花 心開(こころひら)けて 我(あ)が思へる君


紀少鹿女郎、歌一首

「“久方の”月夜が清らかなので、ウメの花が(開花するように)、心を開きますわ。私が愛するあなた」

1660 大伴駿河麻呂

2010-07-19 | 巻八 冬相聞
大伴宿祢駿河麻呂歌一首

梅花 令落冬風 音耳 聞之吾妹乎 見良久志吉裳

梅の花 散らすあらしの 音のみに 聞きし我妹を 見らくしよしも


大伴宿祢駿河麻呂、歌一首

「ウメの花を、散らすほどの暴風雨だ。(屋敷にこもって、嵐の)音だけを聞いて(怖がっているであろう)僕の妻を、(訪ねて)見てあげたいがその手段がない」

1659 他田広津娘子

2010-07-18 | 巻八 冬相聞
他田廣津娘子歌一首

真木乃於尓 零置有雪乃 敷布毛 所念可聞 佐夜問吾背

真木の上に 降り置ける雪の しくしくも 思ほゆるかも さ夜問へ我が背


他田広津娘子、歌一首

「立派なヒノキの上に、降り積もる雪のように。しきりに、(夫のことを)思っています。今夜、妻問いしてください、私のあなた」