0761 坂上郎女 2008-01-31 | 巻四 相聞 早河之 湍尓居鳥之 縁乎奈弥 念而有師 吾兒羽裳□怜 早川の 瀬に居る鳥の よしをなみ 思ひてありし 我が子はもあはれ 「“早川の”浅瀬にいる鳥のように、心許なげな娘。(母はいつもあなたたちを)思っています。我が子が(一番に)愛しいのです」
0760 坂上郎女 2008-01-30 | 巻四 相聞 大伴坂上郎女従竹田庄贈女子大嬢歌二首 打渡 竹田之原尓 鳴鶴之 間無時無 吾戀良久波 うち渡す 武田(たけた)の原に 鳴く鶴の 間なく時なし 我(あ)が恋ふらくは 大伴坂上郎女が、竹田庄(たけだのたどころ)より女子(むすめ)の大嬢に贈る歌二首 「遠くまで見渡せる、竹田の原に、ツルの鳴き声は、絶え間ない。いつも(娘らを)案じていますよ」
0759 田村大嬢 2008-01-29 | 巻四 相聞 何 時尓加妹乎 牟具良布能 穢屋戸尓 入将座 いかならむ 時にか妹を 葎生(むぐらふ)の 汚なきやどに 入りいませてむ 右田村大嬢坂上大嬢並是右大辨大伴宿奈麻呂卿之女也 卿居田村里号曰田村大嬢 但妹坂上大嬢者母居坂上里 仍曰坂上大嬢 于時姉妹諮問以歌贈答 「いつになれば、(恋に悩む)いもうとを、(庭中に)カナムグラが茂る、この古ぼけた自宅に、招待することができるでしょう」 右は、田村大嬢と坂上大嬢は、右大弁・大伴宿奈麻呂卿の娘(異母姉妹)である。(田村大嬢は)大伴(宿奈麻呂)卿(が住む)田村の里に居住し、号(な)を田村大嬢という。一方、(異母)妹・坂上大嬢は、実母が住む坂上の里に居住し、因みに(号を)坂上大嬢という。ある時、姉(田村大嬢)が妹たち(坂上大嬢・坂上二嬢)を訪問した際、(姉は妹たちへ)短歌を贈答した
0758 田村大嬢 2008-01-28 | 巻四 相聞 白雲之 多奈引山之 高々二 吾念妹乎 将見因毛我母 白雲の たなびく山の 高々に 我が思ふ妹を 見むよしもがも 「“白雲の”たなびく山のように、高々に、(家持さまに会いたいと)願ういもうとに、(異母姉の私が)訪問する機会はないのかしら」
0757 田村大嬢 2008-01-27 | 巻四 相聞 遠有者 和備而毛有乎 里近 有常聞乍 不見之為便奈沙 遠くあらば わびてもあらむを 里近く ありと聞きつつ 見ぬがすべなさ 「遠くに住んでいれば、寂しくても我慢ができます。しかし(家持さまが)近所に、いると聞きながらも、会う手段がないとは(あなたも)なす術もなく切ないですね」