1399 作者未詳

百傳　八十之嶋廻乎　榜船尓　乗尓志情　忘不得裳

百伝（ももづた）ふ　八十（やそ）の島廻（しまみ）を　漕ぐ舟に　乗りにし心　忘れかねつも

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「“百伝ふ”無数の島を回るため。漕ぐ舟に、乗ったときの（楽しい）心は、忘れられないよ」

1398 作者未詳

寄船

神樂聲浪乃　四賀津之浦能　船乗尓　乗西意　常不所忘

楽浪（ささなみ）の　志賀津（しがつ）の浦の　舟乗りに　乗りにし心　常忘（つねわす）らえず

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船に寄せる

「“楽浪の”志賀津の入り江で、舟に乗った。そのときの（楽しい）心は、未だに忘れられない」

1397 作者未詳

荒礒超　浪者恐　然為蟹　海之玉藻之　憎者不有手

荒礒越（ありそこ）す　波は畏（かしこ）し　しかすがに　海の玉藻の　憎くはあらずて

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「岩石だらけの海岸に、荒波が打ち寄せてちょとヤバイ。まあそうなのだが、海（を漂う）きれいな藻まで、キライなわけではない」

1396 作者未詳

紫之　名高浦乃　名告藻之　於礒将靡　時待吾乎

紫の　名高の浦の　なのりその　礒に靡かむ　時待つ我れを

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「“紫の”（ムラサキで名高い）名高の入り江の、“なのりその”（ホンダワラが）磯になびく、その時を待つ私です」

●紫：ムラサキ

●なのりそ（莫告藻）：ホンダワラ

1395 作者未詳

奥浪　依流荒礒之　名告藻者　心中尓　疾跡成有

沖つ波　寄する荒礒の　なのりそは　心のうちに　障（つつ）みとなれり

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「“沖つ波”打ち寄せる海岸の、ホンダワラは、心の中で、障害となってしまった」