0181 舎人 2006-06-30 | 巻二 挽歌 御立為之 嶋之荒礒乎 今見者 不生有之草 生尓来鴨 み立たしの 島の荒礒を 今見れば 生(お)ひざりし草 生(お)ひにけるかも 「(草壁皇子さまが)お立ちになられた、島の水辺。今見れば、(皇子さまの生前には)生えていなかった草が、茂ってきたようだ」
0180 舎人 2006-06-29 | 巻二 挽歌 御立為之 嶋乎母家跡 住鳥毛 荒備勿行 年替左右 み立たしの 島をも家と 棲む鳥も 荒びな行きそ 年かはるまで 「(草壁皇子さまが)お立ちになられた、島を棲み処とする、水鳥よ。荒んだ(心の)ままで飛んでゆくな。(せめて)年が変わるまでは」
0179 舎人 2006-06-28 | 巻二 挽歌 橘之 嶋宮尓者 不飽鴨 佐田乃岡邊尓 侍宿為尓徃 橘の 嶋(しま)の宮には 飽かぬかも 佐田の岡辺に 侍宿(とのい)しに行く 「タチバナ(が咲く)、島の宮殿(に出仕する)だけでは、不満足だ。(私は)佐田の岡辺まで、お仕えにあがるのだ」
0178 舎人 2006-06-27 | 巻二 挽歌 御立為之 嶋乎見時 庭多泉 流涙 止曽金鶴 み立たしの 島を見る時 にはたづみ 流るる涙(なみた) 止めぞかねつる 「(草壁皇子さまが)立たれた島を見る。流れる涙は止められない」
0177 舎人 2006-06-26 | 巻二 挽歌 朝日弖流 佐太乃岡邊尓 群居乍 吾等哭涙 息時毛無 朝日照る 佐田の岡辺に 群れ居つつ 我が泣く涙(なみた) やむ時もなし 「朝日が照らす、佐田の丘辺に、皆が集まって(泣きました)。私の涙は、止まりません」