0334 大伴旅人 2006-11-30 | 巻三 雑歌 萱草 吾紐二付 香具山乃 故去之里乎 忘之為 忘れ草 我が紐に付く 香具山の 古(ふ)りにし里を 忘れむがため ――――― 「勿忘草(ワスレナグサ)を、私の衣の紐につけよう。(一時も早く)香具山の、古き里を忘れるがために」 ・忘れ草:ヤブカンゾウ
0333 大伴旅人 2006-11-29 | 巻三 雑歌 淺茅原 曲曲二 物念者 故郷之 所念可聞 浅茅原(あさぢはら) つばらつばらに もの思(も)へば 古りにし里し 思ほゆるかも ――――― 「“浅茅原”つくづくと物思いに耽れば、古びた里(飛鳥)が、思い出される」
0332 大伴旅人 2006-11-28 | 巻三 雑歌 吾命毛 常有奴可 昔見之 象小河乎 行見為 我が命も 常にあらぬか 昔見し 象の小川を 行きて見むため ――――― 「我が命が、いつまでもあって欲しいと願う。かつて見た『象の小川』に行ってみたいものだ」
0331 大伴旅人 2006-11-27 | 巻三 雑歌 帥大伴卿歌五首 吾盛 復将變八方 殆 寧樂京乎 不見歟将成 我が盛り またをちめやも ほとほとに 奈良の都を 見ずかなりなむ ――――― 帥・大伴卿の歌五首 「(大伴四綱殿よ)私の(人生の)盛りは再度、訪れるであろうか?否、奈良の都を見ずに(人生を)終えるかもしれない」 ・728(神亀5)年4月頃。大宰少弐・小野老の着任を祝う宴での詩歌。 0330 の大伴四綱の詩歌に応えて詠んだもの ・福岡県太宰府市
0330 大伴四綱 2006-11-26 | 巻三 雑歌 藤浪之 花者盛尓 成来 平城京乎 御念八君 藤波の 花は盛りに なりにけり 奈良の都を 思ほすや君 ――――― 「(今は)“藤波の”(フジの)花が盛りですね。奈良の都を(懐かしく)思っていらっしゃるでしょうか、あなた(大伴旅人)さまは」