0790 大伴家持 2008-02-29 | 巻四 相聞 春風之 聲尓四出名者 有去而 不有今友 君之随意 春風の 音にし出なば ありさりて 今ならずとも 君がまにまに 「“春風の”音のように(噂が)噴出するのなら、月日を経て、現在ではなくとも、(あなたは自分の)思い通りに行動するでしょう」
0789 大伴家持 2008-02-28 | 巻四 相聞 又家持贈藤原朝臣久須麻呂歌二首 情八十一 所念可聞 春霞 軽引時二 事之通者 心ぐく 思ほゆるかも 春霞 たなびく時に 言の通へば また(大伴)家持が、藤原朝臣久須麻呂に贈る歌二首 「心が晴れないようです。“春霞”(黄砂が)たなびく時に、(貴方が私の娘に求婚を)するなんて」
0788 大伴家持 2008-02-27 | 巻四 相聞 浦若見 花咲難寸 梅乎殖而 人之事重三 念曽吾為類 うら若み 花咲きかたき 梅を植ゑて 人の言繁み 思ひぞ我がする 「うら若い、まだ花もほころばない、ウメを植えているので、周囲が声をかけてきます。私としては困惑しています」 (うちの娘は、まだ幼いのですが、すでに結婚の申し込みが相次いでいます。親としては困惑しております)
0787 大伴家持 2008-02-26 | 巻四 相聞 如夢 所念鴨 愛八師 君之使乃 麻祢久通者 夢のごと 思ほゆるかも はしきやし 君が使(つかひ)の 数多(まね)く通へば 「これは夢か。(私の娘との縁談を)もくろむ、愛しい(娘への伝言をよこすため)、あなたが(遣わした)使用人が、しょっちゅう私の家に通ってきます」
0786 大伴家持 2008-02-25 | 巻四 相聞 大伴宿祢家持報贈藤原朝臣久須麻呂歌三首 春之雨者 弥布落尓 梅花 未咲久 伊等若美可聞 春の雨は いやしき降るに 梅の花 いまだ咲かなく いと若みかも 大伴宿祢家持が、藤原朝臣久須麻呂に報せて贈る歌三首 「春雨は、しきりに降っているが、(我が家の)ウメの花は、まだ咲きませんね。まだ若すぎるからでしょう」