0581 大伴旅人 2008-04-30 | 巻五 雑歌 和我夜度尓 左加里尓散家留 宇梅能波奈 知流倍久奈里奴 美牟必登聞我母 我がやどに 盛りに咲ける 梅の花 散るべくなりぬ 見む人もがも 「我が家(の庭園)に、満開の、ウメの花。もう散り初めるでしょう。(一緒に)花を愛でる人があればよいのですが」
0850 大伴旅人 2008-04-29 | 巻五 雑歌 由吉能伊呂遠 有婆比弖佐家流 有米能波奈 伊麻左加利奈利 弥牟必登母我聞 雪の色を 奪ひて咲ける 梅の花 今盛りなり 見む人もがも 「雪の色を、奪って咲く、ウメの花は、今が盛りです。(一緒に)見てくれる人がいたらいいのですが」
0849 大伴旅人 2008-04-28 | 巻五 雑歌 後追和梅歌四首 能許利多留 由棄仁末自例留 宇梅能半奈 半也久奈知利曽 由吉波氣奴等勿 残りたる 雪に交れる 梅の花 早くな散りそ 雪は消(け)ぬとも 後に追って和(こた)える梅の歌四首 「(融け)残りの、雪に交じって(咲く)、ウメの花。まだ散らないでおくれ、雪が融けても」
0848 大伴旅人 2008-04-27 | 巻五 雑歌 久毛尓得夫 久須利波牟用波 美也古弥婆 伊夜之吉阿何微 麻多越知奴倍之 雲に飛ぶ 薬食むよは 都見ば いやしき我が身 また変若ぬべし 「『雲に飛ぶ』クスリを服用するよりも、都を見たい。卑しい自分自身も、また若返るかもしれないし」
0847 大伴旅人 2008-04-26 | 巻五 雑歌 員外思故郷歌兩首 和我佐可理 伊多久々多知奴 久毛尓得夫 久須利波武等母 麻多遠知米也母 我が盛(さか)り いたくくたちぬ 雲に飛ぶ 薬食(くすりは)むとも また変若(をち)めやも 員外(官)が、故郷を思う歌両首(二首) 「自分の(人生の)盛りを、過ぎてしまった。雲(の上)にまで飛ぶ、クスリを服用したとて、もう若返らないだろう」 ●員外官:律令制で、令に定められた定員以外の官吏 ●大伴旅人がこの詩歌を詠んだのは60代半ば 旅人は67歳で逝去した