万葉集ブログ・1 まんえふしふ 巻一~巻八

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1641 角広弁

2010-06-30 | 巻八 冬雑歌
角朝臣廣辨雪梅歌一首

沫雪尓 所落開有 梅花 君之許遣者 与曽倍弖牟可聞

淡雪に 降らえて咲ける 梅の花 君がり遣らば よそへてむかも


角朝臣広弁の雪のウメの歌一首

「淡雪に、降られつつ咲いた、ウメの花。(淡雪がついたそれを)あなたに差し上げたら、(あなたは)どう思うでしょうか」

1640 大伴旅人

2010-06-29 | 巻八 冬雑歌
大宰帥大伴卿梅歌一首

吾岳尓 盛開有 梅花 遺有雪乎 乱鶴鴨

我が岡に 盛りに咲ける 梅の花 残れる雪を まがへつるかも


大宰帥・大伴(旅人)卿のウメの歌一首

「私の(自宅近所の)丘に、真っ盛りに咲いたウメの花。(溶け)残った雪と、見間違えてしまったよ」

●福岡県太宰府市

1639 大伴旅人

2010-06-28 | 巻八 冬雑歌
大宰帥大伴卿冬日見雪憶京歌一首

沫雪 保杼呂保杼呂尓 零敷者 平城京師 所念可聞

沫雪(あわゆき)の ほどろほどろに 降りしけば 奈良の都し 思ほゆるかも


大宰帥・大伴旅人卿、冬の日に、雪を見て(平城)京を追憶する歌一首

「淡雪が、薄く降り積もったので、(懐かしい)奈良の都を、思い出します」

●福岡県太宰府市

1638 聖武天皇

2010-06-27 | 巻八 冬雑歌
天皇御製歌一首

青丹吉 奈良乃山有 黒木用 造有室者 雖居座不飽可聞

あをによし 奈良の山なる 黒木もち 造れる室は 座(ま)せど飽かぬかも

右聞之御在左大臣長屋王佐保宅肆宴御製


(聖武)天皇の御製の歌一首

「“あをによし”奈良の山に(伐採した)、皮がついたままの丸太で、建造された屋敷は、居心地よくて飽きないものだ」

右は、聞けば、(聖武天皇が)左大臣・長屋王の佐保(の屋敷)に御在宅中に、肆宴(とよのあかり)にて御製という

1637 元正天皇

2010-06-26 | 巻八 冬雑歌
太上天皇御製歌一首

波太須珠寸 尾花逆葺 黒木用 造有室者 迄萬代

はだすすき 尾花逆葺(をばなさかふ)き 黒木もち 造れる室(むろ)は 万代(よろづよ)までに


太上天皇の御製の歌一首

「“はだすすき”ススキの花穂をさかさまに葺いて、皮がついたままの丸太で建造した屋敷は、万代まで(栄えるだろう)」