万葉集ブログ・1 まんえふしふ 巻一~巻八

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0577 大伴旅人

2007-07-31 | 巻四 相聞
大納言大伴卿新袍贈攝津大夫高安王歌一首

吾衣 人莫著曽 網引為 難波壮士乃 手尓者雖觸

我(あ)が衣 人にな着せそ 網引(あびき)する 難波壮士(なにはをとこ)の 手には触(ふ)るとも


大納言・大伴旅人卿が、新しい袍(うへのきぬ)を摂津大夫・高安王に贈る歌一首

「私が(あなたに)贈った衣を、他人に着せないで欲しい。(たとえ)網を引いて漁をする、難波の野郎どもの、手に触れても」

●袍(ほう うえのきぬ):上衣

0576 葛井大成

2007-07-30 | 巻四 相聞
大宰帥大伴卿上京之後筑後守葛井連大成悲嘆作歌一首

従今者 城山道者 不樂牟 吾将通常 念之物乎

今よりは 城(き)の山道は 寂しけむ 我が通はむと 思ひしものを


大宰帥・大伴(旅人)卿が上京の後、筑後守・葛井連大成が悲嘆(かなし)みて作る歌一首

「(大伴さまがこの地を去られ)これからは、基の山道は、寂しいでしょう。私は(この山道を)通う、予定でいました」

●基山:福岡県筑紫野市山口

0575 大伴旅人

2007-07-29 | 巻四 相聞
草香江之 入江二求食 蘆鶴乃 痛多豆多頭思 友無二指天

草香江(くさかえ)の 入江にあさる 葦鶴(あしたづ)の あなたづたづし 友なしにして


「草香江の、入り江にて(餌を)あさるツルが、とても寂しげだ。(彼にはともに渡る)仲間がいないのか」

●草香江:福岡県福岡市中央区草香江(くさがえ) 大阪府東大阪市日下町(古名・草香江(くさかえ))

0574 大伴旅人

2007-07-28 | 巻四 相聞
大納言大伴卿和歌二首

此間在而 筑紫也何處 白雲乃 棚引山之 方西有良思

ここにありて 筑紫(つくし)やいづち 白雲の たなびく山の 方にしあるらし


大納言・大伴旅人卿の和(こた)える歌二首

「都にあって、筑紫はどの方角になるのか。“白雲の”たなびく山の、かなたにあるそうだ」

●筑紫:福岡県福岡地方

0573 沙弥満誓

2007-07-27 | 巻四 相聞
野干玉之 黒髪變 白髪手裳 痛戀庭 相時有来

ぬばたまの 黒髪変り 白けても 痛き恋には 逢ふ時ありけり


「“ぬばたまの”黒髪がだんだんと、白髪になって。物悲しい思いに、遭遇するときはあるのです」