万葉集ブログ・1 まんえふしふ 巻一~巻八

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1200 古集

2009-04-30 | 巻七 雑歌
吾舟者 従奥莫離 向舟 片待香光 従浦榜将會

我が舟は 沖ゆな離(さか)り 迎(むか)へ舟 方(かた)待ちがてり 浦ゆ漕ぎ逢はむ


「この舟で、沖へ出ない(ほうがよさそうだ)。迎えにくる舟は、あちらから(来るのでそれを)待とう。入り江を漕いで会い出そう」

1199 古集

2009-04-29 | 巻七 雑歌
藻苅舟 奥榜来良之 妹之嶋 形見之浦尓 鶴翔所見

藻刈り舟 沖漕ぎ来(く)らし 妹が島 形見の浦に 鶴翔(たづかけ)る見ゆ


「海藻を採取する小舟に、漁師が乗って、沖を漕いでやって来るよ。妹が島の、形見の浦にて、ツルが飛び交うのが見えるね」

1198 古集

2009-04-28 | 巻七 雑歌
求食為跡 礒二住鶴 暁去者 濱風寒弥 自妻喚毛

あさりすと 礒(いそ)に棲(す)む鶴(たづ) 明けされば 浜風寒み 己妻(おのづま)呼ぶも


「(餌のアサリを)あさるのは、磯に棲む(つがいの)ツル。夜明けになれば、浜から吹く風が寒いのか。(オスが)番のメスを呼ぶよ」

1197 古集

2009-04-27 | 巻七 雑歌
手取之 柄二忘跡 礒人之曰師 戀忘貝 言二師有来

手に取るが からに忘ると 海人(あま)の言ひし 恋忘れ貝 言(こと)にしありけり


「『手に取るだけで、(つらい恋も)きれいに忘れるよ』と、漁師が指した、恋忘れ貝。(だが恋を忘れるだなんて)言葉だけだったぜ」

●恋忘れ貝:アワビ

1196 古集

2009-04-26 | 巻七 雑歌
欲得□登 乞者令取 貝拾 吾乎沾莫 奥津白浪

苞(つと)もがと 乞(こ)はば取らせむ 貝拾(かひひり)ふ 我れを濡らすな 沖つ白波


「旅のみやげを、(妻から)ねだられたら渡そうと思い、貝殻を拾う。(だから)私を濡らさないでおくれ。沖に立つ白波よ」