0730 坂上大嬢 2007-12-31 | 巻四 相聞 将相夜者 何時将有乎 何如為常香 彼夕相而 事之繁裳 逢はむ夜は いつもあらむを 何すとか その宵逢ひて 言の繁きも 「(私たちが)会う夜は、いつでもありますのに。なぜ、あの晩に会ったの。(これで周囲へ)噂が広まったに違いありませんわ」
0729 坂上大嬢 2007-12-30 | 巻四 相聞 大伴坂上大嬢贈大伴宿祢家持歌三首 玉有者 手二母将巻乎 欝瞻乃 世人有者 手二巻難石 玉ならば 手にも巻かむを うつせみの 世の人なれば 手に巻きかたし 大伴坂上大嬢が、大伴宿祢家持に贈る歌三首 「(あなたが)玉宝ならば、手に巻いておきたいのですが。“うつせみの”この世の人なので、手には巻けませんね (あなたを手に巻けたのなら、大事に愛撫できますものを)」
0728 大伴家持 2007-12-29 | 巻四 相聞 人毛無 國母有粳 吾妹子与 携行而 副而将座 人もなき 国もあらぬか 我妹子と たづさはり行きて 副(たぐ)ひて居(を)らむ 「人が住まぬ、国がないだろうか。きみと、(手を)携え一緒に歩いてゆきたいのだ。二人寄り添って(そこに)留まりたいものだ」
0727 大伴家持 2007-12-28 | 巻四 相聞 大伴宿祢家持贈坂上家大嬢歌二首 (離絶數年復會相聞徃来) 萱草 吾下紐尓 著有跡 鬼乃志許草 事二思安利家理 忘れ草 我が下紐に 付けたれど 醜(しこ)の醜草(しこくさ) 言(こと)にしありけり 大伴家持が、坂上家の大嬢に贈る歌二首 ((二人の)連絡が絶えること数年、再会して消息を伝え合う) 「(恋の悩みを忘れるという)忘れ草を、自分の下着につけたが、全く役に立たない。(忘れ草だなんて)言葉だけだ」 ●忘れ草:ノカンゾウ(野萱草)
0726 坂上郎女 2007-12-27 | 巻四 相聞 外居而 戀乍不有者 君之家乃 池尓住云 鴨二有益雄 外に居て 恋ひつつあらずは 君が家の 池に住むといふ 鴨にあらましを 「蚊帳の外で、あなたを思うだけならば、(いっそ)あなたの家の、池に棲む、カモになりたかった」