万葉集ブログ・1 まんえふしふ 巻一~巻八

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1246 古集

2009-05-31 | 巻七 雑歌
之加乃白水郎之 燒塩煙 風乎疾 立者不上 山尓軽引

志賀の海人の 塩焼く煙(けぶり) 風をいたみ 立ちは上(のぼ)らず 山にたなびく

右件歌者古集中出


「志賀島の漁師が、藻塩焼きをしたときの煙が、海風が強いせいで(まっすぐに)立ち昇らず、山のほうに棚引いている」

右の件(くだん)の歌は、古集の中に出る

1245 古集

2009-05-30 | 巻七 雑歌
四可能白水郎乃 釣船之□ 不堪 情念而 出而来家里

志賀の海人(あま)の 釣舟(つりぶね)の綱 堪(あ)へずして 心に思ひて 出でて来にけり


「志賀島の漁師の、釣り船のひき網が、(玄界灘の荒波に)耐えかねるように。(ふるさとを)心に思いながら。(辛い旅の)最中である」

●志賀島:福岡県福岡市東区

1244 古集

2009-05-29 | 巻七 雑歌
未通女等之 放髪乎 木綿山 雲莫蒙 家當将見

娘子(をとめ)らが 放(はな)りの髪を 由布(ゆふ)の山 雲なたなびき 家のあたり見む


「若いコたちが、放りの髪を(結う)。由布岳の、雲よ棚引くな。家の近辺を見たいから」

●放(はな)りの髪:頭髪に2つ丸めた小さなコブをつくり、毛先を垂らした女児のお下げ髪(セーラームーンのヘアスタイルに似ているか?) または 髪を結わず伸びっ放しにしたヘアスタイル

●由布岳:大分県由布市

●「結う」と「由布」を掛けている


1243 古集

2009-05-28 | 巻七 雑歌
視渡者 近里廻乎 田本欲 今衣吾来 礼巾振之野尓

見わたせば 近き里廻(さとみ)を た廻(もとほ)り 今ぞ我が来る 領巾(ひれ)振りし野に


「見渡せば、近くの人里のあたりを、遠回りして。いま僕は来たぞ、領巾を振る野に」

1242 古集

2009-05-27 | 巻七 雑歌
足引之 山行暮 宿借者 妹立待而 宿将借鴨

あしひきの 山行き暮らし 宿借らば 妹立ち待ちて やど貸さむかも


「“あしひきの”山(道)を急いでいると(日が)暮れてきた。宿屋で一泊したいが、おんなのコが(客を)呼び込んでいる。ここで宿を借りようか」