らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

ヴィオラ Vol.1

2007年08月01日 20時34分06秒 | ヴィオラ
 昨年あたりからヴィオラについての本が相次いで出版された。
写真右側の本は、私の師事したU.Koch先生の先生のW.Primrose氏の本。ヴィオラの演奏法など世界第一線で活躍した彼の考えをまとめた本である。ヴィオラを弾く人で中級以上向きの本。左が日本人ヴィオラ奏者の第一人者今井信子氏の本。こちらの方が、ヴィオラに興味を持つ人(例え演奏できなくても)のための本。読みやすい本である。その他Y.Bashmet氏の本(未読)などもある。
 それぞれ考え方が違うにせよ世界で活躍した人達のヴィオラの話を興味深く読むことが出来る。


 雲の上のヴィオラ奏者の話ではなく、おらが田舎のヴィオラ奏者である私が、ヴィオラの話を少しづつ書こうと思う。 それは、ヴィオラという楽器のイメージが各プレーヤーや愛好家達の中でも確信を持ってこれが正しいという奏法や音の好みが、多様化しているせいもある。
しかし私だけのヴィオラ論(堅苦しいか・・・?)を書くことなら出来ると思い、暇があれば現時点での思いを書こうと思う。
 
 少しでもヴィオラという楽器の認知が広まれば幸いである。

 ヴィオラという楽器は、ヴァイオリンとチェロの間のサイズの楽器である。よく全然知らない人に説明する時は「ジャイアント馬場のヴァイオリンです。」なんて答える時もある。
何故、ヴァイオリンやチェロとは違い多様化したのかは、その楽器のサイズにある。
だいたいいっしょ(失礼!)のヴァイオリン、チェロに比べ、ヴィオラはボディサイズが約37~46cmと幅がある。
 小さいものは、ヴァイオリンに近く、大きいものはチェロに近い音色を持つ。
20世紀初頭、ターティスというヴィオラのソリストが活躍しだしたが、彼はモンターニャという大きい楽器を使用していたらしいし、そのすぐ後に活躍したプリムローズは、ガルネリという幾分小振りな楽器を使用していたらしい。
どちらもCD等で演奏を聴くことが出来るが、同じ楽器とは思えないほど音色の違いが顕著である。

 現在、ヴィオラのソリストというのは珍しくもなく世界的に増えているが、その各奏者での弾き方、音色はさまざまだ。

 音楽教室などで楽器紹介などをすると、大抵人気がないのもこの楽器「ヴィオラ」だ。
なぜなら子供達にとっては地味で、オーケストラの中で何をやっているか聴き取れないからであろう。


( `▽´)ノ”

こういうふうに表現していいものか・・・??

「ヴィオラは寄生虫楽器」である。

 ヴィオラのソリストという人達はいることはいるが、オーケストラをバックに本当に伸びやかに楽器を響かせることが出来る人は、世界中に何人もいない。ヴァイオリンやチェロのように張った音は出ないのである。もし張った音が出るよという人がいるならば、大抵のそれは力強いが、割れた魅力に乏しい音だ。
ヴィオラは他の弦楽器と違い、それ単体で楽器をならすことは何倍も難しい。ヴァイオリン奏者はイザイやパガニーニの曲で技術をひけらかすことも出来るが、ヴィオラは楽器をならすこと、すなわちきれいな音を出すこと自体を目指すべきである。
 ヴィオラ特有のあの「鼻がつまった様な音」は、ボディーサイズが足らないからである。ヴァイオリンやチェロの様なパンと張ったような音を出すためには、ヴィオラの音域でボディーサイズを約53Cmにしなくてはならないという。そうなったら今のように担いでは演奏することが出来ない。その「鼻のつまったよ様な音」が、ヴィオラ特有の、他の楽器にない音色なのだ。

 そうヴィオラは、友達好きなアンサンブルのためにある楽器なのである。単体では響きが乏しいため(独特なしぶい響きはまた魅力的ではあるが)他の楽器との共鳴で、その魅力は倍増する。
もちろんそのヴィオラ奏者の上手下手はあるが、ヴィオラ奏者を生かすも殺すもまわりのヴァイオリンだったり、チェロだったりすることが多い。良い奏者や良い楽器の人と一緒に演奏すると、同じ楽器が何倍もなってくれるし、反対ならどんどん楽器はならなくなってしまう。

「ヴィオラは寄生虫楽器」というのはそういう意味である。けっして他の影に隠れてごそごそしているという意味ではない!!(笑)

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