川上健一の「翼はいつまでも」を読んだ。この人の作品は「四月になれば彼女は」、「ララのいた夏」、「ふたつの太陽と満月と」など結構読んでる。
物語の舞台は昭和30年代後半(J・F・ケネディ暗殺の話が出てくるということは昭和38年)の青森。主人公は中学生の神山久志。野球部に所属する平凡な中学生だが、米軍三沢基地向けの英語放送でビートルズを聴いてから、新たな自分になる。野球の試合を大人の都合でダメにされな仕返しに体育館でダンスバーディーを開催、中3の夏休みに十和田湖に一人で自転車で野宿の旅etc。
思春期で多感な年頃で、クラスの才色兼備の杉本夏子に恋心を燃やすが・・。十和田湖への自転車旅行でクラスメートの斉藤多恵に偶然会う。多恵は埼玉からの転校生。誰とも話さず、顔にある傷にコンプレックスを持ち、クラスではかなり浮いた存在だが、十和田湖で多恵の本当の姿を知ることに。そして多恵に恋心を抱くようになる。夏休みが終わって・・。
おそらく、この作品は川上健一の半自叙伝的な作品なんだろう。
最後に卒業から30年経って十和田湖のホテルでの同窓会。中学生時代のほろ苦い思い出の回想と大人になった彼らの今。小説ながらちょっと感動的だ。高校卒業の最後の一夜を描いた「四月になれば彼女は」とともにお薦め作品だ。
それにしても昭和30年代の中学校の先生は生徒を父親は息子をバシバシ殴る。今なら体罰、虐待で大問題だよ。教師と父親の権力は絶対だった時代。昭和40、50年代の青春ドラマは大抵、教師が生徒を平手打ちすると生徒は改心し、最後はハッピーエンドで終わるパターン。教師が生徒を殴ることも大して問題ではなかったのかな?
思春期のホノボノさとホロが苦さが交錯。
来週の日曜日はウルトラマラソン。河口湖界隈の天気は曇り、時々雨。去年は午後から雨だった。今年も雨ランか・・・。ラインウェアで着て帽子被って走るよ。