「社会恐怖(症)」
〇社会「恐怖」とまでは行かないかも知れないけれど、アメリカの太りすぎの人たちは、朝、目が覚めると、(自分は蔑みの視線の中に置かれている)と感じる人がいる。(多い?)
太りすぎていると、足腰に余分な力が掛かったりするから、怪我をしたり、病気にかかりやすいと思うけれど、保険の中には、たとえば「体重100kg以上の人は入れません」というのもあるそうだ。
食事を満足に食べられない人もいるのに(食べ過ぎるから太るんだ)… と思うと、それは、そうなのですが…
〇「あがり症」とか、「内気な人」は、どこにでも居る。決して病気ではないと思うけれど、医師から見ると、治療を施すべきと思われる人もいる。
『他人がこわいーーあがり症・内気・社会恐怖の心理学』 (クリストフ・アンドレ/パトリック・レジュロン共著、紀伊国屋書店)に、こういう例があります。
(引用始め) (省いたりしてあります)
アニータの場合
アニータは、割と裕福な家庭に生まれ育っていたが、外国からフランスに移住してきた事に負い目があったのか、小さい頃から両親に「人さまには決して迷惑を掛けないように」と、くどいほど言われて育った。
そのため彼女は、自分のことより、他人の意向を必要以上に優先する癖があった。
その癖によって、特に大きな問題にぶつからないまま、大人になってしまったのである。
アニータが<社会不安>を感じるようになった主な要因が、<社会能力>の低さにあることは明白だった。
アニータは、建築事務所を開業したが、うまく切り盛りできなかった。例えばこんな感じだ。
一軒家の新築現場のトイレの床のタイル貼りで、タイルが欠けていたり、曲がって並べられていたりした。しかも、タイルの色が最初に指定した色とは違っていた。
施主はかんかんに怒っている…
今までのアニータだと、
1、「私だって忙しいんだから、ずっと現場にいる訳にはいかないんです。」 (自分を正当化)
2、「仰ることは分かりますけど、ちょっと大げさじゃ、ありません?」(さりげなく盾つく)
3、「本当にそんな事、仰ってましたっけ? 契約書には、書いてませんけど…」(施主の言い分を疑う)
4、顧客のクレームに対して、何も返事をしなくなったり 、(回避)
5、「じゃあ、私は、もうこの仕事から降ろさせていただきます!」と怒って逆上したりしていた。 (攻撃)
アニータとカウンセラーと話し合って、何度もシミュレーションした。
そして、次のようなやり取りにたどり着いた。
施主(カウンセラー):
「アニータさん、ひどいじゃないですか! こんなタイルの貼り方! あなた、監督 でしょう。一体、どういう事ですか?!」
アニータ:大変失礼いたしました。お客様のご立腹は尤もです。職人には、私の方で言っ て聞かせます。」
施主:「あなたがぼんやりしていたから、こんな事になるんです。」
アニータ:「申し訳ないですが、私も四六時中現場で見張っている訳にはいかないんで す。でも、これからは、毎日現場へ立ち寄るという事を、固くお約束いたしま す。
工事は、明日にでも、早速、やり直しをさせます。」
カウンセラー:「それなりの金額を支払うのですからね。今後、こういう事があったら、 契約そのものを白紙に戻させていただきますよ。」
アニータ:「本当に申し訳ございません。このようなミスが起きてしまって、心からお詫 び申し上げます。今後のやり直しについては、私が全責任をもちますので、ど うか、信用して下さい。」
1週間に1度の割合で、色々な状況を設定して、シミュレーションしてみる事を繰り返していると、アニータは次第に落ち着いてきた。
(引用終わり)
私がこういう例を挙げたのは、「アニータはカウンセラーの助言によって、次第に落ち着いていった」(その後のアニータは、<社会能力>がぐんと高まり、自己主張をうまくできるようになっていった。建築の仕事の話も舞い込んで来るようになった、ということである)、という事実がある。
ならばこれを、国際関係などに応用すれば、戦争を回避できたり… するんじゃないか、と思ったからです。
まずは、事実を認めることから。(1、~5、のような対応の仕方をしていた、とか)
出来るのが当たり前、じゃ、ない!