『世にも不思議な中国人』(五十嵐らん著、(株)ワニブックス)という本に(「おわりに」の所)
「私が中国で中国人と接していて、強く感じることがあります。それは、「中国人はダメだと思っても、とりあえず言ってみる」民族だということです。そして、その要求が通るとなれば、「もっともっと」要求するのです。」
(中略)
「本文中のエピソード「らん軍団VS農民」(P.27)がそれを証明するのに、一番分かりやすいでしょう。中国での会社運営も、そしておこがましいようですが、中国に対する外交も実は同じなのではないかと感じるのです。
このエピソード中、中国人社員たちは農民の「雑草をくれ」という要求をのみません。(もちろん私も) 「それくらい、いいじゃないか」というのが日本人の感覚でしょう。
しかし1度敷地内に入れることを許可したら、1度要求を飲んだら、果てしない要求の嵐がやってくると、実は中国人が中国人の性質を1番知っているのです。」
(引用終わり)
「らん軍団VS農民」というのは、
らん さんの勤めている会社の敷地の端の方、コンクリート張りにしていない、雑草が生えている所に、3人ほど、何かしている。
(引用始め)
私:「何してるんだ?」
貧しい身なりの農民の女性たち3人。訛りの強い言葉で話すので聞き取れない。そこで社員Rをその場に残して、私は同僚を呼びにオフイスに戻る。同僚がやってくる。同僚は彼らに近付き少し話す。そして通訳してくれる。
「ブタの餌として雑草をくれと言っている。」
‥ ‥
‥ ‥
「くれっ!」て言うか、すでに無断で侵入して勝手に草刈ってるし。
そこで私が「そりゃ困るな。関係者以外は立ち入り禁止だ。」と答える。私のお粗末中国語では通じないのか、同僚がさらに訳してくれる。
すると3人の農民女性たちがいっせいに「んぎゃ!!!」と騒ぎ始めた。同僚が彼らの言い分をいちいち通訳してくれるのだが、
「雑草なんだからいいだろ?」
「けち」
「掃除してやってるんだ!」
などと叫んでいるらしい。
あまりの言いかたに同僚も頭にきたようで、「勝手に刈り始める前に何でこちらに言わない? 不法侵入だろうが! お前らを敷地内に入れるわけには行かないのだ! 帰れ!」
と怒鳴る、しかし3人女農民は草刈を止めない。社員Rと同僚が2人で彼女たちを追い出そうとするが、
カマを振り回して抵抗し、逃げ回る。
社員が蹴られたり、どつかれたりしている。「これじゃ社員が怪我しちゃうよ! やばい!」と私は慌てて男性社員たちを呼びに走り、総勢10人あまりがだだーっと集まる。
全員で「出て行け!」と、彼女たちを追い出そうとする。もみ合いになるが彼女たちはもみ合いをしながらも草刈を止めない。カマが危なくて仕方がない。敷地の端のフェンスの向こう側では、彼女の夫が草を待ち構えている。そちらにもわが社の社員が行って大声で言い争っている。
~ ~ ~
とここまで書いて、「何もそんな扱いをしなくても‥」と思う人もいるだろう。
「雑草くらいいいじゃん」とも感じるだろう。
(中略)
彼女たちを敷地内に入れることを許したら、いずれ社内の商品や備品が盗まれるだろう。他に何人も際限なく連れてくるだろう。
(中略)
彼女たちが「社長を出せ!」と叫ぶので、私が前に出る。(社長ではないのだが、責任者なので)途端に黙る。権力者に弱いのは全人民共通だ。そして今度は媚びるような声で私に向かって言う。
「雑草を刈ってあげているんだから、いいだろ? 悪いことはしていない。」と。
話にならない。堂々巡りで彼らはこちらの言うことなど聞く耳をもたない。仕方なく私も社員たちに言う。
「追い出せ。どうしても手に負えなかったら警察を呼べ。」
それからわが社の警備員も呼び、全員で彼女たちを追い出すように言う。警備員を「部外者が入り込んでいるのに何してたんだ! 」と叱ると、慌ててその3人の女農民に飛び掛る。女性相手なんだが、彼女たち(農民)の厄介さは私も普段から知っているので、敢えて多少の手荒さは黙って見守る。
らん軍団VS農民軍団とでも言おうか… 。
(後略)
(引用終わり)
ちなみに「東シナ海のガス田開発問題」に関しては、副島隆彦氏の『中国、紅い資本主義は平和な帝国を目指す』(ビジネス社)の本に、
矢吹普氏の「21世紀中国総研「DIRECTER’S WATCHING」2005、8、5」から引用して、次のようにあります。
(引用始め)
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矢吹氏が「猪間明俊論文」(「軍縮問題資料、2005、7月号」)から引用されて
猪間論文に曰く、「日本が主張する排他的経済水域のすぐ傍で、中国がガス田を発見し、その開発作業を進めていることに対し、外務省や経産省が、中国が日本の資源を吸い上げるのはけしからんとクレームを付け、開発を止めるように、また、地下地質データを提供するようにと中国に要求している。(中略)
私は40年間に渡って日本の石油開発会社に身を置き、石油・天然ガスの探鉱開発の実務に携わった技術専門家であり、中国の南方海域での石油探鉱のために3年近く広州に滞在したこともある。
その専門家として身につけた世界の石油業界の常識から見て、日本側の言い分は、実は穴があったら入りたいと思うほど厚顔無恥そのものなのである。」
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「石油・ガスの探査にはきわめて多額の資金を投入する必要があり、しかも掘ってみなければ存否が分からないものだけに大きなリスクを負っている。
そのようなリスクを負って得た地下のデータは石油会社にとっては最高の企業秘密であり、それを見返りも無く見せろと言い張るのは、工業製品メーカーに特殊技術をよこせと強要するのと同じくらい無礼なことで非常識も甚だしい。
(中略)
例えば境界線から5kmの話だが、この5kmの意味を考えるには業界の鉱区割の常識が必要だ。日本や各国の国内法レベルで、A社の鉱区の隣にB社の井戸を掘る場合、境界から何メートル離すことが必要か。答えはわずか100メートルだ。
100メートルしか離れていないならば、油脈がつながっていれば、「ストローで吸い上げる」こともあり得よう。しかし、これは各国の国内法で許されている業界の常識なのである。
では国際間の常識はどうか。何メートル離さなければならないという協定は特にない。協定があれば別だが、無ければ国内法の常識を採用することにならざるを得ない。
100メートルが基準ならば、5km離れていることは、中国が日中境界線(と日本側が主張している線)から50倍の距離をとったものであり、業界の常識から言えば、妥当なものという他ない。100メートル基準という国内基準(これは専門家しか知らない基準だ)を知らせることなしに、5キロという距離は「ストロ-で吸い上げることの出来る距離」と強調するのは、ほとんど詐欺師まがいの言い分だと専門家は言う。」 (後略)
(引用終わり)
「鉱区割」の常識では、100メートルですか?
話がややこしくなりそう…