京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

幸福感

2019年03月31日 | こんな本も読んでみた

   『活版印刷三日月堂』シリーズ完結。

 一昨年9月に最初の2冊を手に取った。

娘に回したところ、その後さらに2冊を購入したようで読まないかと勧められ借り受けていた。最後は風邪薬による眠気に抗いながらになったが読了した。
小さな活版印刷所「三日月堂」を舞台に、周囲の理解や協力を得て店主・弓子はこれからも「人が複雑に織り上げた言葉を活字で届けたい」と仕事を続ける思いを固めていく。共に印刷所を経営していく良きパートナーを得たようだ。そして、二人はいっしょに生きていきたいと確かめ合う。「三日月堂の夢」、最後に見えた希望に、弓子の、人の、生きる意味が見えてくる。

関係を紡ぎ合う人たちの間にはやさしい調和が生まれる。親しい感じというのが幸福感を誘ってくれた。文章も温かなぬくもりに満ちている。弓子のひたむきさに、時に切なさにも似た思いがこみ上げて来たり…。読後感のいい作品はいい。
「よい小説には必ず幸福感がある」と辻原登氏の言葉にあった。川越はいい町だなあ…。


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6 コメント

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幸福感! (蜩の森)
2019-04-01 09:26:37
「よい小説には必ず幸福感がある」至言ですね。確かにそう思います。
それに耳から入る言葉でも、たとえ少しでも優しさが散りばめられると、聞く人に幸せ感を与えるようですね。
今ではあまり見られなくなった活版印刷の世界。誰かが継承し残していきたい、活字社会の歴史のような気がします。
いよいよ一時代が終わり、新たな時代の到来ですね。
新元号、どんな文字、どんなニュアンスになるのでしょうか。
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一層お大事に! (Rei)
2019-04-01 09:27:45
昔ながらの言葉ですが「風邪は万病のもと」
招かなくて訪れますので困った客です。
幅広い分野の本をお読みですね。
清川妙さんの「九十歳。生きる喜び学ぶ楽しみ」
読み始めました。
今の私の年齢のころお書きになったもののようです。
易しい文章で私にも解りやすいです。
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至言、蜩の森さん (kei)
2019-04-01 11:40:36
苦しい、つらいがあっても、一筋の光を見ることで希望を見出す小説もありますね。
読む人によって小説の価値観はいろいろでしょうが、私もそう思います。

ガリ版の上で原紙に鉄筆でガリガリ書き付けました。謄写版に貼り付けて、
インクを付けたローラーで一枚一枚印刷しました。
少ししたら輪転機が入りまして、印刷自体は労力が減りました。
活版印刷されたものの記憶はないのですが、よい作品と出遭え楽しみました。

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生きる喜び…、Reiさん (kei)
2019-04-01 12:16:09
若い人が主人公の本を読むことは少ないのですが、
なかなか良い作品だと思いました。

私も最初に読んだ本です。
『91歳の人生塾』には、「聞こえない葦」と題した息子さんへの思いの手記が収められてあり心打たれました。
やさしい文章、私も親しみをもって読めました。

いっきに症状が進んで慌てましたが、どうにか持ち直しました。ありがとうございます。
「マイ・ブックショップ」、上映されていましたのに見落としました。
落ち着いたら行きたいです。
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令和 (ryo)
2019-04-02 07:28:58
福岡の太宰府が一躍有名
になりました。
令和、良い感じに思います。

私も本三昧です。
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同感です、ryoさん (kei)
2019-04-02 16:59:44
決まってみるとあれこれ言いたい人がいるようですね。
国民の意見を聞いたところで収拾はつかずでしょうし、
ただ、ここに至る経過を知りたいなあとは思います。
若い子が素直に自分をリフレッシュしようと言葉にしているのは好ましく思えました。

これからも素敵な作品を書いてくださいね~。
読書しない生活など考えられません。

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