五月五日、静かに雨が降り続いた。
『枕草子』【10】では、「五月五日は、くもりくらしたる。」とあって、五節句の節目を中心に、その季節美を「をかし」と描いている。(岩波の日本古典文学大系による)
菖蒲の節句とも言われるこの日、サトイモ科の根の長い菖蒲を軒の瓦に葺いて(挿して)、その香りを楽しんだ。曇って湿度があるほうが、香りはより引き立つものだ。そこで、この日は曇っている方が好ましい、趣深い、ととらえていたのだろう。

雨なので「大田の沢のかきつばた」を見に、大田神社に行ってみることにした。大田神社の参道東側に、カキツバタの群落があるのだ。


ここのカキツバタは古代から咲き続けた花と言われており、2万5千株が自生しているという。京都がまだ湖だった頃の面影を残す泥炭地であることから、昭和14年に国の天然記念物に指定されたことが解説板に記されていた。

神山や大田の沢のかきつばた深きたのみは色にみゆらむ
神山(上賀茂神社のご降臨山)の近くにある大田神社のカキツバタに(人々が)よくよくお願いする恋事(いろ)は、この花の色のようになんと一途(一色)で美しく可憐なのだろうか。
平安時代の歌人・藤原俊成の歌を引用し、今に多くの人を誘ってきた。平安時代からこの地がカキツバタが咲き乱れる名勝地であったと知れる。
ここ大田神社の湧水でしか生きていけないというタゴガエルが生息しているのを知った。足元から、すぐ脇の溝の流れの中から、くぐもった鳴き声だけがしきりに聞こえてくる。
雨には雨の風情があり、いとをかし。
『枕草子』【10】では、「五月五日は、くもりくらしたる。」とあって、五節句の節目を中心に、その季節美を「をかし」と描いている。(岩波の日本古典文学大系による)
菖蒲の節句とも言われるこの日、サトイモ科の根の長い菖蒲を軒の瓦に葺いて(挿して)、その香りを楽しんだ。曇って湿度があるほうが、香りはより引き立つものだ。そこで、この日は曇っている方が好ましい、趣深い、ととらえていたのだろう。

雨なので「大田の沢のかきつばた」を見に、大田神社に行ってみることにした。大田神社の参道東側に、カキツバタの群落があるのだ。


ここのカキツバタは古代から咲き続けた花と言われており、2万5千株が自生しているという。京都がまだ湖だった頃の面影を残す泥炭地であることから、昭和14年に国の天然記念物に指定されたことが解説板に記されていた。

神山や大田の沢のかきつばた深きたのみは色にみゆらむ
神山(上賀茂神社のご降臨山)の近くにある大田神社のカキツバタに(人々が)よくよくお願いする恋事(いろ)は、この花の色のようになんと一途(一色)で美しく可憐なのだろうか。
平安時代の歌人・藤原俊成の歌を引用し、今に多くの人を誘ってきた。平安時代からこの地がカキツバタが咲き乱れる名勝地であったと知れる。
ここ大田神社の湧水でしか生きていけないというタゴガエルが生息しているのを知った。足元から、すぐ脇の溝の流れの中から、くぐもった鳴き声だけがしきりに聞こえてくる。
雨には雨の風情があり、いとをかし。
今を盛りに咲き誇る可憐な花。季節の移り変りの楽しさを深く味あわせてくれているようです。
雨には雨の風情が。これからの季節は雨を味方に、雨を楽しむ気持ちも持たねばなりません。
一途な紫ひといろゆえの美しきかきつばた。
いつしか余分な色が混ざって、本当の色がどこかへ。
どこと言って行く先もないようなこの日、そぼ降る雨の中いかがなものかと思い立ちまして。
読んでいたはずの説明を読み返し、ずいぶん古い地質なのだと改めて知ったところです。
ちょっとクスッと…。
そうですねえ、七変化で収まるのでしょうか。
一筋縄ではいかないことはあるでしょうね。
ですが花の本質は変わらないのかもしれませんよ。
スゴイ!ですねぇ・・・2万5千株も自生しているなんて凄すぎると思いましたよ。
カキツバタの花を、特に意識してみた記憶がありません、我が近くには無いのかも知れません。
隣の市には、人間の手で植えられた「花しょうぶ園」があって、時折、ながめに出掛けます。
すっと立った花茎に大きめの花・・・形そのものは単純ですが、花の色の複雑さに見入ってしまいますよね。
家でも「花しょうぶ」を植えてあるのですが、最近、株が大きくなり根が張ってしまって、綺麗な花が咲かなくなってしまいましたが、植え替え(株分け)が大変なので放置したまゝ、何をさておき、一番気になっているのですが・・・もう自分でするのは無理な気がしています。
それも1番咲きが終わって2番咲き、3番咲きと順番に。
なんとなく、目の前の花を見ていただけで観察眼も不足です。
すごい株数ですよね。
多様な植物がおありです。何もかも一人でなさろうとするとタイヘンでしょう。
我が家にも西の畑にお茶の木がありまして、摘んだ葉はお茶屋さんに出しました。
私は人の手を借りていますが、妹さんのお気持ちが嬉しいですね。
父が教えてくれました。
(伊勢物語東下り、古今和歌集)
「唐衣もきつつなれにしつましあれば
はるばるきぬる旅おしぞ思う」
在原業平が東下りの折り、地元(県下知立)の人から
一首詠んでほしいと乞われました。
折句という言葉をのちに知りました。
「かきつばた」の5文字が詠み込んであります。
父が亡くなってのち、この地の無量寿寺へ参り、
在原業平の痕跡を見ました。
大田神社のように天然記念物になっているかは知りません。
「唐ごろも…」の歌に詠み込まれた「かきつばた」、高校時代に習いました。
「つま」は掛詞だとか、懐かしく思い出しました。
ここのカキツバタを尾形光琳は「燕子花図屏風」のモチーフにしたようです。
無量寿寺には歌碑などがあるのでしょうか。