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京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

女の身でも極楽往生信じ

2025年03月21日 | こんなところ訪ねて
「莬芸泥赴」という、貞観元年(1684)に北村季吟が著した神社などの由来・遍歴を記した文書があります。名所、名勝記でもあるようです。
なんと読むのかです。「莬芸泥赴」は「つぎねふ」と読みます。


その「莬芸泥赴」で季吟は、和泉式部寺と呼ばれ親しまれる誠心院には式部が愛した軒端の梅が境内にあることを、〈春はただわが宿にのみ梅咲かば かれにし人も見にと来なまし〉の歌とともに案内しているというのです。
「誠心院」は、晩年の和泉式部が住んだとされる東北院(左京区)の小さなお堂を移築し、式部の法名にちなんで寺名にしたのだと伝わります。


そして今、境内には歌碑とともにゆかりの梅もあり、3月21日は和泉式部忌が営まれること、
坂井輝久氏の『京近江 名所句巡り』で知ることができます。

新京極通という繁華な中に寺はあります。初めて本堂に入らせていただきました。
真言宗、ご本尊は阿弥陀如来。美しい荘厳です。


和泉式部忌では和泉式部にゆかりがある謡曲「東北(とうぼく)」・「誓願寺」が、喜多流高吟会(高林社中)と金剛流銀謡奉納会によって奉納されてきているようです。

「東北」は旅の僧侶が梅の名所である東北院に行くとひとりの女性が現れ、梅は和泉式部が植えたことを知ります。僧侶は女性が和泉式部であることを悟り、お経を唱えると和泉式部が歌舞の菩薩となって現れ、和歌の徳・仏法のありがたさを説くというもの。

「誓願寺」は世阿弥が作り、和泉式部と時宗の開祖である一遍上人が登場する演目です。和泉式部は一遍上人に名号額「南無阿弥陀仏」の掛け替えを願い、叶うと喜びのあまり歌舞の菩薩となって現れ、念仏の功徳を説くというものだということを、
帰宅後に調べて知ったのでした。

式部が一条天皇の中宮・藤原彰子(上東門院)から賜った打掛から作られたとも言われる屏風の特別公開があり、拝見。



歌碑には、鎌倉時代中期の私撰和歌集『万代和歌集』に収められている春の歌が記されています。 〈霞たつ春きにけりとこの花を 見るにぞ鳥の声も待たるる〉

何度もこの寺は訪れていながら、パネルの絵伝も読みはしていたものの、読んだというだけで
定着もなく深く知ろうともしない自分だったことを痛感です。
「壇徒の参りも少のうなったな。高齢になって出てくるのも煩わしいんかのう」
そんな声が聴こえてきました。

紫式部、赤染衛門たちとともに…。昨年のNHK大河ドラマ「光る君へ」では、どなたが演じておられたのだったか…。

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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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「莬芸泥赴」 (Rei)
2025-03-22 10:47:27
私には難しい言葉ばかりですが、
和泉式部は先回の大河ドラマのイメージが
付きまとっています。
美しい荘厳とおっしゃるお寺は、古色蒼然として、
遥か遠い日を、かんじます。

3月21日和泉式部春季彼岸会の案内文字に
親しみを覚えました
「高齢になって出てくるのも煩わしいんかのう」
確かに実感がこもったお言葉です。
私も高齢になりお寺ではありませんが
外出が減りました。
返信する
文字にも親しみが  Reiさん (kei)
2025-03-22 11:09:21
本当に、難しい言葉ばかりです。
移転や焼失など繰り返し少しずつ整えられてきたようです。
まだ新しいともいえるでしょうか。
初めて堂内で参拝し、こじんまりしている分間近で、天上や天蓋、ぐるりをそっと拝見。
行き届いた美しさに目を見張りました。
お参りは少なくて壇徒さんはいるのかいないのか、閑散としていました。
受付の二人の女性もご高齢。いずこもです。
謡曲は前の椅子に座る女性が録音していました。
聞き取れる言葉を拾いましても話を追うことは不可能で、帰宅後調べました。
返信する
うらやましいです^^ (Rancho)
2025-03-22 23:17:25
東北院で『東北』を聴いて来られたのですか。
すばらしい経験をなさいましたね。

『東北』は何度か観ましたが、良い演目ですね。
【軒端】という言葉も、この曲で知りました^^

間狂言のすぐ後に、確か
この梅は和泉式部と申しぞうろうとかや(要約)
という言葉があり(???ほんとかな?)
しびれますね^^
謡曲は美しい言葉と調べですね。

奈良でも『東北』はよく演じられます^^
ですが、和泉式部忌に聞かれたと云う『東北』は大変うらやましいです

ご紹介いただき、ありがとうございました。
返信する
さすがさすが! Ranchoさん (kei)
2025-03-23 13:06:10
こんにちは。
誠心院で和泉式部忌に奉納、と言うことではよい機会でした。
けれどRanchoさんのように詳しくなく、詞章は拾うのですが全体の流れを汲むなど遠いことでした。
家に帰ってからあれこれ調べ直すという状態です。
「歌舞の菩薩になった」と言うのが心に残っています。
来年も奉納されますでしょうから、もし御都合がつけば…、ですね。
本堂の小脇にあたるところでのこと、間近です。
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