京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 「大谷探検隊」

2012年06月14日 | 展覧会

「仏教の来た道」を日本で初めて学術的に調査したのが、浄土真宗本願寺派・西本願寺の第22世門主、大谷光瑞師によって組織された「大谷探検隊」でした。【「仏教の来た道」― シルクロード探検の旅 】と題した特別展が、龍谷ミュージアム(開館1周年)で開催中とあって訪れてみました。
光瑞師からは「取捨選択せずに収集せよ」という指示が出されたそうで、膨大な品がジャンルを問わず持ち帰られたようです。が、資金問題でやがて派遣も中止。収集品も各地に散逸してしまったようです。

 

トルファンの地にある「べゼクリク石窟」には、特に見事な壁画が残されていたという。特に第15号館には「コ」の字型になった大回廊に大きな仏像15体が描かれていたそうだ。だが保護のためにと、発掘最盛期に次々にこれらほとんどが世界各国の探検隊によって持ち帰られてしまった。
100年余の間、現地にひっそりと取り残されたわずかな壁画があった。龍谷大学では、そこに使用された染料を研究し、持ち帰った壁画のデジタル映像から、しかも、世界中から集めて、その大回廊を復元してみせた。会場内には、復元された原寸大の回廊がある。実際にその中を歩いてみた。ご覧の通り艶やかな色彩で、釈迦になる前の男性の姿が描かれている。
     
     
参加した隊員の組立暗箱式カメラ一式、ガラス板、日記、植物標本、懐中時計、木製の旅行鞄、探検指図書などもあった。収集品を積んで砂漠を進む探検隊の様子がポスター上部に見て取れる。
仏教の源流などについて詳しくわからない。ただ、様々な文化が影響し合いながら中国・朝鮮半島を経て日本へと伝播しているのだ。多様な民族、言語、思想というか信仰の姿などをそこに見ることはできた。世界は平和であらねば、な~んてことをちらっと思う瞬間があったようなな…。


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2 コメント

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「仏教の来た道」 (yattaro-)
2012-06-15 07:34:08
少し遠い世界に思えていた「仏教の来た道」。
こうした探検隊の手による収集・再現を目の当たりにすると、まさに現実の世界に戻される思いです。
なんかしらゾクゾクするような興趣をそそられます。
人間が作り上げた悠久の歴史が人間の手で少しずつ解き明かされる。
まさにロマンの世界を実に身近に体験させていただいた思いです。
お互いを尊重しあう平和な世界、いつかきっと・・・と改めて思わされます。
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ロマンです、yattaro-さん (kei)
2012-06-15 14:53:36
何かを計算したメモ書きから日記や持ち物、使用された持ち物など見ますと、当時の苦労も含め、隊員たちの意気など想像していしまいます。
大回廊復元の様子は、館内のシアターで上映されました。
東西文化の通り道ですね。
東大寺ミュージアムで見た不空羂索観音の宝冠について、「どこからの影響を受けているのでしょう」と尋ねたアメリカ人女性が素晴らしく思えます。

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