京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

興味と忘れ物の同居

2023年02月14日 | 展覧会
今、NHK Eテレの番組・100分de名著では、昭和5年9月に20歳で入院し、23歳で亡くなった北条民雄の著書『いのちの初夜』を取り上げているので、テキストなしで聞いている。昨夜が2回目だった。

ハンセン病と宣告された人々が、どのような苦難の道をたどったのか。
世間と隔絶された施設で自分の居場所を見つけ、生きるしかない。「ライ病患者になりきって生きる」とは。

先週1回目を聞いたあとだった。


佛立ミュージアムで開催されている「社会福祉と仏教展」に足を運んだ。北野天満宮から少しだけ南にある。
日本の最初の「福祉」とされる光明皇后・聖武天皇による悲田院、施薬院の創設。行基等の社会活動。
そして本門佛立宗が担ってきた福祉活動として、ハンセン病患者の施設の様子や、入所している児童、中高校生たちの詩、俳句、短歌が紹介されていた。内容はさらに近代福祉と仏教の関係へと及んでいた。

光明皇后や行基のことは、最近歴史小説で読んでいたこともあって関心を持って掲示物を拝見して歩いた。
そうした中、葉室麟さんの小説のタイトルがどうしても思い出せず、それにくわえて、ハンセン病の話題もどこかで最近聞いたなあ…と言う始末で、終ぞ思い出せずじまいだった。
なんということ!?
それに、この日まで「本門佛立宗」を知らずにいたし…。

 ヤマボウシ

北条民雄の作品集が創元社の岩波文庫本に並んでいたのを見つけたが、性急に買わずに機会を待とう。
先ずはあと2回、中江有里さんの解説、伊集院光さんの感性豊かな読みに耳を傾けてからのことにしよう。



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
keiさん、こんにちは (いざよい)
2023-02-15 10:00:34
Eテレで「いのちの初夜」を扱っているんですか。
あまりテレビを観ないので知りませんでした。
「いのちの初夜」は、川端康成のアドバイスで改題したタイトルでしたね。
あの本の冒頭、主人公が入院するために雑木林の中にある病院に向かう時、病院の生垣が柊だったのが妙に印象に残っています。
あまり書いてkeiさんの興味が削がれてもいけないので、やめておきます。

ハンセン病を扱った作品は、たくさんありますね。
ドリアン助川の「あん」などは映画にもなりましたが、北条民雄のように当事者の書いたものは言葉の重みが違いますね。
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当事者の言葉の重み いざよいさん (kei)
2023-02-15 11:09:45
こんにちは。

柊で高い「壁」を作っていたと今回知りました。
社会的な死を意味する療養所の暮らしの中で、生へ向かう強い精神を持ち合わせて生きていく…。
元宮大工だった人が、素晴らしい建築物を遺した話を聞いていて、舞鶴引揚記念館の学芸員さんが語っておられた言葉が思い出されました。
「身につけた教養や文化が精神を支えた。楽しみを見いだす心が、過酷な状況を耐え抜く生きる力になったのだろう」。
映画「ラーゲリより愛をこめて」を見てからさほど経っていないせいでしょうか。
「あん」、樹木希林さんですね。見ておけばよかったです。

神谷恵美子さんの『生きがいについて』を手にしたことがあるのですが、記憶もおぼろに。
東京駅の八重洲ブックセンターで、当時平積みされていました。購入してから息子のところへ向かったのでした。
こんなことをはっきり覚えています(笑)

番組中に本文の朗読がありますが、活字で読むこことの違いは明白ですね。
当事者による作品、「いのちの初夜」だけでも向き合ってみたいと思います。

本門佛立宗の社会福祉は京都の癲狂院への支援から始まったそうですが、ハンセン病支援にも引き継がれていたことなどを知らずにおりましたので、偶然が重なり引き合わされました。
コメントありがとうございます。いろいろ教えていただきました。
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Unknown (myochan_2006)
2023-03-25 08:18:39
「あん」というドリアン助川さんの小説と映画を両方見ました。

ハンセン病患者の話。
この小説でそのつらさの一端を知りました。

100分で名著、そんな内容だったと初めて知りました。
ありがとうございます。

ことねこ
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「あん」 ことねこさん (kei)
2023-03-25 11:09:55
放送後「いのちの初夜」を読みました。
「あん」はちょうど10年前の出版になるのですね。
そうでしたか。小説と映画で記憶に刻まれますね。
テキストも購入せずに興味がある時だけ見ている番組です。
伊集院さんの感想や言葉がいつも心に残ります。

コメントありがとうございます。春休みになりましたね。
でもすぐまた新年度に向けて。それも楽しみですよね。
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