京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

高々と伸びて楝の花

2023年05月26日 | 日々の暮らしの中で
「木のさま憎げなれど、楝の花、いとをかし。」(『枕草子』第34段)


   どむみりと樗や雨の花曇り  芭蕉

今日は朝からどんよりと重たげな空で、午後に雨がひと降りした。そのあと小一時間ほど歩きに出て、薄紫色の花をびっしりとつけた楝の花に出あった。
枕草子で言われるほどには、花の状態は憎げな様ではない。
けぶったように咲いて、微かなにおいも漂うが、脇は山の斜面で、墓地が広がっている。
とにかく今日は空も花も重たげだ。
そして墓地に楝の木というのも、やはり重い。


海を背景に、高々と伸びて空に枝を広げた楝の花が美しく映し出されたのが、映画「獄に咲く花」のラストシーンだった。印象深く残っている。

「本を多く読むのと深く読むのとは、全く異質な経験である」と書く若松英輔氏の文章に触れながら、枝ばかり広げている。


『夢も見ずに眠った』(絲山秋子)を呼んでいる合間に、手に入れた葉室さんの本のページを繰っていたら、『ひねくれ一茶』へといざなわれ…。
またしても一冊追加してしまった。

積んでおくだけじゃありませんわ。次の楽しみに積んでいる。雨の日が増えそうだし?
コメント (2)
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