京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 じんわりと…

2012年10月15日 | 日々の暮らしの中で

父にとって母との最後の旅は比叡山となった。横川の根本中堂の前でのツーショットが残されている。二人で湖東三山を巡った後、私どもを訪ねて来た。母を追うように逝った父の20回目の祥月命日を前にしている。来月は母の、師走には末弟の…、考えれば故人と向き合う月ばかりが続く。そして、いつも「人生はちょっとだけ間に合わない」といった事を感じながら偲ぶことになる。

何ヶ月ぶりかで息子から連絡が入った今日、午後。何事!?かとその着信履歴に驚かされ、すぐに発信してみたら、「お母さんの生年月日はいつだっけ」と来た。「えーっ!? どっか書いとけば」と笑うと、「間違えたら恥ずかしいと思ってな」と…。

朝は朝で、娘が急くように「郵便番号なんだっけ」とオーストラリアから電話をしてきた。郵便局にいるらしい。「Jessieが手紙を出す言うんやけど、末尾を忘れた~」と言う。秋だと言うのになあ、色気もなにもあったものではない。

草木の色づきが目につきだした。街路樹の剪定も一部で始まっている。
「お酒をのもうか銭ためましょか…」と行燈に書かれた狂歌。秋の夜長、おいでおいでと、悩むほど食べ飲みの選択肢は広がる京の夜。

桜でも紅葉でもあの年・この年と、一緒にその景色を見た人との思い出によって、彩りは異なってくる。残された者は過去の記憶を胸にとどめ、日々前を向いて大切に生きていけばよい。できれば毎日楽しく。故人は喜び、子どもたちも安心する、はずだと思うから。これでいこう~。


コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする