庭でたばこを吸うために、お気に入りの場所に置かれたお気に入りの古びた木の椅子。そこに座り、真冬でも冴え返る月を眺めていたという弟の在りし日……。彼が好きだったその場所近くに見つけた朝顔のたね。もらい受けた。
在宅での仕事時間も多かったので、庭いじりを楽しみ漬物作りにも熱心で、出来栄えは上上、楽しみにされていたと聞く。日野菜を刻み、その年初めて桜づけで漬け込んだ、その夕刻に倒れてしまった…。
忌明け法要を勤めた昨年1月のことだから、花が咲いたのはその前年の夏。計算が合っていれば、今日に至るにはおよそ21カ月は経っているわけだ。
……蒔くを忘れた花のたね。
写真用フィルムが入っていた白い透明の容器に密閉されてからでも17か月余り。ひょんなことから姿を現した、黒々としたたね。忘れずに蒔いていたら、きれいな花を咲かせたものを。この長い月日、どんな夢を見ていたのやら、どーにかしてやらねばなるまい。
古いたねはだめなのだろうか。いつ蒔けばいいのか?どーも勝手がわからない。
― この連休明け、気温が安定した頃(地温20度が最適)に蒔くのがよい ―とあるではないか。間に合うな!古くても咲くのだろうか?……そんなことは蒔いてみなければわからないか。
とりあえず、蒔いてみるか。モーツァルトのCDでもたっぷり聴かせてやることにしよう。咲くだろうか。
在宅での仕事時間も多かったので、庭いじりを楽しみ漬物作りにも熱心で、出来栄えは上上、楽しみにされていたと聞く。日野菜を刻み、その年初めて桜づけで漬け込んだ、その夕刻に倒れてしまった…。
忌明け法要を勤めた昨年1月のことだから、花が咲いたのはその前年の夏。計算が合っていれば、今日に至るにはおよそ21カ月は経っているわけだ。
……蒔くを忘れた花のたね。
写真用フィルムが入っていた白い透明の容器に密閉されてからでも17か月余り。ひょんなことから姿を現した、黒々としたたね。忘れずに蒔いていたら、きれいな花を咲かせたものを。この長い月日、どんな夢を見ていたのやら、どーにかしてやらねばなるまい。
古いたねはだめなのだろうか。いつ蒔けばいいのか?どーも勝手がわからない。
― この連休明け、気温が安定した頃(地温20度が最適)に蒔くのがよい ―とあるではないか。間に合うな!古くても咲くのだろうか?……そんなことは蒔いてみなければわからないか。
とりあえず、蒔いてみるか。モーツァルトのCDでもたっぷり聴かせてやることにしよう。咲くだろうか。