伊勢崎市議会議員 多田稔(ただ みのる)の明日へのブログ

行政経営、地方政治、そのほか人生にプラスの楽しいこと eメールアドレスkucctada@mail.goo.ne.jp

政務活動費 Q&A 富山市議会の不正

2016-09-18 18:12:13 | 政治・政策・経済

政務活動費の不正により、富山県内の議員が次々と辞職しています。
7月の県議会議員の辞職が発端です。
9月18日現在、県議会議員が2人辞職、
富山市議会議員は8人が辞職になるようです。

市町村議員は、定数の6分の1以上が欠員となると、
補欠選挙を実施しなければなりません。
補欠選挙には1億円の費用がかかる見込で、五カ月後には、
任期満了に伴う市議選が1億2700万円
かけて実施されます。

住民の血税を不正に使うことは絶対に許されません。
全国の方が強い憤りを感じれおられます。

「政務活動費」とは何か、よく知らない方が多いと思いますので、
今回のブログでは、富山県内の状況を整理するとともに、
あわせて伊勢崎市を含めた地方議員の政務活動費の意味や
実態等について解説します。



1 富山市議会等の状況

・もと自民党会派の会長だった中川氏は、自分が不正するだけでなく、
 同じ会派の議員の政務調査費も自分のものとしていました。
・民進党系の会派に属する2人の議員は共同で不正取得していました。

細かい金額は報道により差異があるので、9月16日の朝日新聞に準拠。



2 政務活動費ってなに?

(1)政務活動費の趣旨
地方分権一括法の施行等により、地方議会や議員の活動が
より重要となったことから、平成12年の地方自治法改正により
地方議会に関して「政務調査費」が制度化されました。

もともとは「政務調査費」でしたが、2012年の地方自治法改正により
政務調査以外の活動も含まれる「政務活動費」に改称されました。
使途があいまいになり、まじめに議会改革に取り組む自治体議員の思いを
あざ笑うかのような改悪であるという批判の声もあります


(2)何に使えるの?
政務活動費を充てることができる経費の例

・調査研究費(交通費、宿泊費、資料印刷費、調査委託費等)
・研修・会議費(会場費、講師謝金、交通費、宿泊費、出席者負担金等)
・資料作成費資料(印刷費、翻訳料等)
・資料購入費(書籍、新聞等)
・広報広聴費(印刷費、会場費、送料等)
・要請・陳情活動費(印刷費、送料、交通費、宿泊費等)
・人件費(補助者の賃金等)
・事務所費(賃借料、維持管理費)

政務活動費に充てることができない経費
・政党活動、後援会活動、選挙経費
・慶弔費、その他の交際費
・個人的な使途に充てる経費
・その他、政務活動の目的に合致しない経費
・食糧費・携帯電話使用料・ガソリン代(伊勢崎市議会の場合禁止)
 (視察先への手土産菓子代等は除く)


(2)いくらもらってるの?
大まかに言うと、都道府県議会議員と政令指定都市の議員は高額で、
その他の市町村の政務活動費は、ほぼ自治体の人口に比例していますが、
県庁所在地の市は、なぜか他の市よりも高い傾向にあるようです。

都道府県議会議員一人当たり 2014年 平均 349千円/月 419万円/年
政令指定都市議員一人当たり 2015年 平均 330千円/月 396万円/年
・市議会議員一人当たりの政務活動費

町村議会議員 2015年平均  9,919円/月 119,028円/年


 (金額についての多田の意見)

 伊勢崎市の場合月額35,000円ですが、
 まじめに政務活動する議員にとっては必要な金額だと思います。
 伊勢崎市の場合、政務調査費が交付されるのは議員個人でなく
 「会派」単位なので、会派としてグループで泊りの研修会へ参加したり、
 会派の市政報告会などを開催すると、そちらに優先的に充てられます。

 私は政経クラブに所属していますが、平成27年度の実績では
 会派単位に交付された政務活動費から、会派の合同経費を差し引いた残りを
 各議員に割り振ると、個人単位で自由に政務調査活動に使えたお金は
 月額25,000円くらいでした。

 私の場合、基礎的な資料として全国紙(朝日、読売、日経)、
 地方紙(上毛新聞)を定期購読していますので、毎月12,891円かかります。
  25,000円-12,891円=12,109円の範囲で、
 政策を考えるのに必要な本や資料を購入し、東京など他の自治体へ
 視察調査にでかけたり、議員向けの研修会へ泊りで参加したりしますので、
 私としては政務調査費が足りずに自己負担している状態です。

 視察・研修の成果はブログで公表し、市民の皆さんや、行政職員、
 他の議員の方にも参考にしていただけるよう努めています。
 参考になった本の内容や感想などもブログに書くようにしています。

 世の中には、政務調査費を使い切ることに対しての批判もあります。
 無理に使い切るのは無駄ですが、私のようにそれ以上の活動をしている場合は
 自己負担して活動していますので、一概に「使い切り」の結果だけを見て
 批判されるのはどうかと思います。

 (多田が昨年度政務調査費で購入した本 こちら
 (多田が昨年度政務調査費で参加した研修・視察等)
  ・「イノベーション発想法」
  ・山形県内視察調査(会派合同)
  ・シロテックス視察(会派合同)他の議員が報告書作成
  ・夜間中学校視察
  ・東洋大学白山学術講演会
  ・セミナー稼ぐまちの経営技術


(3)問題点
 ①政務活動費の収支報告書の提出は義務付けられていますが、
 金額等によっては領収書の添付を求めないケースも多いようです。
 伊勢崎市議会の場合、1円まで領収書を提出することになっています。
 ただし、富山市議会のように領収書を偽造されるとチェックが難しい。

 ②伊勢崎市議会の場合、議員個人でなく会派単位に交付されますので、
 会派として合算して報告書を作成しますが、もしも富山市議会のようなことが
 行われても、他の議員の領収書の適否までは本人以外には確認が難しいと思います。


(4)情報公開
伊勢崎市議会の政務活動費は、会派単位で支出内訳明細書がネットで公開されています。
領収書等は条項公開条例により請求すると確認できます。


P.S.
議員報酬等の話は、別途ご報告したいと思います。



(9月19日追記)

9月19日の読売新聞社の調査から

都道府県と政令市、県庁所在市各議会の
自民系、民進系両会派等を対象に、
自会派の政活費の支出を点検しているか尋ねたところ、
回答があった185会派の4割がノーチェック。

理由は「議員の良識に委ねている」など
個人の責任との回答が最多の29会派。
議会事務局が精査している」との回答も多かった。

支給方法は「会派経由」「議員に直接」など。

野々村県議による政活費の不正が表面化した兵庫県議会は、
同年10月から領収書の原本添付などを義務化。
翌年6月には前払い制を毎月精算の後払い制に改めた。

名古屋市議会では、自民や民進の各会派が、
領収書などを確認してから政活費を支給し、
書類も財務担当の市議らが二重三重で精査。

大分市議会では、
各会派の経理責任者の議員が領収書を1枚ずつチェックし、
不自然な場合などは、発行元に問い合わせる。

前橋市議会の自民会派は、
個人の市政報告会は幹事長などが出向き、
参加人数などを確認する念の入れよう。

大阪府議会は14年度分以降、領収書などをインターネットで公開。
栃木県議会は、公認会計士らによる第三者機関を設置し、
収支報告書や領収書をチェックすることにした。

地方議会に詳しい神戸学院大の上脇教授は
「不正防止には複数の目で点検していくしかない。
 収支報告書は細部まで記載し、ネットに公開して
 チェックが入りやすくすることが必要だ」と指摘。




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 下道寺町 敬老会 | トップ | 敬老の日 おめでとうございます »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

政治・政策・経済」カテゴリの最新記事