血圧に悪い塩ですが、良い塩は良いとの事。
塩分とインスリン
当クリニックで行っている予防歯科の中心は、食生活の改善です。この予防歯科的食生活改善法として指導しているのが、「先住民食」です。これは糖を断ち、肉を食べる食事法なので、「断糖肉食」の食事法ともいわれています。
食事内容の特徴としては糖質制限に近い考えですが、先住民食の最大の特徴は、甘い物は砂糖だろうが代替甘味料だろうが、精製糖だろうが天然に含まれる糖だろうが、何であれ一切摂ってはならないと指導しているところです。天然の甘みを持つ果物もNGという徹底ぶりが、先住民食の特徴となっています。
とまあ話はそれましたが、この食事法では塩分摂取に制限はありません。なので心配する必要はないのですが、実践している人の中には、「しょっぱいものが欲しくなった」とか、「味付けが濃くなった」と訴え、心配する人がいます。塩分は気にしないでいいのですが、そもそもなぜ塩分を求めるようになったのでしょうか?
きっとこれは糖質を制限し、インスリン抵抗性が改善したことによって、インスリンの追加分泌が低下したことによって塩分を欲するようになったと推測されます。というのもインスリンには腎臓に働きかけ、塩分の排泄を阻害する働きがあるからです。高インスリン血症によって低血糖症となっている人は、尿からナトリウムが排泄しづらくなっています。これが改善することによって、今まで以上に腎臓からナトリウムが排泄されるようになることで、ナトリウム、すなわち塩を欲するようになるのでしょう。
これもまた、生体の機能が回復し、正常化していくにつれ、落ち着いていくものと思われます。だからしょっぱいものが欲しくなった時には我慢せずに摂って良いですよと、当クリニックでは指導しています。特に夏場は発汗などでナトリウムが失われやすいですから、塩分は多いより少ない方が人体にとって危険となります。塩気を欲するときには遠慮なく塩分を摂りましょう。