http://www.wound-treatment.jp/new-data/2015-0728/4.pdf
糖質制限で健康になろう
いわゆる三大栄養素のうち,蛋 白質や脂質をいくら食べても血糖値 (血管内のブ ドウ糖の濃度)は上がらないが,炭水化物 (糖 質)の みが血糖値を上昇させる。通常, 高血糖状態ではインスリンが分泌されて血糖値を下げるが,血糖を下げるホルモン はインスリンーつしかなく,5種類ほどのホルモンが血糖上昇作用を持つのと対照 的である。血糖を下げる機能に関しては,い わばセーフティネットがない状態であ り,イ ンスリン分泌異常などが起こると血糖を下げる機能は失われて糖尿病になる。 人体は高血糖状態に対 し脆弱なのである。 一方,高血糖で分泌されたインスリンは過剰なブ ドウ糖を中性月旨肪に変え,そ れ らは肝細胞と脂肪細胞内に蓄積するように作用する。その結果,高血糖状態は解消 して血糖値は正常化するが,肝細胞内の脂肪の蓄積は脂肪肝を引き起こし,皮下脂 肪層と内臓脂肪への脂肪の蓄積は肥満を引き起こす。人間を肥満させる食物は脂肪 でも蛋白質でもなく糖質である。 また,「 脳のエネルギーはブ ドウ糖のみであり,糖質の摂取を止めると脳は正常 に機能しなくなる」という俗説があり,多 くの医師や栄養士はそれを盲信 している が,こ れは全 く非科学的な俗説である。野生の草食哺乳類 も肉食哺乳類 も糖質摂取 ゼロであるにもかかわらず,ほ とんど全ての陸生哺乳類の血糖値は人間の血糖値と ほぼ同値 (100mg/dl)で あるからだ。なぜ,糖質摂取ゼロでも血糖値が維持できる かというと,肝臓での糖新生 (蛋 白質からアミノ酸を経てブ ドウ糖を合成する)に より,ブ ドウ糖は肝臓から常に必要量が供給されているからだ。これは人間も同様 であり,糖質摂取をゼロにしても脳の活動には何 ら問題は生 じないことが証明でき る。そして実際,多 くの糖質制限者は,そ れ以前の食事より知的生産活動の時間が 増えることを報告 している。