健保のつぶやき

食事、トイレと他人様に頼る必要はないが、薬に頼る生活がソロソロ始まりました。当面は「親鸞さん」に照準。

糖尿病 新薬 

2014-09-15 12:02:12 | けんこう

質疑応答

SGLT2阻害薬の選択方法

■Q

現在,6剤のSGLT2阻害薬が,承認・申請されている。これらの使いわけについて。処方時に注意するべき患者の特徴なども併せて。済生会横浜市東部病院糖尿病・内分泌内科院長補佐の比嘉眞理子先生に。 (東京都 S)

■A

経口血糖降下薬はインスリン抵抗性改善薬,インスリン分泌促進薬,食後高血糖改善薬の3種類にわけられている。
2014年春からSGLT2阻害薬が新たなカテゴリーの薬剤として登場した。そこで,筆者が日常診療で行っている2型糖尿病薬の選択方法についてSGLT2阻害薬を含めて述べる。

(1)経口血糖降下薬選択—HbA1c別(図1)
①HbA1c 7%未満
食事療法を含めた生活習慣改善指導を行い,1~3カ月で目標に到達しなければ薬物療法を追加する。α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI),ビグアナイド(BG)薬やチアゾリジン薬であるピオグリタゾン(PIO)のような低血糖を起こしにくい薬剤の中から1剤選択する。
この際,腎機能障害者や高齢者にはBG薬の投与は禁忌である。PIOは,心不全患者に禁忌である。また,膀胱癌のリスクについて患者に説明することが必要である。さらに1~3カ月後,血糖管理目標に到達しなければ上記の3剤の中から,もう1剤追加する。
②HbA1c 7~8.9%
食事療法を含めた生活習慣改善指導を行う。高血糖の程度によっては内服薬を同時に開始する。肥満やインスリン抵抗性がある場合は,α-GIやBG薬,PIOを優先するが,DPP-4阻害薬を選択してもよい。
非肥満例やインスリン抵抗性がない患者では,DPP-4阻害薬や速効型インスリン分泌促進薬(グリニド系薬)を選択するが,α-GIやBG薬でも問題はない。PIOはインスリン抵抗性を有する症例のほうが効果を期待しやすい。1剤で血糖管理目標に到達しなければ,使用している薬剤の増量か,他の薬剤を1剤追加する。少量のスルホニル尿素(SU)薬も選択肢になる。
肥満があり,65歳以下の男性であれば2剤目の薬剤としてSGLT2阻害薬も有効である。女性患者は,尿路感染や性器感染症に注意して使用する。SGLT2阻害薬は,痩せた低栄養患者や高齢者,脳血管障害既往のある患者,尿路感染を繰り返す患者への投与は避ける。
③HbA1c 9%以上
著明な高血糖(空腹時250mg/dL以上,または随時血糖350mg/dL以上)の場合はインスリン療法の適応である。それ以外であれば,食事療法を含めた生活習慣改善指導を行い,同時に内服薬を開始する。DPP-4阻害薬,グリニド系薬,少量のSU薬を選択する。インスリン療法を選択する場合もある。肥満やインスリン抵抗性がある場合はこれらの薬剤にα-GIや,禁忌がなければBG薬やPIOを併用する。血糖管理目標に到達しない場合の2剤目として,肥満があり,65歳以下の男性であればSGLT2阻害薬は良い適応となる。

(2)SGLT2阻害薬について
使用経験が少ないため,現時点では最初に選択することは避けたほうがよい。しかし,肥満症例では,2剤目以降の選択肢として有効である。経験が蓄積されれば,最初に選択することも可能と考える。しかし,尿路感染や脱水のリスクがあり,比較的若い肥満例に使用すべきである。また,痩せ型の2型糖尿病患者や内因性インスリン分泌が枯渇している患者への使用は避けるべきである。
6種類のSGLT2阻害薬は,SGLT2への選択性の高さや結合率に違いがあることが指摘されている。しかし,それだけで治療効果を推定することはできないと考える。今後,臨床での使用経験を積み重ね,検討することが重要である。
【回答者】
比嘉眞理子:済生会横浜市東部病院糖尿病・内分泌内科院長補佐

 

 

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SGLT2阻害薬の選択方法

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