僕と、お父さんとボクとの約束(3)

2022-02-02 11:23:03 | 童話
僕は、その日から毎日、ヒジを曲げるようにして練習を続けていて、逆上がりができるようになった。
僕は速く走ることと、逆上がりができるようになる練習を続けていたので、ご飯を食べるのも、学校へ行くのも早くできるようになった。

僕は、ご飯を食べている時に、徒競走で3番になった事と、鉄棒の逆上がりができるようになった事を、お父さんとお母さんに話をした。
お母さんは
『すごいわね。』
と言ってくれて、お父さんは
『どうしてできるようになったんだい?』
と聞いたので、僕は
『新しい友達が教えてくれたんだよ。』
と答えた。
だけれど、ボクの事は話をしなかった。

そしてある日、僕は友達とボクの3人で自転車で近くの公園に行った。公園までの道は上り坂だが、ボクが1番で僕が2番で、友達が3番目だった。今迄は僕は友達にかなわなかったので、友達が
『どうしてそんなに速く走れるようになったの。』
と言って驚いていた。
 
僕を頑張れるようにしてくれたボクはすごいと思う。ボクは本当に僕のお父さんの子供の頃なのだろうか?
『ねぇお父さん、お父さんは小さな子供の頃は、走るのが速く、鉄棒の逆上がりもできていたの?』
『走るのが遅く、鉄棒の逆上がりも全然できなかったよ。』
『でも、今はできるでしょ?』
『そうだね、逆上がりはできるけれど、今は走るのは遅くなっただろうね。全然運動をしていないからね。』
『でも速かったんでしょ?』
『そうだね、速かったよ。』
『お父さんはだれから教えてもらったの?』
『お父さんのお父さんから教えてもらったのだよ。』
『ふぅ~ん。僕はね、お父さんに教えてもらったんだよ。』
『お父さんは教えていないよ。』

『ううん、お父さんの子供の頃の男の子から教えてもらったんだよ。』
『そうか、お父さんも、お父さんのお父さんの子供の頃の男の子から教えてもらったんだよ。』
『僕と同じだね。』
『これは、お父さんとお前との秘密だよ。』
『うん、僕とお父さんとの秘密だよね。それから、僕はボクとずっと仲良くするね。』

  おわり