100才の小学生(3)

2022-02-23 14:38:13 | 童話
暑い夏が終って、村で盆踊りをすることになり、村のみんなが盆踊りの準備をアライグマさんとネズミさんに頼みました。しかし、アライグマさんもネズミさんも力が弱くて重い物を持てないので、田中トメさんに相談しました。
田中トメさんが力持ちの馬さんと牛さんに手伝ってもらうようにしました。盆踊りの舞台を組立てる長い木の棒を、馬さんと牛さんはたくさん運んで来て、アライグマさんとネズミさんが木と木をヒモで結んで舞台を組立てました。
『馬さんと牛さん、ありがとう、力持ちの馬さんと牛さんに手伝ってもらったから、みんなで盆踊りができるね。』
『そうよね、馬さんと牛さんが手伝ってくれなかったら盆踊りができなかったわよね。ありがとうね。』と、田中トメさんも喜びました。

そして、盆踊りの会場でにぎやかな盆踊りが開かれて、みんなが大きな輪になって楽しく踊りました。
『来年も楽しい盆踊りをやろうね。』
『そうだね。楽しい盆踊りをやろうね。』

100才の小学生(2)

2022-02-21 10:52:55 | 童話
ある日、公園にジュースの空き缶がたくさん捨てられていたので、掃除をする班のイヌさんとタヌキさんとキツネさんが
鈴木ヨシさんに相談しました。
『今まで公園にはゴミは捨てられていなかったわよね、誰が捨てたのかしら、公園の管理事務所で調べてくるわね。』
そして、鈴木ヨシさんがみんなの所に帰って来てお話しをしました。
『分かったわよ、昨日、公園で少年野球があったんだけれど、どこかのチームの子供が、あとで片付けようとて忘れていたんだって。事務所の方でチームの監督さんに電話をして分かったの。』
『ああ良かったね。また明日も掃除をするからね。』
『お願いね。』

100才の小学生(1)

2022-02-20 17:10:06 | 童話
ここは小さな村の小学校で、生徒はたくさんの動物や木やお花です。
人間は100才以上の人だけが生徒になることができます。だけれど、この学校には先生はいません。みんなが生徒で、みんなが先生です。
今の人間の生徒は、鈴木ヨシさんと、田中トメさんと、山田熊太郎さんの三人だけです。

国語や算数や社会の勉強はしません。勉強をするのは、掃除や片付けと、みんなと仲良くする方法を勉強します。
そして、みんなが自分の所へ帰った時に勉強した事を行ないます。
掃除をする班は、公園や道路の落葉とゴミを拾い集めてゴミ箱に入れます。これは、イヌさんやタヌキさんやキツネさんが行ない、終ったら小学校で落葉やゴミの数を報告します。そうして、どうしたらゴミが捨てられなくなるのか小学校で発表します。
また、きれいだった場所や、汚れていた場所、そうして、掃除にかかった時間も報告をします。
だけれど、ネコさんは掃除をうまくできないので他の事をやります。ネコさんは長い時間続けて掃除をする事ができないのです。
片付けする班は、アライグマさんとネズミさんが行ないます。
特にアライグマさんは良く洗ってから片付けます。
みんなと仲良くする方法の班は、
馬さんと牛さんがリーダーになって、木やお花のみんなと相談して決めます。

では、人間の鈴木ヨシさんと、田中トメさんと、山田熊太郎さんは何をしているのでしょうか?
三人とも100才以上なのでたくさんの事を知っているので、みんなが相談に来ます。
掃除の事は鈴木ヨシさんに相談し、片付けのことは田中トメさんに相談し、みんなと仲良くする方法の事は山田熊太郎さんに相談します。

20センチの巨人(6)

2022-02-19 10:01:52 | 童話
みんなが勉強をしている時には、巨人さんは箱の穴から僕達が勉強をしているところを見ていました。
体育の時間は箱から出て体育館でみんなと一緒に体操をし、給食は僕のを、わけてあげて、みんなと一緒に食べました。

そして、下校時間になったので、みんなとバイバイしました。
『巨人さん、バイバイ。』
『巨人さん、またね。』
『巨人さん、今度いつ来るの?』
『巨人さん、楽しかったね。バイバイ。』
『みんな、バイバ~イ。』
家に着いて、僕が宿題をしている時に、巨人さんは僕の宿題を見ていました。

巨人さんが本の中に帰る時間になったので、また物干しさおをつたって帰って行きました。
『巨人さん、バイバイ。』
『今日はすごく楽しかったよ。バイバイ。』
『そう、良かったね。バイバ~イ。』
巨人さんは本の中の巨人なので20センチですが、僕は大きいので本の中には入れません。
だから、巨人さんが本の中から出て来た時に一緒に遊びます。

おしまい

20センチの巨人(5)

2022-02-18 21:13:34 | 童話

『ねえお母さん、この物干しさおはこのままにしていていいでしょ?』
『何に使うの?』
『巨人さんが、また僕の所に来る時に使うんだよ。』
『ええ、いいわよ。』
『巨人さん、この物干しさおはこのままにしておくから、次に来る時に使ってね。』
『ああ、ありがとうよ。』

四月になって僕は小学生になり、毎日ランドセルを背負って、黄色いぼうしをかぶって学校へ行っています。
ある日、巨人さんが
『わしも学校へ行ってみたいなあ。』
と言ったので、箱の中に入ってもらって連れて行ってあげることにして、箱に穴を開けて外が見えるようにして、
『巨人さん、学校へ行く用意ができたよ。』
と教えてあげました。
すると、巨人さんは物干しさおを伝わって上がって来ました。
『この箱の中に入るのかい?』
『そうだよ。』
そして、僕は巨人さんの入った箱を持って学校に行きました。
すると友達がみんなで
『それは何なの?』
『巨人さんなのに小さいんだね。』
『どこから来たの?』
『へえ~、いつもは本の中にいるんだ。』
『もう大きくならないの?』
『巨人さんの学校はどこに有るの?』
と言いました。