なぜだろう(4)

2020-05-21 08:55:47 | 童話
僕は友達に聞いてみた。
「ねぇ、君んちのお花やテーブルは話をするの? 僕んちのお花やテーブルはお話しをするんだよ。」
「うん、お話しするよ。」
「いつから?」
「この前の雷が落ちた時からだよ。」
「ふぅ~ん。僕んちと同じだね。」
「そうだね。」
「どうしてなのかなぁ。」
「どうしてなのかね。」
「だれかに聞いてみようか?」

「ねぇお母さん お花やテーブルはしゃべれるの?」
「えっ、人間じゃないのに、しゃべれるハズが無いでしょ。」
「僕んちのお花やテーブルもお話しするよ。」
「そう、不思議ね。」
「どうしてなのかなぁ?」
「お母さんも分からないわ。」
「ねぇお母さん、このテーブルとお話しをしてみて。」
「もしもしテーブルさん、お話しができますか?」

「僕には話しかけるのに、お母さんには返事しないね。」
「そうだね。今度はお花に話しかけてよ。」
「お花さん、お花さん、返事をしてね。」
「やっぱり大人には話しかけないんだ。」
「そうだね。」

なぜだろう(3)

2020-05-20 07:14:36 | 童話
電車に乗っていると、窓に映った僕が話しかけてくる。
「気を付けていないと、電車が揺れた時に転ぶよ。」
「うん、わかった。」
どうしてみんなが話しかけてくるのだろうか?
何時ごろから話しかけてくるようになったのだろうか?

夏休みのある日の夕立で、近くの大きな杉の木に雷が落ちた事が有る。
ゴロゴロ、ゴロゴロ、ピカッ、ドド~ン。
「ビックリしたね。」
僕がおもわずつぶやいた時に、部屋の中に置いて有るサボテンが
「そうだね、ビックリしたね。」と返事をした。
「えっ、だれ?」
「僕だよ。サボテンだよ。」
「サボテン君はしゃべれるの?」
「うん、しゃべれるけれど、今迄黙っていたんだよ。」
「君以外にしゃべれる植物がいるの?」
「みんなしゃべれるよ。」

僕は玄関に飾っている花瓶の花に話しかけた。
「君もしゃべれるの?」
「うん、しゃべれるよ。」
「机の僕もしゃべれるよ。」
「テーブルの私もしゃべれるわよ。」
「植物以外もしゃべれるんだ。」
「犬や猫もしゃべれるよ。」
「わぁ、楽しいなぁ。みんなでお話しをしようよ。」
「ワイワイ、ガヤガヤ。」
僕以外にも、みんなとお話しができる子がいるのかなぁ?

なぜだろう(2)

2020-05-19 09:10:40 | 童話
家に帰って手を洗っていると、水道の蛇口から声が聞こえる。
「今日も楽しかった? せっけんをよく付けてゴシゴシと洗ってね。」
「うん、わかった。」

お母さんが用意してくれていたオヤツのケーキを食べようとするとフォークが話しかけてくる。
「今日のケーキはね、高いケーキだから特別おいしいよ。」
「そうだね、いつものケーキよりおいしいね。」
「終ったら片付けてね。」
「うん、わかった。」
「これから、どこへ行くの?」
「これからお母さんとお買い物に行くんだよ。」
「何を買いに行くの?」
「スニーカーを買ってもらうんだよ。」
「カッコいいのを買ってもらうの?」
「ううん、普通のだよ。走りやすいのがいいんだ。」
「お母さんが来たよ、行ってらっしゃい。」
「うん、行ってくるからね。」

なぜだろう(1)

2020-05-18 07:11:44 | 童話
「おはよう。忘れ物は無~い? 教科書とノートは全部持ったの? 宿題のプリントも持ったの?」
「おはよう。全部持ったよ。」
僕に毎朝、玄関の花瓶の花が話し掛けてくる。

「おかえり。学校は今日も楽しかった? 宿題は有るの?」
「ただいま。宿題はね、プリントが2枚だよ。」
僕は玄関の花瓶の花に話し掛ける。

僕が宿題をしていると、机が話しかけてくる。
「今日も学校で頑張ったね。」
「うん、勉強も運動会の練習も頑張ったよ。」
「宿題が終ったらどこへ行くの?」
「友達とグラウンドで野球をするんだよ。」
「ケガをしないでね。」
「うん、わかったよ。」
「宿題が終ったからグラウンドへ行ってくるからね。」
「行ってらっしゃい。」
僕は机に行ってきますを言ってグラウンドへ向った。

タヌキとキツネと人間と(5)

2020-05-17 07:12:26 | 童話
そして、タヌキがお寺の近くにあるお店でアイスクリームを買う時に、人間がタヌキの頭を撫でるのを見ました。
そして、キツネがお寺の和尚さんに「人間はタヌキと同じように、僕を騙さないでほしいなあ。」と言いました。
すると、和尚さんが
「キツネとタヌキが石のお金で人間を騙したのではないか。人間は優しいから友達のタヌキには騙されてやったのだよ。」
と言いました。
キツネは
「そうだね、僕たちが騙したんだね。」
と言いました。

また、タヌキが神社の神主さんに
「人間はキツネと同じように、僕を騙さないでほしいなあ。」
と言いました。すると、神主さんが
「タヌキとキツネが石のお金で人間を騙したのではないか。人間は優しいから神様の使いのキツネには騙されてやったのだよ。」
と言いました。
タヌキは
「そうだね、僕たちが騙したんだね。」
と言いました。
そして、キツネとタヌキは
「もう人間を騙さないようにしようね。」
と言いました。

おしまい