犬の社長(1)

2020-05-11 07:31:36 | 童話
僕の飼っている犬は、夜になると社長になります。
犬や猫用の、食べ物や家を売っている会社の社長です。
ここは僕の夢の中の、夜だけの会社です。

僕はこの会社で配達をしています。
大きなトラックを運転して、荷台いっぱいの食べ物や家を配達します。
トラックはたくさん有って、僕以外にもトラックを運転している人がたくさんいます。

犬の社長は、出来上がった食べ物を食べて、おいしいかどうか調べます。それと、家は寝心地が良いかどうかを自分で寝て確かめます。特に猫用の家は、寒がりの猫が温かく寝られるかどうかも調べます。
そして、犬の社長がOKを出した物だけをトラックで配達します。

その夜も、僕はトラックで配達が終わった朝に目がさめました。
僕は毎朝、犬を連れて散歩に行きます。
散歩の時に、僕の犬は向うから来た犬や猫とお話しをします。
食べ物や家の話をしているのかなあ?
みんなの意見を聞いているのかなあ?

散歩している時にペットショップの前でトラックが止まって、荷物を下ろしていました。その荷物を下ろしている人は、夢の中で一緒にトラックを運転している人です。
『君はもう配達が終わったのかい? 私はまだ荷物が一杯で終わっていないんだ。』
僕は、もう夢の中ではないのにおかしいなぁと思いました。
すると、僕の犬が
『あの人は夢の中で荷物を運ぶのが終わらなかったんだよ。』
と言いました。