犬の社長(2)

2020-05-12 07:36:17 | 童話
その夜の夢の中で、ペットショップの前で荷物を下ろしていた運転手さんが
『昼間は荷物が一杯で大変だったよ。』
と話しかけてきました。
その時、犬の社長がその運転手さんに
『お疲れ様でした。』
と言いました。
そして、僕も
『お疲れ様でした。』
と言いました。

その夜も、僕はトラックで配達が終わった朝に目がさめました。
そして、犬を連れて散歩している時に、また、あの運転手さんに会いました。
『君はもう配達が終わったのかい? 私はまだ荷物が一杯で終わっていないんだ。』
と言ったので、僕は、あの人はまた夢の中で荷物を運ぶのが終わらなかったんだね、と思いました。

何日かして、夢の中で犬の社長がみんなを集めた会議をしました。
犬の社長は
『みんなが頑張ってくれたので、たくさん売れました、ありがとう。』
と言ったので、みんなは、パチパチパチパチと拍手をしました。
僕は、その拍手の音で目がさめました。

僕が犬に
『たくさん売れて良かったね。』
と言うと、犬は
『ありがとう。』
と言いました。

そして、昼間は僕が犬を散歩に連れて行き、夜は僕が犬の社長の代わりにトラックで荷物を配達するのを続けています。
 
おしまい