僕の電車のお客さん(2)

2020-05-06 09:01:01 | 童話
僕が起きると、お母さんが
『よく昼寝したわね。あら、お顔が黒くなっているわね。あらっ、シロの毛も黒く汚れているわね。どうしたのかしら?』
『蒸気機関車を運転してトンネルの中を走ったからだよ。』
『ええっ。』

次の土曜日に、僕はお父さんからトロッコ電車の旅行パンフレットを見せてもらった。
お母さんが
『あらっ、素敵ね、ここへ行きたいわね。』
と言ったので、次の日曜日に僕がトロッコ電車を運転して、お父さんとお母さんを乗せてあげることにした。
また僕が運転手で、助手は犬のシロです。

そして、ホームのアナウンスがありました。
『左の方からトロッコ電車が入って来ます、お客さんは切符を買って、客車がちゃんと止まるまでお待ちください。』
『ゴトンゴトン、ゴトンゴトン、ゴトンゴトン。』
『停車位置よ~しっ。』
『今の駅、今の駅。』
『皆さん、今の駅に到着しました。乗る人は、降りる人が終ってからお願いします。』
『ルルルルルル。』
『皆さん発車しま~す。次は「次の駅」、「次の駅」で~す。』
『ゴトンゴトン、ゴトンゴトン。』
『わぁ、谷の上の鉄橋だ、高い所を走っているんだね。』
『ええ、そうよ。素敵ね。』
お母さんは大変楽しそうです。

そして、トロッコ電車は「次の駅」に着きました。お父さんとお母さんはこの駅で降ります。
『はい、ありがとうございました。切符はこの箱に入れてください。』
僕とシロが運転するトロッコ電車はもっと高い山の駅へ走って行きました。
『ゴトンゴトン、ゴトンゴトン。』
僕が起きると、お母さんが
『よく昼寝したわね。あら、どうしてモミジの葉っぱを持っているの?
あらっ、シロの毛にも草が付いているわね、どうしたのかしら?』
『トロッコ電車で山の高い所へ行ったからだよ。』
『ええっ。』

『うちの子は、今度ロケットに乗ったら火星の石でも持ってくるんじゃない?』
『そうかも知れないね。』
僕は、お父さんとお母さんのお話しを聞いて、次はロケットを運転しようと思った。
だけど、ロケットの運転席が分からないので、絵本で調べてから乗ろうと思った。
まだ、ロケットの運転席の絵本は見つからないが、ロケットを運転するのが楽しみだ。

おしまい