空のイルカ、夢のイルカ(2)

2018-06-17 09:08:19 | 童話
『あんなに高く上がったら取れないよ。風に流されてドンドン高く上がって行くよ。』
『よしっ、一緒に取りに行こうか?』
『あんな高い所へ、どうやって取りに行くの?』
『僕の背ビレにつかまっていて。』
『うん、いいよ。』
『それでは行くよ。』

イルカは力いっぱい尾ビレで水をたたきました。すると、イルカと僕は空へ上がり始めました。そして、イルカは尾ビレを何度も何度も動かして、ドンドン高く上がって行きました。そして、ビーチボールに近付きました。
『イルカ君、もう少しだ、がんばって。』
『うん、もう少しだね。』
『あっ、届いたよ。』
『ビーチボールをつかんだら降りて行くよ。』
『うん、いいよ。』

僕とイルカは海に戻って来ました。
『イルカ君はどこまで高く上がって行けるの。』
『ずっと空高く行けるよ。空だけでなく夢の中へも行けるんだよ。』
『夢の中へは、どうやって行くの?』
『僕が頭の上で1回転すると夢の中へ行けるんだよ。』
『やってみてよ。』
『いいよ。僕が頭の上を飛び越えるから、海の中で立っていてね。』
『うん、いいよ。』

イルカがすごいスピードで泳いで来て、立っている僕の上を飛び越えて、1回転しました。その時僕の目の前が少し暗くなりました。
『今、夢の中に来たよ。これから、どんな夢の中へ行こうか?』
『どんな夢の中へも行けるの?』
『行けるよ。』
『飛行機を操縦している夢へ行きたいな。』
『いいよ。目を閉じていて。』
『うん。』
『もういいよ。』