山の上のロックの永~い旅(1)

2018-06-06 05:43:56 | 童話
僕の名前はロック、今お姉ちゃんや弟とお父さんとお母さんにくっついて、山の上に居る。
ここは見晴らしが良くて気に入っていて、雪が溶け、チョウチョやミツバチがお花の蜜を探して飛び、小さな植物が実を付け、そして、次の年また雪が降る。
この自然の繰り返しが心地よいのだ。
雪の時はブルブルッと震え、春風にホンワカ、ホンワカ。
雷にはビックリするけれど、夕立のシャワーは気持ちいい。
秋になると小さな木の実が一杯で、動物たちは満腹満腹。

僕達兄弟は、お父さんお母さんにくっ付いて暮らしていたが、永い年月が経って、雨と雪で少しずつ隙間が広がってきたので、お父さんが、僕たち兄弟に
『いつでも自分で行動できるようにしていなさい。』
と言った。

しばらくして、兄弟の中で僕が一番に離れる事になった。
雨が強くなってきたが、僕はみんなと離れるのがイヤで、しっかりとくっ付いていた。
そして雨が止んで虹が出た。
『お兄ちゃん、虹が綺麗だね。』
『そうだね。』

その時、僕はふあっと身体が浮かんで、今度はドスンと何かにぶつかった。
その後は目が回る位ゴロゴロと転がり始めた。
うわっ、う~わっ、止らないよ。

大きな杉の木が
『お~いっ、どこまで行くんだい。』
『分かんないよ。』

大きな熊が
『駆けっこなら負けないよ。』
『今はダメだよ、今度ね。』

小さなウサギが飛び跳ねて
『危ないなぁ。』
『ゴメン、ゴメン、大丈夫かい?』

僕は回転するスビードが遅くなってきたのが分かった。
その時、何にぶつかって止った。
ここはどこなんだろう?
僕は周りを見渡した。
『森だ、森の中だ。』