食道がんと闘う自然爺の活動

自然の中での暮らしに憧れ、自作の山小屋を起点に自然と戯れていたが、平成21年10月、食道・胃がんが見つかり手術。

『回顧録、手術』

2013年01月22日 18時10分54秒 | 回顧録

朝9時から手術室へ行く。大した用はないのに5時頃に目が覚めて、もう少し寝ようと

しても目が合わず、そのまま起きてTVを観ていた。朝食の時間になっても、私は餌を

貰えない犬のようにヒモジイ。やがて、妻と娘がやって来て術前に少しだけリラックス

をする。手術中、家族はすぐ傍にある控室で待機するが、だれか一人は必ず在室す

るようになっていた。最初は妻だけでいいと考えていたら、そんな仕組みになっている

のを後で知り、妻と娘の相談の結果娘にもご足労を願うことになる。6Fの病室から2F

の手術室へは迎えに来た看護師さんと徒歩で、案内されたいつもは乗ることのない

専用のエレベーターに乗せて貰う。

この部屋は一旦、退去となり荷物は自宅に持ち帰り、必要なものはICUに持って行くこ

とになっていた。手術室の入口の所で看護師さんに抜けそうな歯のことを説明し、可能

ならば残しておいて欲しいが状況に応じて抜いて貰っても結構と告げ、付き添いに来

ていた妻と娘には『じゃー、行ってくるね』と軽やかな足取りで部屋に入る。

手術台までももちろん徒歩、テレビで見る手術室のシーンと同じ。広い部屋がどんな風

に区切られていたか全然覚えていないが何組もの手術ができるよう、しかもスペースは

フレキシブルになるような・・・・・?

手術台に登ると下着もはぎとられ、下半身はアルコールかなんかで拭かれ、やがて脊

に注射を打つからとエビのように丸い姿勢をさせられた。もう、ここまでくると何でもあ

れ、怖いものなど何にもねー。

再び、仰向けになると例の丸い奴がいっぱいあるライトが煌々と点いている。『麻酔をか

ます』と言われ、マスクのようなものも用意され、いよいよ麻酔が効くのを待つだけで目

が覚めたら癌とはバイビーしているはず。

ところが、心配していた『酒飲みは麻酔の利きが悪い』、これは本当なのかも知れないと

配になるほど、頭は冴えてギンギンだ。まさか、麻酔が半生の状態で手術をすることは

ないだろうから、もしもそんな状況になったら先生に大声で教えてあげよう・・・・・なんて思

っていたら頭の中は突然、停電した。

心電計で言うなら『ピッ・ピッ・ピッ・ピーーーーーーーー』ここで主役のがん患者は台詞

し、出番なしになり、ラッキーコースの人は麻酔が解かれ舞台に再登場、アンラッキー

コースの人は意識がなくなったままの状態が永遠に続くことになる。

普通、意識を失うことはないから私は知らないが、この場で経験した無意識は、本当に

何もない無の状態で、夢を見るようなことも何もない。時間軸は進んで行っても意識はな

いし、脳は寝ている時の無意識とは違うから、目が覚めたら浦島太郎と同じだ。

もう少し現代的に言えばエイリアンの最初のシーン、宇宙で何年か寝た状態で移動する、

あんな感じだろうか。

 

 


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