[画像]異例のNHKニュース7単独インタビューに答える、河戸光彦・会計検査院長、NHK放送画面から宮崎信行がスクリーンショット。
会計検査院が、学校法人森友学園に対する、財務省近畿財務局の国有地売却額の妥当性について、検査を断念した可能性が高まりました。
検査院は、平成29年2017年3月6日(月)の第193回通常国会の参議院予算委員会(山本一太委員長)で、自民党も含めた全会一致で、国会法にもとづく、会計検査を求められていました。
さきほどの、NHKニュース7で、河戸光彦・会計検査院長の単独インタビューが報じられました。天皇に認証される「通称・認証官」で国会法にもとづく政府特別補佐人のマスコミでの単独インタビューは異例。検査院を担当する東京社会部記者が取材したと思われます。
この中で、河戸院長は「検証には書類が保存されていることが必要で、その一部が欠けていて、部分的に検証できないような状況は問題がある」と語りました。
これは、財務省近畿財務局や、国土交通省大阪航空局を批判しながらも、検査院が積算できなかったという報告に向けての着地点の地ならしだと、私は思います。
[画像]異例のNHKニュース7単独インタビューに答える、河戸光彦・会計検査院長、NHK放送画面から宮崎信行がスクリーンショット。
[画像]異例のNHKニュース7単独インタビューに答える、河戸光彦・会計検査院長、NHK放送画面から宮崎信行がスクリーンショット。
検査院は前日に1年に1度の会計検査報告書の首相への手交(手渡し、報告)を終えており、検査院独自の、「出張検査を半年、計数検算を半年」していくスケジュールの端境期にあたります。
すでに東京新聞が6億円程度の不当な値引きがあったのではないか、との観測を報じました。この報道の真偽は不明ですが、その後に何らかの圧力がかかった可能性は否めません。
河戸院長は、東大法学部卒業後、昭和51年(1976年)に入省したプロパー職員。検査院は新しい立派なビルに入居しましたが、根拠法規が日本国憲法という唯一の官庁ながら、霞が関において、財務省とそれ以外の省の両方から嫌われる随一の嫌われ者官庁だけに、後輩たちを守りたい意識が働いたのかもしれません。
私が国家賠償法を読んで解釈した限りでは、6億円が不当に値引きされていたとしたら、その6億円も賠償の対象になるようです。これは、具体的に6億円の現金が流れていないのに、賠償の対象になる珍しいケースになったのではないかと思います。ただ、検査院が積算しない場合は、大阪地検特捜部の刑事事件マターとなり、国会での追及の矛がにぶるのは確実です。
第195回特別国会は、再来週の、衆参予算委員会審議を予定しています。
[NHKニュースから引用はじめ]
森友学園問題 会計検査院長「検証に必要な書類欠けている」
11月9日 19時15分
大阪の学校法人「森友学園」に国有地が8億円余り値引きされて売却された経緯などについて調べている会計検査院の河戸光彦院長が、NHKのインタビューで、「検証に必要な書類が部分的に欠けていて、検証できないような状況は問題がある」などと述べ、値引きの根拠となった会計書類が十分に残されていないことは問題だという認識を示しました。
去年6月大阪・豊中市の国有地が、地中のごみの撤去費用などとしておよそ8億2000万円値引きされて森友学園におよそ1億3400万円で売却された問題では、会計検査院が国会の要請を受けて値引きが適正だったかなどについて調べています。
財務省からごみの撤去費用などの見積もりを依頼された国土交通省は、平成21年度に行った国有地の地質調査の結果をもとに、地中のおよそ47%にごみが混入していると推定し、8億2000万円の値引きは「合理的に算出された金額だ」と国会で説明していました。
会計検査院の河戸院長はNHKのインタビューで、「検証には書類が保存されていることが必要で、その一部が欠けていて、部分的に検証できないような状況は問題がある」などと述べ、値引きの根拠となった会計書類が財務省や国土交通省に十分に残されていないことは問題だという認識を示しました。
また、適正と考えられる値引き額については「積算のやり方は特殊な事情があれば、特例的なやり方を考えることもある。正解が1つとはなかなか決められないのではないか」と述べました。
そのうえで検査の進捗(しんちょく)状況について「検査は詰めの段階にある。今後まとめる報告書にもとづいて国会などで議論が行われていくものと考えている」と述べました。
森友学園問題の経緯
大阪・豊中市の国有地が大阪の学校法人「森友学園」に8億円余り値引きされて売却された問題は、ことし2月に発覚しました。
大阪・豊中市のおよそ8800平方メートルの国有地について、近畿財務局が去年6月に、鑑定価格の9億5600万円からごみの撤去費用などおよそ8億2000万円を値引きし、1億3400万円で売却していたことが明らかになりました。「森友学園」がことし4月の開校を目指して、小学校の建設工事を進めていた去年3月に、地中からごみが見つかったことがきっかけでした。
近畿財務局はごみの撤去・処分費用の見積もりを、この国有地を管理している大阪航空局に依頼し、航空局は、地中の状況を調べた報告書や施工業者が撮影した写真などをもとに、ごみの撤去費用などを8億2000万円と推計しました。
しかし、これについて国会では、8億円の値引き額の算定の根拠があいまいで、不当な値引きが行われたのではないかという質問や、国と学園との一連の交渉の経緯がわかる文書が残されていないことへの批判が相次ぎました。また、安倍総理大臣の妻の昭恵氏が小学校の名誉校長を務めていたことなどから売却の経緯にも関わっていたのではないかなどと議論は紛糾しました。
国会はことし3月、会計検査院に対し、学園に関する国側の対応に問題がなかったか明らかにするよう検査を要請しました。これを受けて、会計検査院は、国有地が森友学園に売却されるまでの一連の経緯、売却価格やその算定手続きなどが適正かどうか、そして関係する行政文書の管理状況の3つを主な検査項目と定めて、財務省や国土交通省から会計書類の提出を受けるなどして検査を進めています。
文書管理と検査院の検査
会計検査院は8億円余りの値引きが適正だったかなどについて、財務省や国土交通省から売却価格の算定の根拠となる会計書類などの提供を受けて、検証を進めてきました。
検査院は法律にのっとって、各地の国有地について定期的にその価格や売却の際の契約書の提出を受けていますが、今回のように国有地の売却額が適正だったかを調べるためには、契約書以外にも帳簿類などさまざまな会計書類が必要となります。
しかし、こうした資料の保存期限は各省庁がルールをつくり判断しているため、今回の検査では、財務省や国土交通省に売却額の算定方法を再現し、検証できるだけの会計書類が残されているかどうかがポイントとなっていました。
[NHKニュースから引用おわり]
[国会会議録データベースから抜粋引用はじめ]
第193回国会 予算委員会 第7号
平成二十九年三月六日(月曜日)
午前九時五分開会
(略)
○委員長(山本一太君) 会計検査の要請に関する件についてお諮りいたします。
予算の執行状況に関する調査のため、会計検査院に対し、お手元に配付のとおり、学校法人森友学園に対する国有地の売却等について会計検査を行い、その結果を本委員会に報告するよう議長を経由して要請いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本一太君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
次回は明七日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後六時七分散会
[国会会議録データベースから抜粋引用おわり]