民主党の野田佳彦、自民党の谷垣禎一、公明党の山口那津男の3党首は2012年8月8日午後7時半から会談し、3党合意にもとづく社会保障と税の一体改革法案を成立させ、「近いうちに信を問う」ことで一致しました。これにより、小沢一郎氏らが前日夕に提出した野田内閣不信任決議案は、公明党も反対することから、否決は絶対的となりました。9日ないし10日の衆院本会議で否決し、その後、10日中にも参議院特別委員会で、一体改革法案のしめくくり質疑、討論、採決が行われ民主党・自民党・公明党などの賛成多数で可決。本会議の委員長報告のうえ、衆院採決時と同じ文面で可決・成立する運び。消費税率は、2年後の2014年(平成26年)の4月1日に「8%」、その1年半後に「10%」になります。参院に提出された野田首相問責決議案は、参議院議院運営委員会で採決のうえ上程を否決する可能性が高いと思われます。
これにより、小沢一郎氏が覆面をして提出した不信任・問責政局は、小沢氏の完全な負けが確定し、求心力のさらなる低下は確実。小沢氏は、1993年に自民党党紀委員会から除名処分を受けており、公明党・創価学会内では、新進党解党、小渕首相退陣の先輩として「裏切り者」との声が大勢。ただし、政治に詳しくない創価学会員のなかには「小沢さんは馴染みがある」という意識の人もいます。例の週刊文春の福田和子さんの手紙が載ったときも、その日のうちに学会員の方が「読みたい」というだったので、渡しました。ある意味、興味があるということにはなるでしょう。しかし、昨年6月1日提出2日採決の「感内閣不信任決議案」であれだけ小沢さんに騙されたのに、彼と違って震災復旧・復興で活躍してきた自民党や公明党はこれ以上同じ人に騙され続けてはいけないですよ。谷垣さんは加藤紘一さんとの仲といい、ちょっと人を信用しすぎるのかなあ。
この政局に負けたのは、選挙の対立軸がメチャクチャな状態で選挙を迎えても小選挙区で有力な小泉進次郎・自民党青年局長らの突き上げを見た、小沢氏が埋没感にさいなまれていたみんなの党の渡辺喜美代表・江田憲司幹事長らを利用してしかけましたが、逆に責任3党から「小沢不信任」を決議される結果となりました。
お盆休みと、それ以降の国会日程については、「今後の政治日程by下町の太陽2012年8月8日版」で最新情報を更新しておりますので、ご確認下さい。
責任3党は、第46回衆院選後も、参議院で過半数がない少数与党になるのが確実。第180通常国会は、お盆明けの8月20日週からもまる3週間あり、事実上の一体改革法案であるマイナンバー法案、新・特例公債法案と年金交付国債発行を年金特例債に組み替える国民年金法の一部を改正する法案の内閣修正2法案と、それを技術的に盛り込む補正予算案の処理が待ちかまえています。そしてなにより定数是正をやらないといけません。これをやらないと、野田佳彦さん、菅直人さん、石原伸晃さん、太田昭宏さん(落選中、公明党議長)らが当選しても、無効になる可能性があります。
まだまだ、やらなければいけないことは残っています。
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【衆議院総務委員会 2012年8月7日(火)】
衆議院総務委員会は、ここ数年の日本郵政の問題、地上波デジタル移行に伴う放送法・電波法などの改正作業にメドが付き、地方分権・地域主権に関する議論が昨年の通常国会以降活発化しています。改正郵政民営化法(郵政見直し法)、社会保障の安定財源を確保するための地方消費税・地方交付税法改正法案もそれぞれ特別委員会で審議されており、総務委員会は民主党・自民党とも首長・地方議員・地方公務員(自治労)経験者を中心に活発な議論が交わされています。
ただし、ここに来て「民主主義の前提であるプロセスの透明性」に関して、一部苦言を呈したい場面が増えています。
地方自治法の一部を改正する法律案(180国会閣法60号)は3月9日に衆議院に提出され、7月23日に総務委員会に付託されています。これは日本国憲法施行に伴う地方自治法制定から通算でおよそ300回目の改正になります。この法案は、現行法でも可能な通年議会をやりやすくし、首長の専決処分(副首長の任命)を制限する一方で、首長の再議権は拡充する法案です。7月31日の法案審査では元兵庫県庁財政課員の谷公一さん(自民党)が「あまり重要な改正に思えない」と発言しています。ところが、8月7日の午前9時に開会した直後に、元高岡市長で自民党の橘慶一郎さん、元自治労鹿児島委員長の民主党の皆吉稲生さんらが修正案を共同提出し、地方議会会派に支給される「政務調査費」を「政務活動費」に改めるよう提案し、その3時間後には可決してしまいました。このような長年、地方議会をめぐる様々なスキャンダルと改革の争点となってきた「政務調査費」を「政務活動費」にかえる修正案が、あたかもだまし討ちのように午前9時に提出され、正午の可決するような議会運営はまったく納得できません。現時点でも衆議院のホームページには載っていません。まさか、総務省自治行政局が地方行政族議員と仕組んでいたのでなければいいのですが。
今国会では成立後に気付いた不可思議な法案があります。「東日本大震災による被害を受けた合併市町村に係る地方債の特例に関する法律の一部を改正する法律案」です。これは昨年の第179臨時国会で提出されており、議案番号は「179国会9号」ですが、6月20日に参議院で可決・成立しており、「改正東日本大震災による被害を受けた合併市町村に係る地方債の特例に関する法律」として法律番号「平成24年36号」として、6月27日に天皇陛下が公布されています。公布の日に施行(せこう)しました。
この法律は平成の大合併(市町村合併)の「アメとムチ」の一つ、市町村合併特例債(合併特例債)の発行期限を5年延長する法律です。
そして、この市町村は全国の市町村です。
昨年の第177通常国会(震災国会)で成立した「東日本大震災による被害を受けた合併市町村に係る地方債の特例に関する法律(平成二十三年法律第百二号)」では被災地域の合併自治体に限られていました。しかし、今国会で成立した法案は「東日本大震災による「被害を受けた自治体」から「被害に伴う自治体」に対象を改めて、タイトルからして変更しています。
私は平成の大合併に賛成ですし、市町村合併特例法はすでに失効し、「駆け込み需要」は十分に発生しています。そしてアメとムチも効果があったでしょうが、やはり合併特例債の地方交付税交付金の7割償還というアメがあまりに甘すぎたのではないかと感じます。5年間の延長は、自治体にとっても、地方交付税の原資である国庫にとってもよくないことになる気がします。
とはいえ、この法律タイトル、被災地限定だと思いますよね。ちょっと総務省や衆議院総務委員会もどうなのかなと不信感を持たざるを得ません。私はこのことは、公布後に気付きました。
実際に国会での法案審査を聞いていると、警察庁、旧自治省、財務省は法案を書くのがうまいと感じます。その一方で、厚労省というのは法案をシンプルにまとめることがなかなかできない省庁だと感じます。国土交通省や経済産業省は官僚たちの熱意を感じる法案も多いですが、少し守備範囲が広すぎる気がすることもあります。
そういった中で、国会議員がもっと法案を読む努力をしないといけないし、まずは衆議院が議案をすぐにホームページに載せないといけません。民主主義はプロセスの透明性がスタート。そういう意味では、地方自治法の通算300回目ぐらいの改正法案で政府参考人が「通年議会にすることで、日程が明確化し、住民が傍聴しやすくなる」という答弁。私は国会の通年制には断固反対の考えですが、日程の明確化により傍聴しやすくなるというのは、国会、とくに存在意義を問われている参議院が率先垂範すればいいと考えます。
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