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ニュースサイト 宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が3党協議を現地で取材したり国会中継を見たりして雑報を書いています。

問責提出の「前田武志大臣は公職選挙法違反とは無縁の存在」 副総理の岡田克也さん

2012年04月18日 19時45分42秒 | 岡田克也、旅の途中

 世耕弘成さんら参議院自民党・参議院みんなの党・新党改革の3会派は、前田武志国土交通大臣と田中直紀防衛大臣に対する問責決議案を2012年4月18日(水)、橋本雅史・参議院事務総長に手渡しました。参議院公明党は提出に加わりませんでした。2大臣セットの問責決議案提出は3回連続。2人とも参院議員である大臣への問責は貴族院から衣替えして以来、初めて。両院制に関する歴史的な局面になる可能性があります。

 ◇

 岡田克也副総理は2012年4月17日(火)の定例記者会見で、前田武志国土交通大臣が公選法の事前運動と公務員地位利用に抵触する行為があったのではないかと指摘されていることについて、「軽率であったということは言えると思います。ただ私、前田大臣、初当選のときから1期先輩で、政治改革とか、あるいは同じグループでずっとやってまいりまして、いろいろな意味で御指導いただいた方で、非常に公選法違反とか、そういうこととは無縁の存在であるというふうに私自身は思っております」と述べました。そのうえで、「今回のことは大変残念な、御本人にとっても残念というふうに思っておられることだと思います」としました。

 同じグループとは、「経世会(自民党竹下派)」、「改革フォーラム21(自民党羽田派)」、「新生党」、「新進党興志会(羽田・細川グループ)」のことです。「太陽党」結党には岡田さんは不参加。新進党解党後の民政党結成でまた一緒になり、民主党統一大会に参画。「政権戦略研究会(羽田グループ)」に2人とも参加していた時期があり、岡田さんが脱退した後も、前田さんは同グループの「座長」を務めました。前田さんは昨年9月、「素交会(鹿野グループ)」立ち上げに参画しました。ともに15年間の野党暮らしに耐え、政権奪取に成功しました。


 
[写真]新生党結党記者会見。後列の左から松尾官平さん(後に参議院副議長)、北澤俊美さん、永野茂門さん、田村秀昭さん、釘宮盤さん(現大分市長)。前列左から、石井一さん、奥田敬和さん、羽田孜党首、渡部恒三さん、左藤恵さん。



[写真]右上から時計回りに、新生党結党メンバーで民主党で活躍する、羽田孜最高顧問、小沢一郎さん、渡部恒三最高顧問、藤井裕久最高顧問、北澤俊美副代表、岡田克也副総理、前田武志国土交通大臣、奥田敬和初代両院議員総会長(故人)、石井一副代表。

 岐阜県下呂市長選について、民主党岐阜県連幹部からは「前田大臣ではなく、まず山田良司・衆院議員が議員辞職すべきだ」との声が上がっています。地方の首長選の細かい事情には言及しないことにしています。ただ、元々民主党系の候補者だった石田芳弘さんは、市民派の選挙をしたくて、党の推薦を拒否。地元総支部も県連の仲間に対して、「応援演説に来ないでください」と呼びかけていたそうです。また総支部長(比例復活の衆院議員)と山田良司・衆院議員(比例東海ブロック単独)はともに下呂出身ながら、元市長の山田衆院議員の方が地元では圧倒的に基盤があるという「逆転現象」があったようです。また前田国交大臣は「応援演説に行く」と伝えたところ、石田候補から「来ないで欲しい」と断られたという話を聞いています。誰がそこを申し込んだのか。その時点での情勢は五分五分だったとされています。なので、山田衆院議員の国交大臣の封筒・名刺付きでの地元建設業協会、下呂温泉組合長への「しめつけ」は逆効果で、「すべて台無し」「山田は議員辞職しろ」と大騒動になり、敗戦、大臣問責ということになりました。さらに山田議員は、「代表派閥「花斉会」(野田グループ)」の所属で、すべてが踏んだり蹴ったり。

 輿石東幹事長も2012年4月16日(月)の定例記者会見で「(前田さんは)国会に来てもう長い時間いるのに軽率だった」とたしなめました。

 そのうえで、「参議院の自殺」につながりかねない、問責連発について、「問責決議は法的な拘束力はないということが1つ。だから安易に問責は打つべきでないと、私は野党時代に、打つ側だったときに、申し上げてまいりました」「なぜ辞任しなければいけないのかと。そういうことです。ある議員か、秘書だかなんだか知らないけれども来て、「これに署名してくれますか」と。それを軽率、うかつにも署名してしまった、それだけのことでしょう。本人はそう言っているわけですから。中身は何も知らないと。そのまま署名してしまったと。だから、そういう点は軽率だったのではないかという責任、その部分の責任は問われるでしょうが、それが公選法違反だということにはならないでしょうと、そういう理解だということです」とし、問責→辞任の連鎖にくさびを打ちたい意向を示唆しました。

 結果として、憲政史上初めて与党第1党の幹事長が参院議員であるという第180通常国会の配置が両院制改革のエポックメイキング(歴史を画する画期的な場面)になる可能性があります。うんざりしてばかりいないで注目しましょう。

 最後に、参院内閣委員会(芝博一委員長)に議席がないにもかかわらず、17日(火)の「新型インフルエンザ対策特別措置法案(180閣法58号)」の質疑に加わった(委員外質問)舛添要一さんの新党改革が問責決議案提出者に加わったことは遺憾だ、と申し添えておきます。

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タブーとされる「イオングループ」に言及 岡田克也副総理に片山さつきさん 消費税増税で

2012年03月21日 07時15分00秒 | 岡田克也、旅の途中

 まず「タブー」とは何かということですが、ポリネシア語で「聖なる」の意味の言葉が語源。広辞苑によると、超自然的な力をもつ事物に対して、社会的に厳しく禁止される特定の行為。触れたり口に出したりしてはならないとされる物・事柄。禁忌。そのポリネシアの風俗を世界に知らしめたのは、画家のゴーギャンでしたが、やはり「タブー」の多い社会だけに彼は自殺しています。

 日本社会もタブーは多いし、聖域も多いですが、語源とはだいぶ意味が違うように感じます。

 例えば、民主党内では、岡田克也さんの前で、「イオン」というのはタブーだとされていますが、果たしてどうでしょうか。

 これについては、私も正直分からなかったのですが、歯に衣着せぬ論客、自民党の片山さつきさんが平成24年2012年3月16日(金)の質問で、イオンに触れました。

 片山さんはパート従業員への厚生年金加入拡大について質問。雇用者負担の増大により、かえって、パート従業員の年収が減るとして次のように質問しました。

 「日本フランチャイズ協会、パートさんを雇っている業界は今回の拡大に反対をしています。パートさん自身の署名も集めています。私もそれに全部反対しているわけではないですよ。良い社会保障をいただければいいでしょうけれども。政治というのは、説得と納得のプロセスですよね。このチェーンストア協会のもっとも有力な企業というのはイオングループなんですよ」。

 このとき、うつむき加減だった石井一・予算委員長が顔を上げ、閣僚席の岡田さんを見ました。

 集中審議なのでNHK中継が入っていましたが、NHKカメラは野田佳彦総理を顔の表情を映しました。

 
[写真]「イオングループ」という言葉を聞いて、表情を曇らせる野田佳彦総理、2012年3月16日、「NHK国会中継」画面を撮影。

 野田さんは表情を曇らせました。野田さんは、2009年5月~9月にかけて、岡田幹事長(第2期)の定例記者会見の司会者を幹事長代理として務めていました。そのときの緊張感を思い出しのでしょう。

 
[写真]岡田民主党幹事長(左)の定例記者会見で気を遣う、司会者の野田佳彦幹事長代理(右)、2009年の6月ごろ撮影。

 ところが、「ケンカが強い」岡田副総理は余裕の表情を見せます。


[写真]片山さつきさんの「イオングループ」の挑発に余裕の表情を見せる岡田副総理(右)、NHK国会中継画面を撮影。

 片山さんは質問を続けます。雇用保険の話だったのに、なぜか消費税の話が渾然一体となっています。

 「この消費税の議論のときに私はまだ官僚で役所にいましてね。よく自民党の大臣がつっこまれて、「あなたは奥さんを家庭内で説得できているんですか」と。で、「説得できません」って(答弁して)土井たか子さんに追及されて、ウワーとなっていたんですが、あなたはまずご親族の企業を説得できているんですか。あなた方の発想というのはパートさんを助けるようでパートの年収を減らしているんですよ」

 これについて、まず小宮山洋子厚労相(凌雲会)が答弁を求めて挙手しました。この間に、岡田副総理は安住淳財務相になにやら話しかけて、安住さんが笑いをかみころしている表情が見られました。

 続いて答弁に立った岡田副総理は余裕の表情。


[画像]答弁に立つ岡田克也副総理、2012年3月16日(金)、参議院インターネット審議中継から。

 岡田さんは「私、この問題で私の親族と話したことはありませんので、あのちょっとコメントは差し控えたいと思います」。

 片山質問のなかに消費税の話がまざっていましたが、質問の本旨は雇用保険加入者の拡大です。雇用保険加入者の拡大について会話する親族ってあまりないでしょう。岡田さんは、イオン株式会社の株式は保有していますが年間配当は73万円ぐらいです。イオングループは28社ほど上場しているようです。一時のトヨタグループのように子会社を上場させることで、株式市場から直接、資金を調達しています。イオングループは公示地価が安いところに不動産を所有しており、銀行からの借り入れも利率が高いのでしょう。社債格付けもイトーヨーカ堂、ユニーより低く社債でも調達しづらい。だから、株式を上場するのでしょう。ただ、長いデフレ不況で、イオングループ全体の売上高は減少傾向にあります。カンボジアなど海外進出も減収に負けないための「攻撃は最大の防御」という段階のようです。岡田克也さんはイオン株式会社以外のグループ株式は保有していないとみられ、「相続対策」のため、イオン株式会社の株式を12万株持っているのだと考えます。12万株というと凄いように感じますが、年間配当は上でふれたとおり、73万円です。そのため、経営責任はまったく負っていません。また、通産省勤務時代に、大店法絡みで便宜を図ったという噂がネットにありますが、民事で勝訴していますし、通産省で流通関連の部署に行くキャリアはかなりの窓際です。それに大店法(大店立地法)の所管官庁は都道府県庁です。

 岡田さんへのイオン挑発は不発に終わりましたが、片山さんの度胸は立派です。

 過去の議事録からして、岡田さんの前で「イオングループ」の名前に触れたのはこれが初めてと見られます。

【追記 2015年9月23日 午後5時】

 国会議員資産等報告書(衆議院庶務部が公開、インターネット上ではそれを伝える新聞記事で概要)によると、岡田克也さんのイオン持ち株数はその後、まったく変わっていません。ただ、同社は増配を続けており、オープンデータどうしをかけあわせると、岡田さん個人が受け取る配当は年間300万円(税引き前)となっているようです。時価は2億円を超えました。ただ個人名義の持ち株は別として、アベノミクス株価官製つり上げで、イオン株の価値が高まり過ぎることは、「近い将来」を考えると、ハッピーなこととも言えなさそうです。

【追記おわり】
以上です。

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小沢一郎さん「アンビリーバブルだ」「(岡田克也さんは)普通の政治家の感覚として考えられない」

2012年03月21日 06時13分09秒 | 岡田克也、旅の途中

 民主党元代表の小沢一郎さんが2012年3月21日付の読売新聞のインタビューに答えました。

 このなかで、「野田政権というよりは、民主党政権に対する厳しい国民の意識を謙虚に受け止めないと民主党はなくなってしまう。このままでは政権交代可能な仕組みが定着せず、カオスのような状況になることを非常に心配している」と語りました。

 その上で、岡田克也副総理が自民党衆院幹部に大連立を打診したとされる報道について、「報道が事実なら、党内で一生懸命しているときに、まとまりそうもないから他党と連立したいという話をするのは、普通の政治家の感覚としては考えられない。アンビリーバブルだ」と述べました。

 離党することについては「国民に約束したことを忘れた方が出ていくのが普通だ。大連立をしたいのであれば、それに賛同する人たちを引き連れてやればいい。民主党全部を引きずっていくのはかなわない」としました。

 野田佳彦総理との膝詰めでの会談については、「党大会への参加も認められていない。会う立場ではない」と話し、党員資格停止中であるので首相に会わないとしました。

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岡田克也さんは学習する 昨年より3ヶ月早く大連立をお願い

2012年03月18日 15時59分44秒 | 岡田克也、旅の途中

[写真]野田佳彦首相、岡田克也副総理、藤村修内閣官房長官(左上)の“官邸新進党三羽烏”

 岡田克也さんは学習します。

 岡田さんは昨年の6月5日(日)、不信任政局(同月2日採決)終局の願いも込めて、ダメもとで、フジ「新報道2001」で二大政党幹事長対談で、石原伸晃さんに「大連立」に言及したところ、「テーマ付き、期限付きならいい」という思わぬ答えに遭遇し、この後のNHK日曜討論の各党幹事長談義で、二大政党幹事長がアクセル全開で一気に3党協議(民主党、国民新党、自民党、公明党)の枠組みをつくり、6月22日(水)の「辞任3条件」、8月9日(火)の「3党合意」を実現し、「スピードが遅い」との衆参与野党全体への批判の中、会期末(8月31日)まである程度の成果を上げました。それは第1次~2次補正予算および、復興債・復興特区・復興庁の3点セット、原子力賠償機構法、再生可能エネルギー特別措置法、そしてもちろん平成23年度の特例公債法などです。

[3党合意は今年度も有効、「自民党へのあいさつ」3ヶ月前倒しで通常国会活性化へ]

 岡田さんは、義経(菅直人首相)の尊厳(dignity)を守って花道を渡らせ弁慶としての役割を終え、飛び六方を踏んで、4ヶ月遅れで野田内閣に馳せ参じました。もちろん携えた勧進帳である3党合意は「高校無償化と農業の所得補償の政策効果の検証は平成24年度以降の予算に反映」し、「(年度に限らず)特例公債を発行可能とするための法案について速やかに成立させることとする。以上、確認する。」と書いてあるので、少なくとも第45期衆議院の任期中は有効だということになります(岡田見解)。

 岡田さんは学習する。去年の通常国会より3ヶ月早く、自民党に大連立を打診しました。もちろん、昨年のようにテレビ対談中というのは、これは、岡田さんと伸晃さんが同期で、政治改革仲間で、非自民でずっと貫いた岡田さんと、自民党内でサンドバックになりながら改革を貫いた仲だから許されたもの。ことしは失礼がないように、3月上旬から自民党幹部をあいさつ回りに出向いています。では、岡田さんは昨年同時期は何をしていたかというと、震災前だからのんびり。というわけではありません。大統領(民主党クリントンさん)と議会(共和党ギングリッチさん)がねじれた米国会をお手本に、シャットダウン(予算関連法未成立時の国の行政機関の一部閉鎖)を調べたりしていました。さらに社民党幹事長の重野安正衆院議員と「衆院での3分の2ルール」を模索していましたが、2月17日(木)に新会派を自称する小沢グループ比例単独17人による会派離脱という憲政史に残る蛮行で、国会中が茫然自失としていた時期です。リーダー格の渡辺浩一郎さんは「これから予算書を精査して予算の賛成、反対を決める」と言っていましたが、その後「まさか大震災が起きるとは」と記者団に述べたそうです。渡辺議員は天の戒めで事実上政治生命を終えました。

[野田毅さんが「自民税調会長の手順書」で小沢切りを要求]

 
[画像]質問する自民党税調会長の野田毅さん、2012年3月6日(火)、衆議院インターネット審議中継。

 元新進党税調会長で現在は自民党税調会長の野田毅さん(熊本2区総支部長)は、3月6日(火)の衆院予算委で、野田総理に「固有名詞を出すと何ですが、小沢グループがいるじゃないですか。民主党からたもとを分かつ腹構えが総理にあるのですか」と迫りました。そして、パネルを使って、

1 マニフェスト(2009年小沢詐欺フェスト)を撤回・謝罪する
2 与党内をまとめる(まとめられない場合の対応を明示する)
3 野党に要請する

 という「物事の順番」(自民税調の手順表)を新進党の後輩である総理に諭しました。

[1996年衆院選での荒唐無稽な「小沢詐欺フェスト」]

 野田毅さんは第41回衆院選では新進党政審会長でした。この選挙で野田佳彦さんは落選しました。

 このとき、小沢一郎党首、野田政審会長、坂口力政審会長代理、岡田克也副幹事長ら執行部の96マニフェスト(小沢詐欺フェスト)は次のようなものでした。

1 消費税の5%への引き上げ準備法は凍結し、3%に据え置く。
2 所得税と住民税は半分にし、法人税も安くする。
3 赤字国債を大量に発行する。
4 公共事業を10年間、毎年度5兆円ずつ増額する。
5 名目5%成長を実現する。
6 10年後(2006年)に消費税を10%にする。
7 10年間に発行した赤字国債を全額償還する。

 この選挙の自民党(橋本龍太郎総裁)の総括として、山崎拓政調会長は選挙の総括として「新進党がばかげた非現実的な案を出したから自ら負けてくれた」、与謝野馨政調会長代理は「小沢プランをやったら10年間で300兆円の赤字国債を発行することになっただろう」と当時の報道などで語っています。

 新進党副幹事長だった岡田克也さんは6日の記者会見で「記憶は定かではありませんが、私にとって3回目の選挙、新進党での選挙は、経済政策が問われたんですね。ですから、消費税というよりは、かなり大型の予算を組んでやると、そういう政策で我々は戦った記憶がございます」と敗因を振り返っています。そのうえで上の方にも書いた、「自民税調の手順表」については「特にコメントはございません」と述べました。

[昨年はゴールデンウィーク明けに小沢さんが森さんら自民党と密通]

 昨年の5月20日(金)から6月1日(水)の2週間、菅内閣不信任案(自民党、公明党、たちあがれ日本3党協同提出)に関して民主党の小沢一郎さんと小沢グループが同期の自民党の森喜朗さんと密通し、造反予定者の人数を連日自民党に流していたことが、「NHKスペシャル|証言ドキュメント 永田町 権力の漂流」で、森さんや、第177通常国会の自民党国対委員長だった逢沢一郎さんの証言(森・逢沢証言)で明らかになっています。具体的に、どういう文書に誰が署名したかという情報まで流れていました。民主党にとっては、許し難い反党行為です。一方、自民党と公明党も小沢グループと付き合って損をしたということでしょう。谷垣禎一総裁はこれにより求心力を失い、ことし9月の再選が絶望的になっています。また公明党幹部も1週間ほどは、地方議員・支持者に平謝りでした。

 さあいよいよ小沢一郎さんの息の根を止めるときが来ました。4月26日の司法による判断の前に、私たち国民有権者が新進党を解党した小沢一郎さんを裁かねばなりません。

[首相官邸に新進党三羽烏がそろったのは初めて]

 現在首相官邸には、野田総理、藤村官房長官、岡田副総理の「官邸新進党三羽烏」がいます。総理と官房長官がともに新進党出身者なのはこれが初めて。また政府・民主党三役会議メンバーで元自民党衆院議員なのは岡田克也さんだけですから、岡田さんが自民党を回るのは当然です。岡田さんは、1993年に自民党党紀委員会から除名処分になっていると思いますので、自民党本部を訪ねることができませんので、議員会館を回っています。その後、面談者が自民党本部に行き、谷垣総裁らに報告するというケースもあるようです。

 新進党官邸三羽烏は当選5・6・7回生で、54歳・58歳・61歳です。政界では若い。

 三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)。

 震災前に私は歌舞伎座でこの三人吉三(さんにんきっさ、と発音する方が多いようです)を見たことがあります。これは、超大物歌舞伎俳優の後継者(息子)の仲でも人気のある人を選んで、「あの3人が異色の共演」というようなプロデュースの公演で使われることが多い演目。このため、アフターファイブになる最後の演目になる傾向があり、おそらく銀座周辺勤務も含めた若い女性客が目立つように思います。私が見たときは、片岡孝太郎、尾上松緑(おのえしょうろく)、市川染五郎の「三人吉三」でした。

 「三人吉三」は幕末に書かれたときは当初不評で長く日の目を見ることがありませんでした。国難の退廃的な雰囲気が、明治維新の熱気に押されたようです。財源を求めて思案に暮れる田舎芝居の女役崩れの「お嬢吉三」は野田さんが適役です。野田さんは「無税国家論」を提唱する松下政経塾出身なのに国益のために消費税増税準備法の成立をめざしています。それは「お嬢に転身」に比べればたいした「転身」でもありません。

 苦労した「お嬢吉三」野田さんを駕篭からうかがっていたのは「お坊吉三」。それは早くから野田さんの能力を見抜き、幹事長代理に起用したり、本会議演説を譲ったりしていた岡田さん。「お坊吉三」は御家人崩れのお坊ちゃんなので、イオン崩れのお坊ちゃんの岡田さんがはまり役です。

 そしてその2人をまとめるのは、人生経験が長い、住職崩れの「和尚吉三」。これは藤村さん。

 「ここで出会い、同じ名前なのも何かの縁」と義兄弟の契りをかわした3人は、追っ手を逃れて3人揃って舞台から去り、幕を閉じます。とにもかくにも消費増税準備法を成立させる。もちろん、有権者全員が支持することはありませんから、必ず辛い目に3人はいずれ遭います。ひとまず義兄弟として、逃げ切るのみです。いずれ、衣装と化粧を直して、「二人のドラえもんと一人のフランケン」という芝居でもやればまた人気が出るかもしれません。

 藤井裕久さん、野田毅さん、斉藤鉄夫さんの民自公政調会長も、3人とも結党から解党まで新進党員でした。これも何かの縁です。

 私が激動の新進党史で得た教訓は、政治家同士は親友になれない(羽田vs小沢の望まぬ一騎打ち)、それと苦しいときに党を離れた人は大成しないと言うことです。とくに小選挙区というシステムの変化に対する基礎的知識と想像力、対応力、選挙区をめぐる行きすぎた執着心があった人はだいたい消えていきました。そのときに似た歴史的局面を感じています。とにかく、「離党」というのはこれはまず後々に評価されることはないでしょうね。比例単独の人が離党して選挙区を得て第46回総選挙で当選しても、その次で大敗すると思いますよ。

 それにしても基本的な経済学を学んでいない政治家は当選回数にかかわらず悲惨の一言。まあもう答えは見えている感じがしますが、しっかり緊張感と日程感と時代認識と国家観をもって、前に進みましょう。情熱ダッシュです!


岡田氏、大連立を打診 自民幹部は断る(朝日新聞) - goo ニュース

 岡田克也副総理が今月上旬、自民党幹部と会談した際、民主党との大連立を持ちかけていたことがわかった。自民党幹部は衆院解散を求めてこれに応じず、物別れに終わったという。
 岡田氏は会談の際、自民党側に消費増税法案や赤字国債発行を可能にする特例公債法案への賛成を求める中で、大連立に参加できないかも打診した。だが、この幹部は「解散が先だ」などと取り合わなかったという。岡田氏は今月に入り、複数の自民党幹部を回り、消費増税法案などの成立に協力を呼びかけていた。

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「運命の人」岡田克也さん、3冊目「外交密約調査」執筆中 今夏出版予定だが自重すべきだ

2012年03月07日 05時03分17秒 | 岡田克也、旅の途中

[画像]外交演説をする岡田克也さん、2010年1月29日の第174常会、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。

虎哲徒然日記さんが2012年3月1日付エントリーで次のように書いている。

[引用はじめ]

(前略)「政権交代可能な二大政党制」が望ましい、とある時期喧伝された。だが現実はどうだろうか。二大政党はどちらもだめだ、という失望感が広がっている。これは世界的にみてもよくある政治パターン。日本の歴史でも過去にみられたことである。どちらもだめな場合、どうするのか?「二大政党」論者は、これにちゃんと答えるべきだ。「よりまし」なほうを選ぶ、という陳腐な回答ではなく。

[引用おわり]

 この「二大政党がどちらもだめな場合、どうするのか?」という質問に対して、私は、

 誰かが変えてくれるのではなく、一人ひとりが変えようと思わない限り、この国は変わらないのです。

 とお答えします。

 私は昨年9月に野田佳彦新代表(総理)から挨拶状が同じ日に2枚来て驚きました。というのは、民主党サポーター登録を2つの総支部でしていたからです。毎年5月にサポーター登録のノルマで苦しんでいる総支部で登録しています。昨年5月にサポーターになっても、西暦で奇数年は定期代表選がないので投票の機会はありません。しかし、民主党の組織を下支えすることで、政権交代可能な政治という選択肢、権利と自由を得ることができます。それが明日の安心につながります。

 私は二大政党プラスワン(民自公)はどこもダメだという人には、昨年1年間で、二大政党+1(民主党、自民党、公明党)にこの1年間、寄付をしましたか?と聞きたい。 寄付をしていない人には「二大政党がどちらもだめ」という選択肢しか与えられないのは当然の帰結です。そうは言っても私も不景気なので、先日は午前9時からの質問で元気なさそうな議員がいたので、昼休みにかけつけて、「元気なかったけれども大丈夫」と聞きました。細かいことなんていんですよ。情勢分析の通告があったとか、最近家族構成が変化したとか知っていても、細かい政策とか選挙がどうしたなんて言いません。これは国会から近く平日の時間も自由だという私だからできる二大政党育成プラン。でも、国会から遠くてもオカネが自由だったり、国会から遠くてオカネが不自由でも、せめてサポーター登録2000円ぐらいしたらどうでしょうか。実は、民主党はサポーター登録がキツイので、新聞記者もお付き合いもかねて、民主党サポーターになっている人は多いんです。記者である前に日本国民です。

 「誰かが変えてくれるのではなく、一人ひとりが変えようと思わない限り、この国は変わらないのだ」とは岡田克也さんが2008年6月18日に出版した『政権交代-この国を変える』(講談社)の「はじめに」にある言葉で、帯にも使われています。

 岡田さんは政権交代後の2010年6月23日「岡田語り。」(ランダムハウスジャパン)を出しています。これはデジタルカメラに向かって話した内容を書き起こしたブログ「岡田かつやTALK-ABOUT」をまとめたもの。出版にあたりブログにない内容を付け加えていて、この中で2010年5月6日の英国総選挙での政権交代(ハングパーラメントによる連立)をふまえて、「イギリスで二大政党の時代が終わったと言われていています。私が目指してきた政権交代がしっかりと行われる政治というのは、必ずしも単独政権である必要はありません」として「小選挙区300、比例100くらいの制度にすれば必ず第3党が存在します」「基本的にはきちんと政権交代ができる大きな2つの政党が競い合うということであり、それにプラスしていつでも取って代わる勢力が出てくるし、時には連立政権もあるという柔軟性が必要だと思っています」と記しています。

 2008年夏、2010年夏、ということで、岡田さんはことし2012年夏に向けて3冊目の著書を執筆中です。

 2009年9月17日から2010年9月中旬までの外務大臣時代にとりくんだ、いわゆる密約調査(沖縄返還交渉に関する日米密約)ついて、岡田さんの経験に基づき書いています。岡田さんは「記憶をたどりながら、かつ大臣にも当然(国家公務員100条の)守秘義務はかかりますから、そこに十分注意しながら悪戦苦闘しています」としています。「外交というのは多くの皆さんにとって、具体的にわかりにくいものではないでしょうか。各国の外務大臣や首脳との交流の中で信頼関係が築かれ外交が思わぬ展開をみせる、各国が抱えるいろいろな複雑な要素を踏まえながら日本の国益を実現していく、そんな外交のおもしろさが少しでも伝わったらと考えています」(岡田さん)。

 しかし、岡田さん、そんなコトしている場合でしょうか。岡田さんは言うまでもなく副総理であり、公務員制度改革担当大臣という難しい仕事をしています。社会保障と税の一体改革担当大臣として年金の制度設計もしているなか、そんな余裕はありません。まずは大局から政治をみる心の余裕を確立すべきです。ある意味、それが「副総理」です。

 私が新聞社に勤めている時代の経験からしても、忙しい人ほど「本を書きたい」と言います。日々、膨大な取材をし、膨大な原稿を書く。そういうローテーションが確立し、一定の評価を得ると、取材先はその記者を指名してより情報を流しますから、ますます特ダネ記者になっていきます。社内での評価も上がり、良い循環が確立していくと、突然、「本を書きたい」と言い出す。膨大な情報がインプットされ、長官に夕刊にアウトプットしていく。そうすると、自分の中にストックができていないという錯覚を覚えるのです。

 岡田さんも野党15年を経て、外務省で官僚から膨大な情報を座りながら聞く毎日のなかで、「これをまとめないといけない」という使命感を覚えたのでしょうが、それは岡田さんの心の中の使命感に過ぎず、野田総理や歴史は岡田さんに別の使命を与えている、ということを冷静になってわきまえてほしい。ストレス解消のために本を執筆しているのでしょうが、そんなコトしている場合でない、と私は考えます。

 最近では在職中に資料整理をし、出版社から契約金をもらって、退官後に執筆するというパターンが主流のようです。国務長官クラスなら100万ドル以上の契約金もあるようで、論より証拠に、最近は大手の出版社が主流になっています。

 国務省・ホワイトハウスから帰ったヘンリー・キッシンジャーさんのハーバード大学の研究室にはジェラルミン製の文書箱が20箱だとかあったようです。それを見た来訪者はその中に「どれだけのアメリカの外交機密文書が詰まっているのか」と想像したら震えたらしい。アメリカでは政権交代時に政府高官が公文書を持ち帰ってしまうことはよくあります。とくに国務省に限れば、職業外交官は「回転ドア」の対象外なので、二大政党の政治任用者はごっそりファイルを持って帰ってしまうことが多いようです。そして、1年前後で回顧録を執筆して出します。例えばキッシンジャーなら「ホワイトハウス・イヤーズ」など
複数書いています。我々自由主義陣営最初の宇宙飛行士で米上院議員を4期24年間務めて最年長飛行士としてスペースシャトルでふたたび宇宙に行ったジョン・グレンさんの「回顧録」は世界最大手のランダムハウスがしっかりと契約しています。このなかには、グレン上院議員が1984年の大統領選を断念した経緯も書いてあるようです。

 いわば公文書とは歴史の検証のためではなく、積極的に自分の歴史をつくるための財産です。何から何まで日本とは発想が違います。

 2008年6月、2010年6月はともに定期代表選の3ヶ月前でした。今回も前の党規約の規定から、ことし9月に定期代表選があります。ただし過去2回の定期代表選には岡田さんは出馬していませんが、代表選の3ヶ月前に出版するということは憶測を呼びかねません。岡田さんは与党になって公文書の不備に驚いたのでしょう。外務省では情報公開法施行直前に公文書が地下室で処分され、業者によってトイレットペーパーに再生され外務省に納品しました。こういっった心の空白感から執筆しているのでしょうが、出版となると話が違う。代表選前の出版は小沢グループ(新政研)どころか、野田グループ(花斉会)にも疑われます。書いてもいいけど、出すのは自重すべきです。

 まずは新進党を解党した小沢一郎さんの息の根を止めることが歴史と民主政治に資することになります。年金の抜本改革も、すべては小沢切りから始まります。岡田さんは民主党代表時代に、元東京地検特捜部検事で参院議員に転じた佐藤道夫さんに倫理委員長になってもらいました。毎日新聞元記者の西山太吉さんとも親交があります。TBS日曜劇場運命の人」は最終回まじかにしています。いったい「運命の人の最終回の結末はどうなる?」、「ジャニーズモックンこと本木雅弘さんは最後どうなるのだろう?」と注目が急上昇しています。

 岡田さんがまず取り組まなければいけないのは、新進党を解党した小沢一郎さんを「歴史」という法廷で裁くことだと、私は期待しています。岡田さんは通産官僚時代に瀬嶋龍三さんから勉強会メンバーに選抜して入れてもらったことがうれしかったようです。『運命の人』の作者である山崎豊子さんの『不毛地帯』は瀬島龍三さんがモデルだとされています。岡田さんは自分自身が運命の人だという自覚を持たなければいけません。

 岡田さん、あなた自身が運命の人だっちゅうの。

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◎平成25年度補正予算でも「3党合意は有効」岡田克也さんが見解示す

2012年03月02日 19時04分00秒 | 岡田克也、旅の途中


 副総理の岡田克也さんは2012年3月2日(金)の定例記者会見で、昨年8月9日の3党合意が「平成25年度当初予算(来年4月)以降も有効ではないか」との質問に対し、「私もそう思っています」と述べ、来年7・8月まで有効だとの見解(岡田見解)を示しました。岡田さんは3党合意を結んだ昨年8月9日は民主党幹事長で、同月末で菅直人代表(首相)とともに退任しています。

 3党合意には「民主党、自由民主党及び公明党の三党は、以下の点について確認する」として、「高校無償化及び農業戸別所得補償の平成24年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。」、「平成24年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処することを確認する」という文面になっており、衆参で過半数を持つ民自公3党による政策効果の検証は現在の衆参の議会構成が続く来年7月ないし8月まで有効と考えられます。

 前日3月1日の衆院予算委員会では3党合意の政策効果の検証に関する集中審議があり、自民党の赤澤亮正シャドウ農林副大臣は「予算の反映も含めて政策効果の検証です」と述べ、高校無償化と農業の所得補償などの政策効果の検証結果を予算に反映させるよう求めました。高校無償化の実務者協議にあたる自民党の馳浩・衆院文科委員会理事も同様の認識を示しています。子どものための手当についても公明党から予算関連法案(児童手当法改正案)の3党協議をせっつかれている状況です。

 岡田副総理は「そこの文言通りですので、検証を行う。そして検証を行った結果として、必要なら見直しをする、ということですから。それは検証しないとだめですね」と述べました。検証すれば予算の見直しが必要となり、検証するならば、3党合意はたとえば、平成25年6月辺りに補正予算案を編成したとしても、有効である、という意味合いです。

 自民党幹事長の石原伸晃さんや、公明党幹事長の井上義久さんも同じ認識かの質問に対して、岡田さんは「それぞれに聞いてもらわないと分かりません。文言ですから」として、3党合意はあくまでもペーパーに過ぎず、昨年8月の幹事長退任で、自分の手は離れているとの認識を明示しました。

 ちなみに、今国会での参議院での議席数は民主党が104議席、自民党が86議席(参院統一会派の「たちあがれ日本」含む)、公明党が19議席で、過半数の121(平田健二議長除く)を大きく上回っています。

 ところで、3党合意の結びですが、「以上を踏まえて、特例公債を発行可能とするための法案について速やかに成立させることとする。以上、確認する。」となっています。この「特例公債を発行可能とするための法案」が「平成23年度の特例公債法(平成23年法律106号)」だけを指すのか、あるいは「平成24年度の特例公債法案(第180閣法2号)」だとか、さらには「平成25年度の特例公債法案(もちろん未提出)」でも有効かどうかは、私うっかり聞きそびれてしまいましたので、いずれ機会があれば質問してみたいと思います。

 検討中も含めて、100本以上の法案が積み上がっている第180通常国会。与野党とも、解散総選挙などしている場合ではありません。岡田見解に従って、ドンドン法律をつくらないと、定数削減幅以上に維新の会に食われます。

 なお、岡田さんは、同じ記者会見で「私自身は2005年(9月11日の翌日)に代表を辞めたときから禁煙している」と語り、以前はたばこを吸っていたことを明らかにしました。私はこのことを知らなかったので驚きました。マジメで堅物な岡田さんも、昔はけっこうワルだったのかもしれません。

 [3党合意(原文ママ)の全文引用はじめ]

 確認書

 民主党、自由民主党及び公明党の三党は、以下の点について確認する。

 一、歳出の見直しについては、以下のとおりとする。
   ・ 高速道路無償化については平成24年度予算概算要求において計上しないこととする。
   ・ 高校無償化及び農業戸別所得補償の平成24年度以降の制度のあり方については、政策効果の検証をもとに、必要な見直しを検討する。
   なお、これらを含めた歳出の見直しについて、平成23年度における歳出の削減を前提に、平成23年度第3次補正予算ならびに平成24年度予算の編成プロセスなどにあたり、誠実に対処することを確認する。

 一、上記歳出の見直しと併せ、子ども手当等の見直しによる歳出の削減について、平成23年度補正予算において減額措置することを、特例公債を発行可能とするための法案の附則に明記する。

 一、法人税減税等を含む平成二三年度税制改正法案(その内容を一部切り出して6月22日に成立した法律にあるものを除く)については、復興のための第3次補正予算の検討と併せ、各党間で引き続き協議する。

 一、東日本大震災復興基本法第8条に規定する復興債の償還財源の具体的内容や償還ルールなど、あらかじめ決めることとされているその償還の道筋については、第3次補正予算の編成までに、各党で検討を進める。

 一、平成23年度の第1次補正予算における財源措置として活用した年金臨時財源については、第3次補正予算の編成の際に、復興債で補てんすることとし、そのための財源確保策と併せて、各党で検討する。

 一、以上を踏まえて、特例公債を発行可能とするための法案について速やかに成立させることとする。

 以上、確認する。

                                                        平成23年8月9日
                                                            民主党幹事長 岡田克也
                                                            自由民主党幹事長 石原伸晃
                                                            公明党幹事長 井上義久

 [3党合意(原文ママ)の全文引用おわり]

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「議会人として許しがたい」岡田副総理、自民党首相の国会虚偽答弁を批判 「運命の人」西山記者事件

2012年02月08日 08時27分09秒 | 岡田克也、旅の途中

[画像]「議会人として許しがたい」ーー東大法学部同級生で元警察官僚・元小泉自民党首相秘書官の小野次郎・参院議員(みんなの党)や参議院自民党に対して、歴代自民党首相が「密約はない」と国会で虚偽答弁したことに怒りを表す岡田克也副総理(背中)、2012年2月7日午後、参議院予算委員会の4次補正の一般質疑、参議院インターネット審議中継からキャプチャ。

 ブログを書く人にはなかなか書くことが見つからない、という方も多いようです。小生は今週は書きたいことばかりのインプット過剰状態なので、未定稿ということでドンドン発信していきたいと思います。どうも木曜日から本予算審議に入れそう。とはいえ9日審議入りで、3月2日までに衆院通過となると例年より過密なので、そうすると例年並みにインプット量はますます増えそうです。なるべくコンパクトに書きたいところですが、なかなかそうもいかないかもしれないです。ただ、岸田文雄・自民党国対委員長が「集中審議をやれ」と言っているようですが、集中審議がテレビショーに過ぎないということは多くの国民が見抜いている。それを3世政治家の岸田さんが気付くかどうかというのが政権交代のポイントになるでしょう。
 
 岡田克也副総理は、2012年2月7日(火)の参議院予算委員会の今年度第4次補正予算案の一般質疑で、運命の人・西山記者事件などで再び話題になっている自民党・佐藤栄作政権と米ニクソン政権との沖縄本土復帰(1972年)に関する4つの外交密約に関して、「政権交代して、密約(の掃除)はできたわけです。そして歴代の(自民党)政権、歴代の総理が少なくとも1990年代あたりまで、外務省から『実はこう言ったことがあるんです』といった報告を受けながら、その存在を否定してきた。この国会の場でも否定してきたということは

 私はホントウは許し難いことだと思っているんです。いずれにしてもわれわれ議会人として、どうしてそういうことが起こったのかということは深刻に反省すべきだと思います。開き直りは許せないことだと思っております。

 」と激しく参議院自民党を批判しました。みんなの党の小野次郎さんへの答弁。

 そのうえで、外相時代の経験も踏まえて、西山太吉元毎日新聞記者との間で裁判が係争中である状況を説明した上で、「西山さんのジャーナリストとしての行動は一定の経緯を示したい」と述べ、議場の拍手を浴びました。

 小野さんは大学1年生のときに西山記者事件があり、「まさか国家が密約をするわけがない」と思い、「よく意味は分からなかったけど、(検察が書いた冒頭陳述の)密かに情を通じ、の方に興味を持った。ホントウは何があったんだろう。あれから三十数年、ずっと考えてきました」として、答弁を求めました。小野さんは、「密かに情を通じ、の方に一国民として関心を持ってしまった」と大学生の自分を反省しました。だったらなぜ小野さんは小泉ワイドショー政治に荷担したのか。その言行不一致ぶり、小野さんもまた、運命の人。

 小野さんは警察庁キャリアの8割が進む「公安警察畑」であり、警察庁国際部国際第二課長など国内外の治安・警備(テロ防止)に関する情報収集の仕事を担当していた時期もあります。そして、2001年4月、小泉純一郎自民党政権で首相秘書官となり、2005年9月11日の第44回郵政選挙では自ら刺客として圧勝の一員となりました。第45回政権交代選挙では落選し、第22回参院選でみんなの党参院議員として国政復帰しています。

 小野次郎さんと岡田克也さんは東大法学部卒、昭和51年入省の霞が関同級生。小野さんは警察庁、岡田さんは通産省。国家公務員上級職採用試験では、「1位になったら大蔵省、2位になったら(大蔵省に行くと事務次官になれないので)警察庁に行け」と言われていました。ちなみに民主党の平岡秀夫前法相は、昭和51年大蔵省入省。

 その小野さん、公安警察キャリアですら、知らなかった「沖縄本土復帰日米外交密約」。

 民間人として佐藤首相の個人特使をつとめた大学教授は、「他策なかりしを信ぜむと欲す」という回顧録を書き、自殺しました。ところが、外務省の第三者委員会の北岡伸一東大教授らの報告書を良く読むと、実は、佐藤首相は複数のルートをもっており、他のルート(外務省ルート)だけで沖縄本土復帰ができていた可能性が高いそうです。「他策はあった」んです。佐藤首相の息子の佐藤信二・元衆院議員は、佐藤家にあった文書を自発的に公表しました。また密かに情を通じた外務省事務官はご健在だそうです。運命の人は何人もいます。例えば、伊丹空港での日航機尻もち事故の修理結果を検査した運輸省の出先機関の職員は自殺しました。修理の不首尾により圧力隔壁の破損で、日航123便が墜落し、520人が亡くなったことと無関係ではないでしょう。しかし、修理したのはボーイングです。そして群馬県警の捜査記録や国交省の外局(3条委員会)である運輸安全委員会の調査記録は現存しません。そして日本航空も倒産しました。

 運命の人はたくさんいます。政権交代なき政治による運命の人です。

 ところで、「許せない」という言葉を連発した岡田さんですが、かつて聞き覚えがあったので、調べてみました。ブログとは、web上のlogという意味ですが、検索したら2009年3月25日付の次のエントリーでした。「【西松報道】岡田克也さんが朝日新聞社に抗議「私は全く許せない」」。これも野党民主党にとって政権取りの正念場でした。かなりのピンチでした。時は移ろい、といってもまだ3年も経っていませんが、岡田さんは国のピンチを背負っています。

 2月7日付日経新聞11面(企業2面)で「イオン針路を探る(上)」の中で、岡田元也イオン社長(代表執行役)は「アジアで最大、最強、最高の小売りグループになる」と宣言しました。日経がつけた見出しは「肥沃なアジアに野心」。イオンが2011年度に採用した社員2000人のうち400人は外国籍とのこと。ただ、グラフを見ると、小売り最大手イオンの連結業績は、2007年ごろから高止まりした状態で、経常利益はリーマンショックで大きく落ち込んでいるんですね。わが国では2000年代以降利益優先で企業を見て、日経新聞も利益で見出しをとっていますが、私はもっと売上高を重視したい。つまり、イオンも急拡大しているのではなく、アジアに出ることで現状維持が初めて可能になる。元也さんは60歳なんですね。岡田克也さんは58歳で、イオン株式を12万3046株持っています。これは時価を900円とすると、およそ1億円、年間配当は6円として73万8276円(税引き前)受け取っていることになります。ただ、イオンは「寒いとコートが売れて売上高が上がる」という不安定な業界ですし、さらに、イトーヨーカ堂、ユニーなどと比べて後発企業だし、「狸が出るところに出店する」という方針があり、最大手(売上高が最高額)にもかかわらず、社債の格付けは低いです。

 岡田さんは2月6日(月)午前10時半過ぎ、参・予の第4次補正の基本的質疑1日目の自民党・林芳正さんの質問の中で、「岡田さんは、あなたは厚生年金でしょう」と言われて、「私と妻と長男は国民年金です」とうれしそうに答えました。前日(日曜日)に確定申告の書類集めをしていたそうです。一方、林さんは何も答えませんでした。林さんの家業は下関最大の商家で、インフラでは「山陰中央合同ガス」、タクシーの「サンデン交通」を経営しています。林さんはおそらくどこかの会社で厚生年金に入っているのでしょう。四日市も下関も、海から栄えた港町で、大商業地(名古屋、北九州・博多)の対岸としての独自性をいかしたという歴史的経緯など共通点が多いです。林さんも自民党総裁(影の首相)選挙に出るのなら、恵まれた厚生年金なのですから、知事選の関係で支部長不在になりそうな衆院山口2区(岩国)に転出するなどの勇気を見せて欲しいものです。ちなみに林さんの質問はどうしょうもないものばかりでしたが、初っ端に「私は役所の人が徹夜をしないように金曜日の昼に通告を終えた」と言ったのは良かったかな。林さんに限らず、参議院自民党は「零点満点」でした。例えば、脇雅史・国対委員長が内閣府と内閣官房の違いを問い糾しました。これに対して内閣法制局長官が答えられなかったのは正直かなり驚いたのは事実です。ただ、脇さんは「自民党政権末期からたるんでいるんだ」と自ら認めました。たしかに、小沢グループが内閣府と内閣官房の違いが分かっていないことを、私は野党時代から危惧していました。しかし、今の民主党良識派が主導する内閣も答えられないことは真摯な反省が必要です。私は脇さんに逆質問したいのは、「内閣官房と首相官邸はどう違うのか」。これを法律論で答えられるでしょうか。それから参議院自民党はBS放送局で提供番組を持っていましたが、これはBPO(放送と倫理向上機構)で問題になり、打ち切られました。おそらく立法事務費で番組枠を買い取っていたのでしょうが、BPOはマスコミによる自主的な任意組織に過ぎません。法律論で、東京地裁に番組の放送再開の仮処分申請をしたらどうなんでしょうか。参議院自民党は法律よりもマスコミ重視なんでしょうか?

 このほか、衆院段階では、石破茂さんが「芦田修正によって、自衛隊は合憲だ」と主張しました。しかし、私の認識では、芦田修正によって、自衛隊を持つことが可能になったが、法律上の解釈は「一見極めて明白に違憲でない限り最高裁判所の判断には馴染まない」という事情判決・統治行為論でとどまっているはずです。だから、自民党は憲法改正(自主憲法制定)を党是としているのではないでしょうか。こういう認識の石破茂さんが防衛庁長官や防衛大臣をやっていたということが、問題です。また、自民党の党是もよく理解していない可能性があります。この石破さんという人は、本質が分かっていない政治家としかいいようがありません。1度裏切る人間は2度裏切る、石破さんは自民党でも居場所がない。1人会派になったらどうでしょうか。

 岡田公務員制度改革担当大臣は2月6日夜のBSフジ「プライムニュース」に出演しました。同番組への岡田さんの出演は、意外なことに初めて。

 この中で、岡田さんは公務員制度改革に関して重大なボールを投げまくりました。

 「60歳から65歳に行くときは7掛けぐらいと人事院から頂いている」
 「労働協約締結権ができれば説明責任が生じる」
 「民間だと定期昇給(定昇)がずっと続くわけではない。公務員(の現状)は違うかも知れないが」
 「独法には必要なものもある」
 「政府系金融(機関)は大震災のときに必要性を感じた物もある」

 この中で、目から鱗が落ちたのは、労働協約締結権ができれば説明責任が生じる、という部分。私も(連合非加盟)新聞労連系「日経労組」の組合員でしたが、団体交渉の「要求作り」というのは面白い作業です。いずれ書きますが、これによって、印刷、販売、広告、総務・経理といった人たちがどういうことを考えているか、会社というものが分かりました。まさに、オカネが流れるところに情報が流れる。本省のキャリア官僚も団体交渉を通じて、外局や出先機関の人の考え方を知ることができるようになるのではないでしょうか。岡田さんは厳しいのかと思えば、「60歳から65歳に行くときは」ということで定年延長を念頭に置いていると思います。天下りよりも「7掛け」の方がいいのかも知れません。それから、定昇の打ち止めを示唆しながらも、独立行政法人や政府系金融機関について必要なものもあると指摘しています。まあ、個別の職員は、思うところがあれば、分かりやすい言葉で岡田さんに発信してみたらいいでしょう。まさに攻撃は最大の防御です。

 とにかく攻撃は最大の防御だと感じることばかりです。

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岡田克也副総理「優秀な秘書官そろっている」

2012年02月06日 08時10分02秒 | 岡田克也、旅の途中

 岡田副総理は1月31日の記者会見で、「私も、非常に優秀な副総理秘書官がおりますので、(橋本行革の江田憲司と)同じような役割を果たしていただけるというふうに思います。行政改革を実行していく中で、やはり霞が関の官僚の皆さんと議論し、説得を時にはしながら進めていくということは大事なことで、そういう意味で総責任者として、事務の官房副長官を充てたということです。全体を力強く進めるためには、私は必要なことであるというふうに思っています。」と話しました。

 官報2012年1月25日号は、平成24年1月13日付で発令された、「本庄知史、国務大臣秘書官に任命する 岡田国務大臣づきを命ずる。」との人事を掲載しました。


[画像]官報平成24年1月25日号(部分抜粋)

 偶然と言えば、偶然に過ぎないのですが、本庄秘書官は、江田通産大臣秘書官と同じ、「数え歳では38歳の就任」ということになります。細川内閣での政治改革の一つの成果である、政策秘書試験の8期生で京都出身の本庄さんですが、岡田副総理、あるいは岡田公務員制度改革担当大臣を支える上で非常の重要な意味合いがあります。それは東大法学部卒業生だということです。リアルポリティックスとして霞が関は「東大法学部」で動いています。例えば、大蔵省・財務省の事務次官は、池田勇人事務次官以降、京大卒は半世紀いませんでした。京大ですら。では法務事務次官・検事総長に東大法学部が少ないのは、法務省は人件費が中心で、箱物などの概算要求が少ないので財務省のグリップが聞かないからだとされています。おおむね3人いる東京都庁の歴代副知事に1人ずつ東大法学部卒業生が入っているのも調べてみたら分かるでしょう。だから、東大法学部というのは重要です。

 歴史に残る、野田・岡田行革と一体改革。それを支えるのは日本の未来につながることであり、それは事務秘書官にとっても本省の利益以上にはるかにやりがいのある仕事でしょう。橋本行革では、「橋本行革を応援する500人委員会」というのがあり、やがて「700人委員会」になりました。ただ、時代が違いますし、大事をなすのには、コアメンバーがしっかりしていればいい。だから、副総理秘書官とそれを支える人物。例えば、「福山ノートは公文書管理法第1条でいう行政文書に当たるか?」。副総理は「福山ノートなるものがどういうものか、私は承知しておりませんが、しかし公文書というのは、行政に携わる者が法律の定義を今持ってないのですが・・・・、事務秘書官が紙一枚をサッ。それを見て、岡田さんは「行政機関の職員が職務上作成し、または取得した文書、というふうになっているのですね。ですから、ここに私は個人的なメモであればこれには当たらないというふうに思います」。福山ノートは行政文書でないという法解釈をその場で示し、現時点で福山ノートの活用の考えがないという政治判断を示しました。まず法律を確認。その解釈を示す。そしてその時点での政治判断は保留する。ホップ、ステップ、ジャンプ。その前提には必ず法律の確認があり、法律の確認があって、初めて政治判断がある。当たり前のことですが、震災後こそ当たり前のことを当たり前にすることが大事です。ただ、岡田さんは兼務が多すぎて、さすがの岡田さんにも荷が重すぎます。誰か他の大臣に分担できないものでしょうか。

 岡田さんは尊敬する人物を織田信長としています。岡田さんは次の土曜日には京都に乗り込み、京都5区の舞鶴で一体改革の説明の「第一声」を小原舞・衆院議員の総支部で挙げます。この選挙区の自民党支部長は谷垣禎一総裁です。この「ちょっと乱暴な副総理」に猛ダッシュで付いていく、コアメンバーは、まあ、200人でしょう。ご家来衆は200人でいい。チーム岡田の前には必ず道が拓けます。なぜでしょう。他に選択肢がないからです。議論の余地がないからです。議論ではなく、説得が仕事です。だから必ず道は拓けます。その200人は勇気を持って、ただまっすぐにひたむきに前に進んでいきたいと考えていますが、いかがでしょうか。まあ他に選択肢はありませんから。前へ。のポイントを充ててお読みいただけます。

 このエントリー記事の本文は以上です。 

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ガソリン値下げ国会から4年、政府として「道路特会」廃止へ 岡田副総理「ここまで来たかと感慨」記者会見

2012年01月19日 22時09分26秒 | 岡田克也、旅の途中

[写真]記者会見する岡田副総理、2012年1月19日、筆者撮影(以下同)。

 きょうは岡田副総理の記者会見に行ってきました。

 定例は「火曜日と金曜日の午後3時」が基本。きょうは行政刷新会議があったので、その後の説明(ブリーフィング)を含めた臨時の記者会見ということだったようです。

 場所は財務省の隣にある「合同庁舎4号館」というところで、いつもの「国会議事堂前駅」より一つ手前の「霞が関」駅で降りていきました。ここは、かつて私が担当していた総務庁があった庁舎で、14年ぶりに入りました。私は2009年9月の政権交代直後に外務省の記者会見で質問しましたが、これは1回限り。「日本雑誌協会会員社に載った署名記事が半年で2つ以上に満ちていない」と報道課長から言われて、その後出られませんでした。ちなみに1回限りのときも、他の方のブログなどにあるように、「囚人扱い」されてしまい、私はあまりに滑稽で笑ってしまいました。今回はそれ以来でしたが、内閣府大臣官房広報課さんが事前に警備員にも、受付にも名簿を用意してくださったので、とても気持ちよく入ることができました。

 
[写真]合同庁舎4号館(左)。

 これは霞が関の「潮見坂」という坂の下(財務省側)から、永田町(国会議事堂・官邸)方面を映した写真です。左が合同庁舎4号館。真ん中に国会議事堂が見えます。合同庁舎の影にうっすらと映っているのがかつてのホテルニュージャパン。20年来買い手が付かず解体されず野ざらしのまま赤坂に異様な姿を晒し続けていましたが、現在はアメリカ資本の保険会社のタワーになっています。


[写真]合同庁舎4号館。

 かつて「総務庁北方対策本部」が入っていたこともあり、合同庁舎4号館には「北方の領土 かえる日 平和の日」という看板があります。同じ文言の看板は東京駅八重洲北口など全国の目抜き通りにあります。この合同庁舎4号館の看板も、時折見ていますが、きょう改めて「いつ?」とつぶやきたくなりました。

 記者会見場は、民主党本部と違い、やはり政府機関ということで、特有な緊張感を感じました。記者クラブ員の記者さんからは、固有名詞などの確認がより一層必要になるなどのプレッシャーが伝わってきます。私の頃は、旧総務庁の記者クラブはのんびりした雰囲気で、兼務する官邸記者クラブに資料を持ち帰って、ゆっくり週末に向けて記事を書いていくという雰囲気でした。今はネット速報もあるので、雰囲気が違いますが、どうもこの建物は、私は好きなのかも知れません、けっこうリラックスしていました。

 首相官邸4階の大会議室で行政刷新会議(野田佳彦議長)をすませた後、岡田副総理が合同庁舎4号館4階の会議室に移動して開かれました。なぜそうするのかは私もよく分かりません。

 さて。本題の記者会見のポイントは2つ。党行政改革調査会(中川正春会長)の意見書を踏まえて、特別会計の廃止(一般会計化)などを決定しました。それと、独立行政法人の統廃合などを決定しました。ともに第180通常国会に法案が出ます。行政刷新会議は法的根拠があるし、総理が議長です。あとは法案が国会を通るかどうかということになります。ダメならば、「信を問う」ところまで行く可能性がありますが、とにもかくにも法案を出さないとどうにもなりません。その前の2月・3月の解散はないと、私は考えています。

 「道路特会」と「治水特会」の廃止(一般会計化)が決まりました。4・5兆円が特別会計のサイフから一般会計のサイフに移ります。第169国会の時点では、「暫定税率」の名の下に集めたガソリン税の上乗せ分(当時は1リットル当たり25円に相当)が道路特会を通り抜けると摩訶不思議なことに「道路づくりの大事さを理解してもらうミュージカルの開催費」に化けているというマジックが長妻昭さんらの手で明かされました。ただ、当時は「笑い事」だった気がします。

 これについて、第169通常国会の野党時代の審議が、4年経って、政府・与党として(法案が成立すれば)実現することに感慨はありますか、と質問しました。岡田副総理は「当時は、マッサージ椅子とかいろいろなことが出てきましたけど」「まあ、それもありますがやはり無駄な道路が、一般会計ではなくて特別会計から無駄な予算の執行があった」「社会資本整備特別会計がなくなるということは大きなことだと理解しています」と語りました。

 そこで、「ガソリン値下げ隊は間違いでなかったと思いますか?」と聞いてみました。岡田さんは「最後はガソリン値下げ隊ががんばり過ぎてしまったんですが、予算委員会の議論のなかで、馬淵澄夫・予算委員らが、(歳入である)道路特定財源の問題や、いかに無駄な道路をつくらないかという採算(費用対効果 B by C)の問題の議論が主流でした。そういった議論を思いおこすと、ああここまで来たか、と感慨を覚えざるを得ません」と語りました。

 岡田さんは陛下からは「国務大臣」として認証を受けているだけです。それ以外は、官邸から野田佳彦首相からもらった補職辞令により、「副総理」とか「行革相」とか「一体改革相」という肩書きがついています。

 岡田さんは初入閣のときは、「外務大臣」という補職辞令を1つだけもらいました。外務省には外局もありません。予算0・5兆円だけの官庁です。

 今回は、副総理(内閣法に定める内閣総理大臣の職務代理順位1位者)を入れて、補職辞令が9つもでています。同じ大臣でも、マルチタスクが必要な、まったく違ったおもむきの「政権を担うことの重荷」を岡田さんはいま、直面しています。ぜひ官僚のみなさんは、「○○省事務官」ではなく、「国家公務員」あるいは「日本の官僚(法律上「官僚」という言葉はありません)」として岡田副総理を支えてください。誰のためでもない、日本のためです。国難ですから。

 この記者会見には、内閣府だけでなく、財務省、経済産業省の官僚もいました。質問者は、自動車関連の雑誌の記者さんだと思いますが、「自動車安全特会の自動車検査登録勘定が独立行政法人へ移管予定」になったことについて質問が出ました。岡田副総理は答えられず、壁際の自席にひかえていた財務官僚が入れ知恵に行きました。ここまでなら、国会でも良くある光景ですが、けっきょく財務官僚もペーパーのどこに該当する記述があるか見つけられなかったようで、岡田さんから自席に戻るよう言われて戻りました。岡田さんは「後でお答えします」と答えました。副総理周りにいるような財務官僚が、内閣改造直後とはいえ、説明できないという光景はかなりの衝撃でした。


[写真]一部修正しています。

 14年ぶりにこの建物に入って、やはり官僚(国家公務員キャリア採用組)のレベルが劣化していることを実感せざるを得ない衝撃のシーンでした。例えば、私は「道路特会」、「治水特会」と書いていますが現在の正式名称はそれぞれ、「社会資本整備特別会計道路整備勘定」、「社会資本整備特別会計治水勘定」です。特会を統合して、特会内の別勘定にするという小手先の改革を続けてきたことで、財務官僚や国交官僚が全体を理解できないところまで来てしまっています。しかも、「分かりません!」のひと言が言えずに傷口が化膿したのが、今の永田町・霞が関の現状です。こりゃ、何とも「日本的だ」という表現しかないでしょう、好きではありませんが。

 民主党政権がうまく行かないのは、官僚主導でも政治主導でもなく、官僚のレベルが劣化したからだと思うのですが、それだと責任転嫁ですし、何も前に進まなくなるのでやめておきましょう。余裕がなくなり訳が分からなくなって、「省庁間の連絡」という官僚が最も優位性を持っていた分野がシッチャカメッチャカになっているのかもしれません。でも、しょうがありません。現実を見つめるべきです。とにもかくにも、まずはサイフの透明化と単純化が必要です。「無駄」があるだけ、幸せな国です。「無駄」を整理すれば、オカネが出てくるというのは、GDP世界3位の豊かな国だということです。それと人作りが大事です。

 官僚のみなさん、もう一踏ん張り、がんばってください。外から見れば、これでも官邸や国会は以前より良くなっています。混乱していますが。一部の省の一部の局が情報を外に出さないということはなくなってきていると感じます。官僚のみなさん、もう一踏ん張りです。

 独立行政法人については、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)とUR(旧住宅・都市整備公団)の統合が保留になりました。岡田さんは「URは貧しい方の住まいなどで重要だ」という考えを示しました。そのうえで、「住宅金融事業」については、株式会社化の余地があると示唆しました。こうなると、住宅金融が全銀協加盟の市中銀行と同じ存在になる可能性があり、政府関係機関であるという現在の優位性が失われます。ただ、やはり副総理会見ということもあり、岡田さんは公的に検討しているわけではないと強調しました。この辺は、ある意味、岡田さんも「インテリヤクザ」ぶりがみられて安心しました。国民としても、副総理がインテリヤクザなら最強だし、頼もしい限り。岡田さんもあまり「イメージ」を気にせず地を出せば道が拓けると私は確信します。そういう意味では、「東大法学部出の通産官僚」というイメージを持つ人には、それはまったく違う、むしろ逆です、と私は言いたいです。

 司馬さんが書いています。少佐だけど、General(将官)だったのが秋山真之だったと。generalには「総合的に」という意味があります。海軍軍人というは海軍官僚であり、国家公務員です。そういった時間軸でも空間軸でもグランドデザインが描ける官僚はいなくなったんだと考えます。全滅はしていないとは思います。出身省庁に偏らない人事や、外資系企業などに転出した人材を再採用することなどもあり得るでしょう。とにもかくにも、予算・決算をはじめ、統治のしくみを作り直さないことにはどうにもなりません。政治家も官僚も、本質をとらえ、雑事を捨て去ることが、国難および、それぞれの人生の苦難から抜け出す唯一の道です。

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岡田卓也さん「ウチの息子はかたいんだよな」 小沢一郎幹事長乗り込み事件の真相も明かす

2012年01月01日 00時00分00秒 | 岡田克也、旅の途中

 おめでとうございます。

 今週月曜日(2011年10月24日)、早稲田大学の鎌田薫総長や同大出身の政財界有志による「稲門杉原千畝顕彰会」(とうもんすぎはらちうねけんしょうかい)が、「日本のシンドラー」こと杉原千畝さんの没後25周年を記念するレリーフを、早稲田大学キャンパス14号館前の広場に設置しました。ここは教育学部があり、杉原さんは、早大高等師範部第一部英語科予科というところに通ったことがあるそうです。

 この席には、早稲田大学卒業生で、前早稲田大学商議員会議長の岡田卓也・イオン創業者(名誉会長)が出席。

 卓也さんが会場に着くと、すでに政界のお歴々が来賓席に居並んでいました。それを目にした卓也さんは腰をかがめながら、「いやあ、うちの息子はかたいんだよなあ」とぼやきながら登場。商人らしい腰の低さと、のっけからの「与党第一党幹事長のオヤジ」アピールに、渡部恒三元通商産業大臣がやおら立ち上がり、「昔は『ジャスコは地元の会津に出店しないでくれ』と言っていたが、今では『イオンは会津に出店してくれ』とお願いするようになった」と最大級の賛辞をおくりました。

 恒三さんの機転で雰囲気が和らぎ、卓也さんが自民党時代の小沢一郎幹事長が四日市に乗り込んできたエピソードを披露。

 次男・克也さんが第39回衆院選の準備をしていると、旧三重1区(5人区)の自民党公認3候補のうち、川崎二郎さん、北川正恭さんに遅れをとっていると分析した小沢幹事長が四日市に乗り込んできて、「これは角栄流選挙をやるしかないな」と発言。さらには、「金のワラジを編むしかない」とアドバイス。それを聞いて、当時はバブル期でしたから、「いったいいくらお金がかかるんだろう」と戦々恐々としていたところ、「金のワラジを編むしかない」とは「あいさつ回りを徹底するしかない」という意味で、言われたとおり、ていねいに回り、初出馬・初当選につながったとしました。

 これについて、岡田克也さんは『政権交代』の31ページに次のように書いています。

 [引用はじめ]

 初めて立候補した頃、当時自民党の幹事長だった小沢一郎さんから、ともかく歩け、との助言を受けた。私は即、実行に移した。
 「個人宅を毎日何十軒、何百軒も訪問するのは大変でしょう」と言われることがよくあったが、じつはとても楽しかった。
 初当選前の活動では、差し出した名刺を目の前で破られたこともあった。しかしそれはまれで、衆議院議員選挙の候補者本人に自宅を訪問されていやな気持ちになる人は少ない。むしろ、概ねは歓迎される。地元の路地をくまなく歩いて地域の現状を知ることもできる。そもそも歩くことは体によい。つまり精神衛生上も、身体健康上も非常にいい。

 訪問を重ねるうちに必要に迫られて、さまざまなノウハウが身につく。会話のテクニックもその一つだろう。まず、玄関に入ったら何か一つほめるポイントを見つけること。生け花だったり、置物だったり。お母さんの足にしがみついてこちらを見つめる子どもだったり。一言ほめることで、そのあとの会話がスムーズになる。一軒あたり数分間の勝負なのだ。

 選挙運動を始めてから地盤がおおむね固まる当選2回までの間に、通算すると5万軒、いや7万軒は訪ね歩いたのではないだろうか。

[引用おわり]

 このように「金のワラジ」について書いており、「元祖・小沢チルドレン」ぶりを披露しています。

    
[画像]早稲田学報のインタビューに答える岡田卓也さん(左、中央)と、岡田卓也さんと岡田3兄弟(元也さん、克也さん、昌也さん)=右、「日経新聞私の履歴書」から。

 
[写真]母校・早稲田大学商学部(11号館)にできた「岡田アトリウム(吹き抜け)」のプレート除幕式に出席した岡田卓也さん=早稲田学報。


[写真]民主党議員らと気さくにまじわる岡田ファミリー。岡田卓也・イオン創業者(中央)と左から藤田大助(三重5区比例)、芝博一(参院三重)、森本哲生(三重4区)、金森正(比例単独東海=四日市地元)、金子恵美(参院福島)の各民主党議員=左。

 
[写真]岡田元也・イオン株式会社代表執行役社長(中央)と森本哲生・民主党衆院議員(三重4区、農水政務官)ら=右。ともに、森本哲生さんのブログから。

 
【公明党が幹事長代理に富田茂之さんを昇格】

 ところで、野田佳彦首相や、岡田克也民主党最高顧問と新進党時代から仲がよい、富田茂之さんがきのう(2011年10月27日)の公明党中央幹事会で、幹事長代理に昇格しました。粋な計らいです。公明党幹事長室は、井上義久幹事長、斉藤鉄夫幹事長代行、そして、幹事長代理に高木陽介さん、富田茂之さん、参院から木庭健太郎(こば・けんたろう、コバケン)さんという布陣になりました。最近、野田首相は10月から公邸なんかに住み始めたのがいけないのですが、顔色が悪くなっており、富田さんと話がしたいようです。

   
[写真]日本を前に進めるエンジン、左から野田佳彦首相、富田茂之・公明党幹事長代理、岡田克也・民主党最高顧問の「新進党」トリオ。


早稲田キャンパスに杉原千畝レリーフを設置|プレスリリース|早稲田大学

 「日本のシンドラー」と称される早稲田大学校友の故杉原千畝氏の没後25周年を記念して、杉原千畝レリーフを早稲田キャンパス14号館前の広場に設置しました。

 10月24日には、鎌田薫総長、稲門の政界・経済界の有志が中心となり設立した「稲門杉原千畝顕彰会」の方々、杉原家ご親族、「NPO法人 杉原千畝命のビザ」の方々、イスラエルの民間防衛大臣そしてイスラエル大使館・ポーランド共和国大使館・リトアニア共和国大使館の方々などが出席し、除幕式を行いました。

 杉原氏は1918年に早稲田大学高等師範部第一部英語科予科に入学。翌1919年に外務省の官費留学生に採用・日露協会学校に留学したため本学を中退し、外交官となりました。第二次世界大戦の際にはリトアニアのカウナス領事館に赴任。ナチス・ドイツの迫害によりポーランド等欧州各地から逃れてきた難民の窮状に心を痛め、外務省からの指示に反して日本通過ビザを発給し、6,000人にものぼる人々を救いました。

 このたび設置したレリーフは、「稲門杉原千畝顕彰会」から寄贈いただきました。レリーフに刻まれた「外交官としてではなく人間として当然の正しい決断をした」という杉原氏の言葉は、今後も後輩である学生たちに受け継がれていきます。

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まあ、なんとかなるものだ。

2011年12月31日 13時00分00秒 | 岡田克也、旅の途中

 さあいよいよ、年越しです。何もなければ、これが2011年、平成23年、最後のエントリーになると思います。

 昨年末(2010年末)のエントリーで、「じつはきょう、気付いたんですが、学生・記者・支持者として、支持政党が1月1日~12月31日、与党だったというのは2010年が私にとって初めての経験だったんですね」と書きました。

 そして、2011年、私にとっては支持政党(民主党)の支持するグループ(良識派、野田・岡田グループ)が主流派として政権の重荷を背負い続けた初めての1年となりました。通常国会冒頭から衆参ねじれ。そして、東日本大震災と原子力発電所爆発。あまりにも重すぎる重荷でしたが、年を越すことができます。

 ことしの国会会期は289日となり、1月召集になってからは最多開催日数でした。私の国会傍聴ノートはことしの9冊目の途中です。2007年8月の第167臨時国会から昨年末までが合計10冊でしたから、1年で倍増したくらい、中身の濃い一年でした。

 私にとって、ことしイチバンの思い出は、8月9日の「3党合意」です。私の頭の中は、ことしのはじめから、「どうやったら平成23年度の特例公債法案(赤字国債発行法案)」を参議院で可決、成立させるか?」ずっとそればっかり考えていました。例えば、順次シャットダウン(政府の一部の窓口の閉鎖)する計画を出して野党に迫るとか、財政法4条(赤字発行の原則禁止)を改正法案を出すだとか。そして、何より両院協議会のルールを改める。例えば、衆院と参院、それぞれの「院議」の10人が選ばれる両院協議会協議委員を、院の選挙で選ぶことにする。そして両院の議長がそれぞれドント方式で指名することにしたらどうか。そうすると衆院の7人が与党、参院の4人が与党になり、協議委員の過半数が与党になる。これはいい! と思いきや、両院協議会のすりあわせ案(協議案)は過半数ではなく、協議委員の3分の2以上の賛成が必要だと指摘され、がっくり(国会法92条)。そうすると運用面の見直しではにっちもさっちもいかないので、国会法改正案を野党にお願いするしかないのか。まさに苦悩の日々でした。

 そのときに、民主党幹事長だった岡田克也さんが、腹心に次のように話していることを知りました。

 まあ、なんとかなるものだ。

 私はこの岡田さんの言葉を知ったときは、ずいぶん楽観主義な人だなあ。腹心もその言葉の意味をつかみかねていました。おそらく岡田さん本人も根拠はなくそう言っていたのでしょう。私も「まあ、岡田さんが言うならそうなのかなあ」と思いつつ、私も必死にあれこれ考えました。このころ、岡田さんは、公明党の井上義久幹事長に、米政府でシャットダウンの経験があるルービン元長官の回顧録をプレゼントしようとし、「失礼だ」と怒られたという記事がでました。2月17日には、民主党16人組の会派離脱があり、衆院での3分の2再可決(日本国憲法59条)が絶望的になりました。憲法のすきまを突かれた格好です。2月28日予算案が衆院を通っても、衆・財金委では特例公債法案が審議入りしませんでした。心配で委員会の理事に聞いたところ、「与党側の古本伸一郎筆頭理事、大串博史次席理事が頑張っている」と聞きました。参予算委の日程を考えて、「朝8時~9時、昼12時~13時、夕方17時~の審議をお願いしているが、野党側の後藤田正純筆頭理事が言うことを聞いてくれない」と知りました。そして、3月7日(水)にやっと、特例公債法案が夕方の2時間だけ審議入りしました。ここで後藤田さんは「自民党は(夜なべならぬ)朝なべ、昼なべ、夕なべ審議も良いと言っていました」と発言し、この人は苗字は立派だが、野党らしさを誤解したとんでもない議員だと憤慨しました。そうしたらすぐに東日本大震災が発生し、財金委での審議は無期限でストップしました。その後、後藤田さんは六本木をぶらぶらしていて、週刊誌のグラビアに不倫写真が載り、筆頭理事を辞任し、謹慎しました。野党第1党といっても、抵抗野党と政権準備党があり、自民党は政権準備党であるっことを忘れていたのでしょう。後藤田さんは天の戒め、私はとらえています。

 それはさておき、この「2・17ショック」と、「3・11大震災」以降の真っ暗闇に光明がさしたのは、6月5日(日)の朝でした。不信任否決の次の週の幕開けの朝。日曜朝の政治討論番組というのは、アメリカのほか、先進各国いろいろな国であるそうです。とはいえ、そこに呼ばれる政治家はごくわずかです。この朝は、午前7時30分からの台場のフジテレビ「新報道2001」に岡田民主党幹事長と石原伸晃自民党幹事長の2人が呼ばれました。そして、国会近くのNHK千代田放送会館に移動しての、午前9時からの「NHK日曜討論」は岡田、石原両幹事長に加えて、井上・公明党幹事長、国民新党の下地幹郎幹事長ら9党の幹事長・書記局長の出演ということになっていました。

 新報道2001では、岡田さんは「菅総理が「一定のめど」(で退陣する)と言っているのだから、いつ(特例公債法案を成立させるか)という議論をしてほしい」と話すと、、石原さんは「菅総理は99%レームダックだ(から時期の議論は無用だ)」と挑発しました。その後、子ども手当、バラマキ4Kといった話題が続き番組の終了時間が迫ってきました。石原さんは「民主党内をまとめてほしい。岡田さんと話しても、(民主党内の)もう一方の原理主義者の人たちが岡田さんたちを後ろから鉄砲で撃つ。私たちは一本になった民主党と話したい」と話しました。ここで、岡田さんは「党首選になると大きなテーマになる」と初めて代表選前倒しに具体的に言及。石原さんは「選挙ごとに自民党300・民主党100、自民党100・民主党300とスウィングする選挙制度は好ましくない」として、今は「その過渡期にある」と発言しました。私は石原さんは二大政党論者だとは思っていましたが、このとき初めてハッキリした言葉で確認しました。これに対して、岡田さんは「私は期限付き大連立をして、次の総選挙に臨みたい。政界再編はこの20年間やってきて、またやるというのは時間の無駄になる。次の任期まで解散しないという約束で、大連立し、税と社会保障の一体改革などに一緒に取り組んでほしい」と応じました。

 このとき、二大政党幹事長の腹合わせが、テレビという公共の場で、生放送でできた瞬間だ、と私は考えています。自民党幹事長と社会党書記長が料亭で腹合わせをしていた時代とは違い、オープンでクリーンな政治が国難もあいまって実現した瞬間だ、と私は考えています。この後、岡田さんと石原さんはお台場から、国会近くのNHK千代田放送会館に移動します。おそらくケータイで話したりしていないと思います。お互いの腹合わせができていたでしょう。

 NHK日曜討論は、二大政党幹事長に加えて、中小政党の幹事長・書記局長も加わり、スタート。この番組は必ず与党第1党の出席者から発言します。岡田さんはのっけから「退陣の時期を明言すれば、菅内閣はレームダック化する」と予防線を張りました。この後、野党第1党、野党第2党、野党第3党の順に発言し、与党第2党の国民新党の下地幹事長の番になると、下地さんは「大連立の話もあるけど、こんなに(民主)党内がまとまらないのに大連立はない、と岡田幹事長にも(先週?)いっぺん話したがまた話題になっている」と切り出しました。おそらく下地さんはフジテレビを見て、大連立で国民新党が埋没することをおそれてこう切り出したのでしょう。政治センスの優れた人だと感じました。番組中盤で、岡田さんは「特例公債法案も人質にとると、どの党が政権をとっても立ち往生する。自民党も責任を共有してほしい」とし、大連立を惹起させます。そうすると、みんなの党の江田憲司幹事長が「大連立と言っても、閣議は全会一致だから、ハンコを押す、押さないという話になる」と徹底抗戦。共産党書記局長の市田忠義さんが「国難だから大連立、となると大政翼賛会的になる」としながら、「やるなら期限とテーマを区切るのが秘訣だ」と助け船を出してくれました。ここで岡田さんは「期限とテーマを決めて大連立をやっていく」と応じました。そうすると下地さんが「大連立という言葉を岡田幹事長が使うこと自体、驚きだ」と述べ必死にブレーキをかけます。が、岡田さんは「解散しても、民主党も自公もともに参議院で過半数をとれない」とさらにアクセルをふかしました。ここで、石原さんが「岡田さんの言うように、解散しても参院は変わらない。数ヶ月から半年ぐらいは信頼関係ができていれば、大連立はあり得る」と述べ、この時点で、民自大連立構想が完成しました。東北ブロック選出で大震災対応に没頭していた井上幹事長は、フジテレビを見ていなかったのでしょう「大連立ではなくテーマを区切って協力すべきだ」と述べるのが、この日は精一杯でした。

 この平成23年6月5日朝の二大政党幹事長のオープン腹合わせ。これは6月2日の不信任政局を主導した民主党の小沢一郎さん、自民党の森喜朗さんら「1969年初当選の当選14回生」を、岡田さん、石原さんの「1990年初当選の当選7回生」が日本政治の時計の針を回した歴史的瞬間だった、と私は認識しています。

 翌日の記者会見で、岡田さんは「まず「大連立」というときに、それが自民党とだけではなくて、既に与党として連立を組んでおります国民新党、それから公明党など他の政党も視野に置いて連立を組むことを「大連立」と言っている、私は少なくともそういう意味で使っております」とし、テレビでは突き放したように思えた国民新党、公明党もしっかりと仲間に引き込みます。この瞬間に3党協議体制が誕生したと言っていいでしょう。3党合意とは、民主党幹事長が国民新党幹事長から一任を取り付けた上での、民自公3党協議です。具体的には、実務者のレイヤー(層)が民主党が城島光力さん、自民党が鴨下一郎さん、公明党が坂口力さん。政調会長レイヤーが、民主党が玄葉光一郎さん、自民党が石破茂さん、公明党が石井啓一さん。幹事長レイヤーが民主党が岡田克也さん、自民党が石原伸晃さん、公明党が井上義久さんの1990年初当選トリオでした。

 この前提として、玄葉さんが主導した4月29日(祝・金)の3党政調会長合意による、第1次補正予算と関連法案の5月2日(月)の成立がありました。そのうえで、「大連立構想」で3党の枠組みをしっかりと固めて、6月22日(金)の3党幹事長による「辞任3条件」、8月9日(火)のマニフェスト見直しと引き換えの特例公債法成立への「3党合意」に結びつきます。そして、8月26日(金)の参院本会議で特例公債法案や再生可能エネルギー法案が可決し、成立しました。そして、直後に菅さんが笑顔で総辞職を表明しました。いろいろあったので私も勘違いしがちですが、実は本質は「総理のクビと引き換えに野党に特例公債法を参院で賛成してもらって成立させる」という当初から最も有力だったシナリオ通りだったんです。ただ、第2次補正予算と再生可能エネルギー法のおまけがついたうえ、7年ぶりに同じ人が日本首相としてG8・G20サミットに出席できました。

 さて大連立構想ですが、いまだに民主党・国民新党は自民党、公明党は大連立していません。この6月5日の「大連立構想」はいったい、どういう意味だったんでしょうか。それは岡田さんと石原さんらの腹の内にしまったままです。これは情報公開法の特例措置として、永遠に公開されません。

 さて。

 まあ、なんとかなるものだ。

 大晦日になって、その通りになって、その意味がだいたい分かった気がします。

 つまり、社会とは、国家とは、国会とは、相手があって初めて成り立ちます。だから、相手が困り果てて、倒れれそうになったら、敵だろうが味方だろうが相手は支えてくれるはずです。なぜなら、ホントウに相手が倒れたら社会そのものが成り立たなくなってしまい、自分の存在もなくなってしまうからです。

 今年は多くの命が彼岸に行きました。これも現世だけではなく、彼岸も同じ社会だという考えに立てば、すべてに応用できると私は考えます。そうすると、来年の通常国会の懸案となる消費税増税法案も彼岸も此岸も同じ社会だと理解しているオピニオン・リーダーはいますから、必ず国民の納得は得られて、なんとかなるものだ。さらに現世においても相手は増えています。ことし地球の人口は70億人となりました。IT化も含めて、グローバリゼーションは進む一方です。現世においても、社会における、相手は増えています。この時間的な広がり、空間的な広がりの中で、私たちは恐れることは何もありません。ただひとつ、恐れるべきことは足がひるんで、内に籠もることです。

 私はこの1年間、ホントウに良い勉強ができましたし、自分に自信を持ち、自分自身成長できたと実感します。与党がキツイという感覚もなくなりました。

 東日本大震災により、当ブログをお読みいただくみなさまも、様々な環境での年越しとなります。しかし、大震災による著しい経済困窮、財政の逼迫といったさまざまな不利益は、どこに住んでいようが、分かち合い、支え合う。それができない人は国民ではありません。今の私はそう思うし、それを100%の自信と確信を持って言えます。だからこそ、震災や原子力災害で痛んだ人にも確信を持って、次のひと言を100%の自信と確信で申し上げて、年を越します。

 まあ、なんとかなるものです。

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イラク戦争終結 2003年の開戦当日に「大量兵器が存在しない可能性」を議事録に残した政治家は誰か?

2011年12月15日 07時27分42秒 | 岡田克也、旅の途中


米大統領 イラク戦争終結宣言 NHKニュース

9年近くに及んだイラク戦争を巡って、アメリカのオバマ大統領は、日本時間の15日未明に行った演説で、「きょうをもってわれわれは戦争を終結する」と述べ、イラク戦争の終結を宣言しました。

オバマ大統領は14日、南部ノースカロライナ州の陸軍基地で、イラクからの帰還兵らを前にイラク戦争を巡る演説を行いました。この中で、オバマ大統領は、兵士たちに「国に戻ってきたことを歓迎する。お帰りなさい」と繰り返し語りかけ、みずからが約束した、アメリカ兵のイラクからの撤退が予定どおり年内に完了するとの見通しを示しました。そのうえで、「アメリカ軍の歴史の中で、非常に大きな出来事が終わる。きょうをもって、われわれは戦争を終結する」と述べ、イラク戦争の終結を宣言しました。また、オバマ大統領は、「イラクをみずからの代表を選挙で決めることができる、自立し安定した国にすることができた」と述べ、戦争の成果を強調しました。しかし、イラク戦争では合わせて150万人のアメリカ兵が現地に派遣され、このうちのおよそ4500人が死亡しました。オバマ大統領は、「戦争にはさまざまな困難があった。国内でも賛否両論があった」と述べ、みずからが反対してきたイラク戦争によって、アメリカ自身にも多くの犠牲がもたらされたことを指摘しました。

 ◇

 イラク戦争が終結しました。今月中に撤退が完了します。

 サダム・フセイン大統領率いるイラクが大量破壊兵器を持っており、その廃棄を求めた「国連安保理決議1441」に違反しているとして、ジョージ・ブッシュ大統領が2003年3月20日(木)=日本時間・米時間とも=に始めたのが「イラク戦争」です。

 結果として、大量破壊兵器は存在しなかったのですが、戦争は続きました。サダムをとらえ、裁くことには成功しました。ただ、この戦争は、サダムが石油取引にユーロを使い、国際基軸通貨としての「ドル」を壊そうとしたことへの懲罰だったというのがホントウの狙いだったようです。この8月、ニクソン・ショックから40年経ちました。1ドルが360円ないし220円から、77円前後まで円高ドル安にふれましたが、それでもドルが国際基軸通貨であり続けるのは、さすがアメリカです。しかし、それを維持するために、アメリカの外で、1991年の湾岸戦争、2003年のイラク戦争をしなければならなかったということを認識する必要があると思います。

 ところで、この2003年3月20日の衆院本会議で「イラクに大量破壊兵器が存在しない可能性」を指摘していた政治家がいることをご存知でしょうか。これは国会議事録がありますから、ハッキリ残っています。わが国は世界でも早く日付変更線を越えて、新しい朝を迎える国です。日出づる国です。世界観をしっかり持った政治家がいれば、日本は生き残れます。

 さて、もったいぶることもないのですが、2003年3月20日、この極東の島国で、その時点で野党生活が連続9年を越えていながら「大量破壊兵器が存在しない可能性」を指摘した議員、それは岡田克也(Katsuya Okada 1953-)です。当時野党第1党の民主党、この時点で政権を担った経験は一日もない政党の幹事長でした。

 岡田さんは質問演説を「民主党の岡田克也です。本日昼に始まった米国などによるイラク攻撃に関し、我々の見解を述べつつ、小泉総理に質問します。(拍手)とうとう戦争が始まりました。この戦争によって、多くの犠牲が生まれ、罪のない命が奪われることは確実です。何とかこの戦争を回避し、イラク問題の平和的な解決ができなかったのか、本当に残念に思い、同時に、私自身、無力感を感じています。私だけではなくて、この議場の皆さんの気持ちも同じだと思います。一日も早く、戦争が終わり、平和が訪れることを強く願いつつ、質問します」と切り出しました。

 そして、岡田さんは「小泉総理は、イラクの大量破壊兵器が確実に存在し、それが今後、確実にテロリストの手に渡るという確かな証拠をお持ちなのでしょうか」と指摘しています(岡田指摘)。

 これに対して、小泉純一郎首相(自民党総裁)は、「大量破壊兵器の脅威というのは、決して人ごとではありません。武力行使なしには大量破壊兵器が廃棄され得ない状況のもとでは、私は、同盟国として今般のアメリカの行動を支持することが国家利益にかなう」と答弁しています。

 おそらく世界的にも、大量破壊兵器が開戦当日から存在しない可能性を指摘し、それがその国の議会の議事録に残っているという政治家は極めて少ないだろうと考えます。

国会会議録データベースから引用はじめ]

第156回国会 本会議 第16号
平成十五年三月二十日(木曜日)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 小泉内閣総理大臣のイラクに対する武力行使後の事態への対応についての報告
(略)
 小泉内閣総理大臣のイラクに対する武力行使後の事態への対応についての報告に対する質疑

    午後三時三十三分開議
○議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 内閣総理大臣の発言(イラクに対する武力行使後の事態への対応についての報告)
○議長(綿貫民輔君) 内閣総理大臣から、イラクに対する武力行使後の事態への対応についての報告について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣小泉純一郎君。

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) イラク問題についての政府の基本的な考え方を明らかにし、皆様の御理解と御協力を得たいと思います。(拍手)
 数時間前、米国を初めとする国々は、イラクが国際社会の平和と安全に与えている脅威を取り除くための最後の手段として、イラクに対する武力行使を開始しました。
 イラクは、昨年十一月に全会一致で採択された国連安保理決議一四四一によって、国際社会から、大量破壊兵器を廃棄するための最後の機会を与えられました。私は、イラクへの総理特使の派遣を含め、イラクが直ちに国連査察団に対して無条件かつ積極的に協力することによって平和への道を選ぶよう、繰り返し呼びかけてきました。国際社会も、一致して、イラクの全面的協力を強く求めてきました。平和へのかぎはイラクだけが握っているのが明らかだからです。しかし、大変残念なことに、イラクは、国際社会の真摯な努力にこたえず、みずから平和への道を閉ざしてきました。
 サダム・フセインは、これまで、隣国に対しても、また、驚くべきことに、イラク国民自身に対しても、違法で残酷な化学兵器を使用したことがあります。イラクは、今から十三年前、突然、クウェートを侵略し、併合を宣言しました。国際社会は、イラクの国際法を無視した蛮行を厳しく糾弾し、多数の国々の軍事力によってこれをただしました。停戦に当たって、イラクは、地域の平和と安定を脅かす大量破壊兵器を廃棄することを約束しました。この約束は完全に実行され、イラクが大量破壊兵器をすべて廃棄したことが確認されなければなりません。それができて初めて、この地域の平和と安全の確保が可能となります。しかし、イラクは、これに応じようとしませんでした。
 大量破壊兵器は、大量かつ無差別に市民を殺害し、傷つける恐ろしい兵器です。私たちは、このような非人道的な兵器が自国民を圧政のもとに置く独裁者の手中にあることを、真剣に考えなければなりません。(拍手)特に、一昨年九月十一日の同時多発テロ以来、国際社会は、テロリストが核物質や生物兵器、化学兵器を入手した場合の恐怖を強く認識するようになりました。今日の国際社会において、大量破壊兵器の保有の有無は、うやむやに放置しておけるような問題ではないのです。我が国を取り巻くアジア地域も、決して、この問題と無縁ではありません。

 イラクは、国際社会に対して、かつて保有し使用した大量破壊兵器を廃棄したのかどうかを十分に説明しませんでした。イラクは、VXガスやマスタードガスのような化学兵器、炭疽菌やボツリヌス菌のような生物兵器など、何億人もの人々を殺傷できる量を保有していたと言われています。しかし、イラクは、このような恐ろしい兵器の行方について必要な説明を行わず、国際社会に対して誠意ある回答を示さなかったのです。
 国際社会は、十七本にも上る国連安保理決議を採択し、一致してイラクに対する説得に当たってきました。しかし、イラクは、十二年間にもわたって国連安保理決議への違反を続けてきました。これは、イラクによる国連に対する挑戦であり、国連の権威の侮辱です。このような状況のもとで、私は、安保理が一致団結し、国際社会の平和と安全に対して責任を果たすべきことを、ブッシュ米国大統領やシラク・フランス大統領を含む関係国首脳に対して、直接訴えてきました。
 最終的に安保理での意見の一致が見られず、安保理が一致団結できなかったことは残念です。しかしながら、何度も何度も平和的解決のための機会を与えられたにもかかわらず、イラクがその機会を一切生かそうとせず、安保理決議違反を繰り返してきたことは、決して見逃されてはなりません。(拍手)問題の解決をいつまでも先延ばしにすることは許されないのです。イラクの対応を根本的に変えるための方策も見通しも全く見出せない以上、武力行使に至ったことはやむを得ないことだと考えます。(拍手)

 今、米国は、このような大量破壊兵器を廃棄する国際的な動きの先頭に立っています。米国は、我が国のかけがえのない同盟国であり、我が国の平和と安全を守るための貴重な抑止力を提供しています。我が国を取り巻くアジア地域の平和と安全の確保にとっても、米国の役割は不可欠です。そのような米国が国際社会の大義に従って大きな犠牲を払おうとしているとき、我が国が可能な限りの支援を行うことは、我が国の責務であり、当然のことであると考えます。(拍手)
 いかなる場合においても、武力行使を支持することは容易な決断ではありません。戦闘なしに大量破壊兵器が廃棄されることが最善の策であることは、言うまでもありません。しかし、それが不可能な状況のもとでは、我が国としては、国際社会の責任ある一員として、このたびの米国を初めとする国々による行動を支持することが我が国の国家利益にかなうとの結論に達しました。(拍手)
 今般の事態に際し、政府は、直ちに安全保障会議を開催し、緊急性を有する措置に関する対処方針を速やかに決定するとともに、その後の臨時閣議において、事態の推移を見守りつつ検討すべき措置に関する対処方針もあわせて決定いたしました。同時に、内閣にイラク問題対策本部を設置し、この対処方針に基づき、政府が一体となって総合的かつ効果的な緊急対策を強力に推進することといたしました。
 政府は、イラクとその周辺における邦人の安全確保のために万全の措置を講じてまいります。また、国内重要施設、在日米軍施設、各国公館の警戒警備等、国内における警戒態勢の強化・徹底を図ります。さらに、我が国関係船舶の航行の安全を確保するため、所要の措置を講じてまいります。

 政府は、原油の安定供給を初め、世界及び我が国の経済システムに混乱が生じないよう、関係国と協調し、状況の変化に対応して適切な措置を講じてまいります。このため、原油等物資の市場動向や供給状態、金融・証券市場の動向を監視します。また、関係諸国等と連携しつつ、必要に応じて、原油の安定供給のための適切な措置を実施します。さらに、外国為替市場の安定化、金融システムの安定の確保、国内の流動性の確保に努めます。

 我が国は、このたびの武力行使によって被災民が発生するのに応じて、国際機関やNGOを通じた支援や、周辺国に対する国際平和協力法に基づく自衛隊機等による人道物資の輸送等の支援を含め、緊急人道支援を行います。
 我が国は、イラク及びその周辺地域の平和と安定の回復が我が国にとっても重要であるとの認識に立って、このたびの事態に対して積極的な対応を行ってまいります。
 我が国は、今後の事態の推移を見守りつつ、次のような措置を検討してまいります。
 第一に、このたびの武力行使によって経済的影響を受けるイラク周辺地域に対して、影響を緩和するための支援を行います。第二に、イラクにおける大量破壊兵器等の処理、海上における遺棄機雷の処理、復旧復興支援や人道支援等のための所要の措置を講じてまいります。
 また、これらの措置とは別に、我が国は、アフガニスタン等におけるテロとの闘いを継続する諸外国の軍隊等に対して、テロ対策特措法に基づく支援を継続・強化します。
 私は、戦闘が一刻も早く、しかも、国際社会に対するイラクの脅威を取り除く形で終結することを心から望んでいます。同時に、イラクが一日も早く再建され、人々が自由で豊かな社会の中で暮らしていけるよう、イラクの復旧復興のため我が国ができる限りの支援を行っていく考えであることを、ここで明らかにしておきたいと思います。
 中東地域の平和と安定は、我が国自身の平和と繁栄に直結する重大な問題です。我が国は、イラク及びその周辺地域の平和と安定の回復に寄与することに加え、中東和平問題への真剣な取り組みを続けていきます。また、悠久の歴史と文明を有するイスラム世界との対話を継続・強化し、幅広い交流と相互理解を進めていきたいと考えます。
 私は、以上のような政府の考え方について、国民の皆様の御理解と御協力を心からお願いいたします。(拍手)

○議長(綿貫民輔君) ただいまの発言に対する質疑は後刻行います。

(略)

○議長(綿貫民輔君) 岡田克也君。

    〔岡田克也君登壇〕

○岡田克也君 民主党の岡田克也です。
 本日昼に始まった米国などによるイラク攻撃に関し、我々の見解を述べつつ、小泉総理に質問します。(拍手)
 とうとう戦争が始まりました。この戦争によって、多くの犠牲が生まれ、罪のない命が奪われることは確実です。何とかこの戦争を回避し、イラク問題の平和的な解決ができなかったのか、本当に残念に思い、同時に、私自身、無力感を感じています。私だけではなくて、この議場の皆さんの気持ちも同じだと思います。一日も早く、戦争が終わり、平和が訪れることを強く願いつつ、質問します。(拍手)

 まず、民主党の基本的な考え方を述べます。
 民主党は、イラクがこれまで累次の国連決議を守らず、大量破壊兵器に関する疑惑をみずから払拭してこなかったことを、強く批判してきました。同時に、査察を強化し継続することで大量破壊兵器の完全廃棄を行うことは可能であるとし、そうすべきと主張してきました。しかし、今回、ブッシュ政権が国連安保理での問題解決を放棄し、単独主義的な武力行使を開始したことは、国連憲章など国際法の原則に違反する行動であり、これを容認することはできません。(拍手)
 武力行使の中止を強く求めます。小泉総理がブッシュ政権の武力行使に支持表明したことは誤りであり、その撤回を強く求めます。(拍手)

 小泉総理、まず最初に率直にお聞きします。
 あなたは、この数カ月、イラク問題は国際社会とイラクの間の問題であるべきと主張されてきました。しかし、あなたが一致してイラク問題に対応すべきと主張した国際社会は、米国の武力行使をめぐり厳しく賛否が分かれ対立する最悪の状況になっています。あなたは失敗したのです。
 また、小泉総理は、かねがね、日米同盟と国際協調の両立を目指すことが重要だと言われてきました。しかし、小泉総理は、国際協調をあきらめ、日米同盟を選択しました。
 小泉総理、あなたが目指してきた外交目標は、いずれも達成されず、大失敗に終わったのです。総理大臣として、外交に失敗したことについて、率直に反省し、国民に対し謝罪すべきだと考えますが、いかがですか。答弁を求めます。(拍手)

 小泉総理、あなたは、外交に失敗しただけではありません。あなたは、イラク問題について、先日のブッシュ大統領のイラクへの最後通告がなされるまでの間、国民に対し、説明責任を全く果たすことがありませんでした。
 さきの党首会談で、米国の新たな国連決議なき武力行使を認めるのかと問われて、そのときに考える、その場の雰囲気でなどと述べたのは、その典型であります。国連安保理の非常任理事国に対しては、経済協力などを背景に米国支持を求めながら、国内では全く説明しない。そこにあるのは、小泉総理の国民無視の姿勢であり、国民の共感を得ながら外交を進めるという姿勢は全くありません。
 英国のブレア首相が国民に対して理解を求めようと必死になって説明する姿勢には、私も同じ政治家として共感を持ちます。総理は昨日の党首討論でもいろいろ言いわけをしましたが、ブレア首相との違いは余りにも大きい。国民への説明責任を果たしてこなかったことを謝罪すべきです。答弁を求めます。(拍手)

 小泉総理、あなたは、米国ブッシュ政権の決定したイラク攻撃を支持すると表明されました。小泉総理は、その理由として三点挙げています。
 第一に、国連決議一四四一号を初めとする一連の国連決議が武力行使の根拠となっており、国連憲章違反との批判は当たらないこと。第二に、大量破壊兵器が独裁者やテロリストの手に渡った場合、何十万人の生命が危機に直面すること。第三に、日米関係の信頼性を損なうことは国益に反する、その国益の中には北朝鮮問題も含まれる。
 以上の三点です。いずれも説得力に乏しいと言わざるを得ません。(拍手)

 以下、それぞれについて質問するとともに、米国のイラク攻撃支持の撤回を求める我々の要求に対して、受け入れる意思があるかどうか、総理の見解を伺います。

 まず、第一の問題についてお聞きします。
 総理は、いつから、国連決議一四四一号が武力行使を容認しているとの考えに変わったのでしょうか。
 総理、私は、二月三日のこの本会議場での代表質問で、フランス、ドイツ、ロシアなどは、国連決議一四四一号が武力行使を容認するものではなく、イラク攻撃を行う場合は新たな決議が必要との立場に立っている、日本も同じ立場に立つべきだと主張しました。総理に、再質問、再々質問、三度にわたり質問しました。総理は、当初は逃げの答弁に終始しましたが、三度目の私の質問に対して、一四四一号の決議を守らなかった場合に自動的に武力行使を容認しているものではない、自動的に武力行使を容認しているものではないと答弁されました。このときの答弁は誤りだったのでしょうか。いつ、なぜ、考え方を変えられたのでしょうか。答弁を求めます。
 安保理の理事国の多くやアナン国連事務総長は、新たな国連決議が必要であるとしています。総理は、新たな国連決議は必要ないと言われますが、そのことを最終的に決めるのは、あなたではありません。国連安保理であり、あなたが勝手に決めることはできないのです。今回の武力攻撃に正当性がないことは明らかです。もし、総理に異論があれば、明快に述べていただきたい。答弁を求めます。(拍手)

 次に、第二の点についてお聞きします。
 大量破壊兵器がテロリストや独裁者の手に渡ることは、確かに大変な問題です。しかし、だからこそ、イラクに対して国連の査察団が査察を行ってきたのです。小泉総理は、イラクの大量破壊兵器が確実に存在し、それが今後、確実にテロリストの手に渡るという確かな証拠をお持ちなのでしょうか。査察団が証明できていないことを、いかなる根拠で言われているのでしょうか。また、仮に確たる根拠があったとしても、そのことが直ちに国連無視の武力行使を正当化するものではないはずです。(拍手)
 先ほど、問題の先送りを許すべきでないと総理は述べられましたが、なぜ、査察委員会のブリクス委員長が言うように、数カ月の査察の継続まで待てなかったのでしょうか。小泉総理の論理には飛躍があり、粗雑過ぎます。反論があれば述べてください。

 第三に、日米関係の信頼性を損なうことは国益に反すると言われました。
 確かに、日米同盟関係の信頼性を損なうことがあってはなりません。特に、九・一一テロ事件以降の米国国民の意識の変化を十分に踏まえることは大切です。注意深く、慎重に行動しなければなりません。しかし、だからといって、国連憲章に反し、大義なき戦争を始めていいはずはありません。
 そして、日米間のきずなは、そんなにも弱いものなんでしょうか。同盟国であればこそ、率直に語り、ブッシュ大統領を説得すべきだったのではありませんか。そして、国連安保理の手続を無視し、国連の権威と機能を弱めることこそ、国益に反するのではないでしょうか。答弁を求めます。(拍手)
 北朝鮮問題との関係についても、今回、米国の単独武力行使を認めたことは、北朝鮮問題の解決をより困難にしたと思います。北朝鮮問題の解決は、中国やロシアとの協力が欠かせません。国連安保理の取り組みも重要です。すなわち、重要なのは、国際協調の中で北朝鮮の問題を解決するという姿勢です。ブッシュ政権とこれらの国々や安保理との間に重大な亀裂が入った状況で、いかにして北朝鮮の問題を解決するのでしょうか。答弁を求めます。(拍手)

 最後に、極めて重要なことを小泉総理にお聞きします。
 ブッシュ政権がイラクへの武力行使を正当化する最大の根拠は、国連決議ではありません。昨年九月に発表されたブッシュ・ドクトリンにあります。その中で、従来の自衛権の考え方を大きく変え、単独行動、先制攻撃を認めています。先日のブッシュ演説でも、米国は自国の安全を守るために武力行使の権限を持つ、行動しないことによるリスクの方がはるかに大きいことから我々は今行動するのだ、敵が先に攻撃した後に反撃するのは自己防衛ではなく自殺行為だとまで述べています。
 このようなブッシュ大統領の、従来の自衛権では説明できない先制攻撃論を、小泉総理は認めるのですか、認めないのですか。答弁を求めます。(拍手)
 また、このような先制攻撃を認めることは、自衛権の行使と国連安保理の決議がある場合を除いては武力行使は認めないとする国連憲章の考えを大きく変え、今までの平和維持のための国際的な仕組みの根本的な見直しにつながります。唯一の超大国アメリカが国連を無視し、単独行動、先制攻撃を行うとすれば、国連の権威は失われ、世界は極めて不安定になります。米国といえども国家である以上、自国の国益を基準にして武力行使することになりかねません。
 ブッシュ大統領は正義を掲げてみずからの戦争を正当化しようとしていますが、国際社会において、正義は一つでは必ずしもありません。だからこそ、国連という協議の場が設けられているのです。(拍手)
 私は、以上の点についても小泉総理と認識を共有していると期待しておりますが、いかがでしょうか。二月三日のこの場での代表質問で、この点、小泉総理に三度にわたり質問しましたが、全くお答えはありませんでした。責任ある答弁を今度こそ求めます。(拍手)
 小泉総理、あなたは、同盟国の一員として、ブッシュ大統領と、このブッシュ・ドクトリンについて、昨年九月以降、意見交換をしたことがありますか。国連を軽視する米国の姿勢は、将来的には、日米同盟の本質をも大きく変えかねない重大な問題であります。そんな危機感を持って、ブッシュ大統領に、単独行動・先制攻撃論の問題点を指摘し、自重を求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。
 小泉総理、我々は今、二十一世紀最初の大きな戦争の始まりに直面しています。戦争は多くの罪なき命を奪います。そして、国連安保理の決議がないままの大義なき戦争が今後の世界の平和に及ぼす影響ははかり知れません。今日の事態を招いたことについて、政治家として、そして一人の人間として、この議場にいる我々一人一人が大いなる反省を求められていると思います。とりわけ、日本国総理大臣の職にある者として、小泉総理、あなたの責任はとてつもなく重い。しかし、私には、あなたにその認識があるとは到底思えない。そのことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 岡田議員にお答えいたします。

 日米同盟と国際協調の両立及び国民への説明責任についてのお尋ねでございます。
 国際社会も、一致して、イラクの全面的協力を強く求めてきました。私も求めてまいりました。残念なことに、イラクは、国際社会の真摯な努力にこたえず、みずから平和の道を閉ざしてきました。
 イラクの大量破壊兵器を破棄する国際的な動きの先頭に立っている米国に対し、同盟国として可能な限りの支援を行うことは当然だと思っております。
 また、日米同盟によって、日本は日本の安全を確保してまいりました。これからも、この日米同盟関係、信頼性を維持していきながら、日本国民の安全を図っていかなければならないと思っております。
 同時に、安全が確保されて初めて、さまざまな政策が推進できるわけであります。国際協調を図りながら日本の発展を図っていく。日米同盟と国際協調を両立させる。今後も、この両立を図っていくよう努力してまいります。(拍手)
 また、イラク問題に対する政府の考え方について、説明責任についてのお尋ねでございますが、私は、その都度、政府として説明をしてまいりました。しかしながら、自分の考えと合致していないと答えになっていない、見解が違うと説明していない、こう言われるんじゃ、幾ら説明してもお気に入りの説明責任を果たしたとは言えない。
 政府には政府の立場があるんです。私は、今までも、はっきりと説明しております。今後も、国民の理解と協力が得られるように、さまざまな機会を利用してはっきりと説明して、御理解、御協力を得たいと思います。(拍手)

 米国のイラク攻撃支持の撤回についてお尋ねでございます。
 武力行使を支持することは容易な決断ではありません。しかし、大量破壊兵器の脅威は、決して、我が国を取り巻くアジア地域も無縁ではありません。武力行使なしに大量破壊兵器が廃棄され得ない状況のもとでは、今般の行動を支持することは、私は、国家利益にかなうと考えており、撤回する意思はありません。(拍手)

 イラクへの武力行使に関する法的根拠についてでございます。
 岡田さんは、国連憲章違反だと言っていますが、私は、そう思っていないのです。国連憲章に合致する。
 その理由は、決議一四四一自体に武力行使を容認した規定がなく、同決議に従って安保理の審議が行われたことは、これまで繰り返し述べてきているとおりであります。
 我が国としては、査察官の累次の報告等で明らかなとおり、イラクが決議一四四一で履行を求められている武装解除等の義務を履行していないことから、さらなる重大な違反が生じていると言わざるを得ず、停戦条件を定めた決議六八七の重大な違反が生じていることから、決議六七八に基づき武力行使が正当化されると考えており、アメリカ、イギリスも同様の解釈をとっております。
 イラクでの査察の継続が認められなかった理由に関するお尋ねでございます。
 イラクが最近になって査察に小出しに協力しているのは、米国等の強力な軍事的圧力があってこそであります。イラクの姿勢が根本的に改められない限り、査察は有効たり得ないと思います。我が国を含む国際社会による懸命な努力も尽くされ、イラクの対応を根本的に変えるための見通しが全く見出せない状況のもとで、武力行使に至ったことはやむを得ないことだと思います。
 私は、ブッシュ大統領にも、また、シラク大統領にも、他の首脳にも、できるだけ平和的解決が望ましいということを何回も繰り返し訴えてまいりましたが、このような段階になって武力行使に至ったことは、私も残念だと思いますが、これはやむを得ないことだと思います。
 日米関係と我が国の国益についてでございます。

 我が国は、イラク問題につきまして、アメリカと率直な対話を行ってまいりました。武力行使を支持するということについても、日本国民の多くの方々が反対していることも私は承知しております。しかし、大量破壊兵器の脅威というのは、決して人ごとではありません。武力行使なしには大量破壊兵器が廃棄され得ない状況のもとでは、私は、同盟国として今般のアメリカの行動を支持することが国家利益にかなうと考えまして、これからも、日米、緊密な連携のもとに国際協調を図っていくつもりでございます。

 北朝鮮問題についてでございます。
 核問題を初めとする北朝鮮に関する諸問題を平和的に解決することについては、アメリカや韓国、中国、ロシアを含む国際社会の中で、意見が一致しております。政府としては、今後とも、日米韓三カ国の緊密な連携を維持し、また、中国及びロシアを初めとする他の関係国や関係国際機関とも協力していく考えであります。

 アメリカのいわゆる先制行動についてのお尋ねでございます。
 我が国として他国の国際法の解釈について有権的な評価をする立場にはありませんが、いずれにせよ、アメリカは国際法上の権利及び義務に合致して行動するものと考えます。
 なお、米国の国家安全保障戦略には、米国が脅威に対して先制的に対処するために必ず武力を行使するとしているわけではなく、先制を侵略のための口実としてはならない旨が明記されています。また、国家安全保障戦略は、国防政策を中心に広範な安保政策の基本的な考え方を述べたものでありますが、政府としては、特に、米国がテロや大量破壊兵器の拡散といった冷戦後の新たな脅威に対して断固たる姿勢で臨み、国際社会と連携しつつ強力なリーダーシップを発揮するという決意を同戦略において示している点を評価しております。
 国連という協議の場の必要性についてでございます。

 御指摘のとおり、二十一世紀の国際社会が直面している諸課題への取り組みに当たり、唯一の普遍的、包括的な国際機関である国連は各国の協議の場としても重要な役割を果たしていると私も考えております。今回の武力の行使は、関連安保理決議に基づくものであり、国連憲章の規定に合致していると考えております。(拍手)

[引用おわり]

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岡田克也、心の余裕。  

2011年11月17日 15時24分31秒 | 岡田克也、旅の途中


 岡田克也さんが心の余裕を取り戻したようです。いや、元々余裕を維持していたのでしょうか?

 民主党の岡田最高顧問はことし8月まで、幹事長として毎週月曜日、木曜日の午後4時(めど)に定例記者会見をしていました。その中で、ひとつ、私がとても気になっていたことがありました。

 それは今年はどこの球団を応援するかということです。

 例えば、2009年4月18日のブログでは

 「私は(略)この時期にどこを応援しようか決めることにしています。特に固定した球団というのはないのですが、1年間楽しめるところを選んで応援することを私のモットーにしています」

 「いろいろ考えたのですが、今年も楽天を応援しようかなと思っています」

 「ピッチャーの田中投手、マー君も、岩隈投手と並んで素晴らしいピッチャーに成長しそうですし、何よりあまりお金をかけないで頑張っているところが、大変好感が持てるわけです」

 このときは、岡田さんは野党・民主党副代表、要するにヒラ議員
でした。

 そして その年の10月19日。このときは外務大臣という重荷を背負っていたわけですが、

 「プロ野球の楽天が、クライマックス・シリーズへの出場権を得ることになりました」

 「連敗が続いて絶望的な状況のときもありました。しかし、野村監督のもと、無名の選手が非常に多いなかで、しっかり力をつけて頑張り、クライマックス・シリーズ出場まで決めたことは、私にとりましても大きな喜びです」

 そしてブラウン監督にかわった昨年は、4月30日のブログで「今年は、最初からつまずいて、どうしようかなと思っていました。別に、最近少し調子が上がってきたというわけではありませんが、しかし、やはり楽天の安定した先発陣、マー君や岩隈投手は、やはり魅力がありますし、そもそも、非常に弱いチームが野村前監督のもとで再生されて、そして、今回指導者が代わって、どうなるのかも非常に関心があるので、今年も引き続き楽天を応援しようと決めたところです」。

 ただ、いくら3位以内でクライマックスシリーズとはいえ、かなりこの時点で楽天は厳しい情勢でした。そして、その明晰にその分析ができているのに、「最初からつまずいて、どうしようかな」としながら筋を通すところに、1度目の幹事長時代に菅直人代表の民由合併をやめさせなかったり、、2度目の幹事長時代に解散前なのに、鳩山由紀夫代表の「最低でも県外」発言をたしなめなかったところにもつながっているような気がします。結局、昨年は楽天は最下位でした。

 そして、今年はここまでどの球団を応援しているのか明言がありませんでした。これは3月11日に東日本大震災があったからです。その後、5月の大型連休前後になってもブログでの明言がないので、岡田さんが心の余裕を失っているのではないかと思っていました。記者会見で私が聞いてみようかと考えましたが、3・11から8月までの震災国会中には、とても聞ける雰囲気や間(ま)がありませんでした。

 ことしは無いのかなと思ったら、きのう2011年11月16日付のブログで発表がありました。

[岡田かつやTALK-ABOUTから引用はじめ]

楽天イーグルス-来年こそは気迫を持って戦い結果を出して

プロ野球の日本シリーズが行われていますが、私的には、もうシーズンは終わりました。

今年も、パ・リーグはいつも通り楽天を応援しました。東日本大震災のあとだけに、大いに活躍してくれることを期待し、元大リーガーの補強もあったので、優勝もあるのではと期待しましたが、全くの期待外れでした。正直言って、途中から全く関心をなくしてしまいました。

来年こそは、星野監督のもとでしっかりと頑張ってもらいたいと思います。

しかし、そういう中で唯一の希望は、マー君こと田中将大投手が沢村賞を取ったこと、そして、その前提となる素晴らしい成績を収めたことです。気迫あふれるピッチングをしてくれました。被災者の皆さんにも大変な勇気を与えたと思います。

来年こそは、気迫を持って戦い、結果を出してもらいたいと思います。もう1年だけ、楽天を応援してみようと思います。

[引用おわり]

 たしかに、震災後の希望の星として期待された楽天イーグルスも、ちょっと後半戦は気迫に欠けていた面が見られ、5位となりました。
そして、岡田さんは相変わらず田中将大投手に目を付け、その成長を見守っている感があります。岡田さんの尊敬する人物は「織田信長」で、座右の銘は「大器晩成」ですが、傑出した人物に好感を持つというところがあるようです。あまり「多数派」は苦手なんでしょう。例えば、除籍後も、横粂勝仁・衆議院議員(30)について「気になっている」と発言しています。

 「途中から全く関心をなくした」としていますので、プロ野球開幕の4月ころは、野球も見ていたのでしょう。岡田さんは与党幹事長としてたびたび官邸を訪問して情報を共有しており、また住民票も東京のマンションに移しています。奥さんは医師免許を持っています。そして、資源エネルギー庁勤務の経験もあります。例えば、3月14日(月)の幹事長会見では「少なくとも今回、塩水を注入した原発などは簡単には復旧できないわけですので」と述べています。ホームページの議事録では「海水を注入した」と直してありますが、今ビデオで再確認しましたが、「塩水を注入」と言っています。このころに政治家や官僚、テレビ報道などは「海水注入」という言葉を繰り返しており、「塩水注入」という言葉を使ったのは岡田さんだけで、一般的用語にするため議事録は「海水」にしたのでしょう。原子力に詳しいことをうかがわせました。ただ、衆院議員になってからの20年間は、厚生、防衛、外務、環境、あるいは通商分野に興味が強く、資源エネルギーの方はあまり担当していませんから、「私も使用済み核燃料プールがあんなに原子炉の近くにあるとは知らなかったんです」と反省の弁を述べています。岡田さんは3人のお子さんを大学卒業まで育て上げていますから、今、子育て中のママさんとは環境が違います。ただ、少なくとも、私は、岡田さんがああやっているのだから、大丈夫なんだろうな、と思っています。

 岡田さんは、「日本シリーズが行われていますが、私的には、もうシーズンは終わりました」としています。今年の日本シリーズには、福岡ソフトバンクホークスが今の球団名になってから初めて出場しているほか、落合監督の退任が決まっている中日ドラゴンズが出ています。ところで、岡田さんの実弟は中日新聞社(東京新聞)の編集局部長ですから、中日グループの幹部社員です。また、岡田さんのお父さんが事実上創業し、お兄さんが社長を務める「イオン」は戦後最初に四日市で新聞チラシを出した会社ですから、中日新聞社に対してはある程度の影響力(トヨタ自動車ほどではないが)あります。でも、「私的には日本シリーズが終わった」。金持ちも楽じゃないですが、岡田克也さんの2011年は、大きな政治家としてのステップになったことは間違いありません。岡田さんが心の余裕を取り戻したと言うより、岡田さんはずっと心に余裕があったようですが、国民の心持ちをいろいろと見ていたのだと考えます。

 もちろん、「3・11」「東北」を風化させては、忘れてはいけません。

 なお、当ブログとしては、応援する政治家に関しては、当分イチイチ考えなくて良いので楽だとホッとしています。

 日本をあきらめない。岡田克也。

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野田首相、玄葉外相、安住財務相がアジア太平洋新時代の幕を開ける APEC2011ハワイ

2011年11月17日 07時30分06秒 | 岡田克也、旅の途中

 さあいよいよ、アジア太平洋新時代の幕開けです。

 80年前の大恐慌、関東大震災の後は、大東亜共栄圏という実態のない(ただし、満州国に関しては実態がありすぎ)ブロック経済化の肉付け作業、すなわち太平洋戦争で、ジリ貧、ドカ貧のすえ、主権を失った日本。

 しかし、今はデモクラシーとグローバリゼーションとインターネットの時代。同じ失敗はありません。民主党の岡田克也最高顧問は昨年11月4日の記者会見で、「APEC(アジア太平洋経済協力会議)が横浜で開催されるということで、非常に大きな会議で、なかなか大変なんですね。(略)いままでは成功の歴史ですから、やはりアジア太平洋圏で、自由経済、自由市場というものを努力しながら作ってきたと。そして確かにAPECができて以来、アジア太平洋地域の経済発展というのは世界の中でも抜きん出ているので、そういう成功の上に立ってさらに歩みを進めていただきたいと思っています」としゃべっています。

 歴史の教科書に載るでしょう、2011年11月12日・13日の「APEC USA 2011首脳会議」。今年1年間、アメリカが議長国だったので、「USA 2011」という表記にしたのでしょうが、太平洋の真ん中「ハワイ ホノルル」です。私たち日本人にとっても縁のある土地です。

 昨年に続き、ことしも民族衣装は見送られたので、野田佳彦さんのアロハシャツ姿は残念ながら見られませんでしたが、集合写真では、オバマ米大統領とブルネイ・ダルサラーム国のボルキア国王陛下に挟まれ中央真ん中に収まりました。


 玄葉光一郎外相は、ヒラリー・クリントン米国務長官と会談しました。冒頭、英語が堪能な玄葉さんがヒラリーさんにジョークを言って笑いが起こるシーンがありました。玄葉さんは、第146代外相にして、初めてのミッション系(キリスト教カトリック)大学卒業の外相です。上智大学法学部卒です。とはいえ、同じく聖心女子大学卒業の緒方貞子さんが国連難民高等弁務官(UNHCR)になったのは21年前ですから、いかに日本が人材活用システムができていない国かということがつくづく感じます。これではダメです。今後、国民は英語ができない政治家を首相、外相や、接遇の多い衆議院議長、参議院議長などに起用しないよう監視を強めるべきです。


玄葉光一郎外相とクリントン国務長官、2011年11月11日、米国ハワイ・ホノルル、外務省ホームページから。

 英語文化(源はキリスト教文明)への深い理解があるから、玄葉さんのジョークは受けるんですね。これは東大法学部のガリ勉英語ではできません。外相会談の細かい事項は、官僚の通訳に任せて、もちろん、日本を代表している立場である以上、外交では独立国である以上、国語(日本語)を使うのが前提です。しかし、外交といっても、要は人と人とのつながりです。

玄葉外相の軽妙洒脱なトークで盛り上がるクリントン国務長官ら。右端は経産大臣の枝野幸男さん。2011年APEC閣僚会合、米国ハワイ・ホノルル、外務省ホームページから。

 前専務理事のストロスカーン容疑者逮捕の後、IMF専務理事になったラガルドさんと、安住淳・財務大臣、2011年11月12日、ハワイ・ホノルル。財務省ホームページから。

 野田首相、玄葉外相、安住財務大臣が日本を大きく前に進めました。TPP(環太平洋パートナーシップ条約)の交渉の事前協議に参加しました。これは国論を二分するどころから、家族も二分する問題です。たいてい、親は反対で、子は賛成でしょう。親は変化を避け、子は変化を求めます。大震災、大恐慌の後、大東亜共栄圏に踏み出した過去を教訓に、「程度問題」で日本を豊かにしていく。第一の開国のときの福井藩士・益田孝を知っていますでしょうか。彼は横浜の地で三井物産を創設し、初代社長になりましたが、直後に三井本家から出資金を全額引きあげられ、苦労しました。日本のコメを日本の船で欧州に輸出して大もうけしました。またミナト浜の仲間のために、「中外物価新報」を創刊しました。これが今の「日本経済新聞」です。私は日本経済新聞横浜支局記者を3年半務めましたが、例えば「サカタのタネ」の本社は横浜にあります。意外でしょうが歴史を考えれば当然です。横浜スタジアムは「日本最初の野球場の跡地」だし、日本最初のゴルフ場、日本最初のテニス場、日本最初の競馬場と「日本最初の~~」というありきたりな定番記事はカバンの中いっぱいにネタが詰まっていて、むしろ書ききれないのが悩みでした。でも簡単な話です。野球も、ゴルフも、テニスも、競馬もすべて太平洋(+大西洋)を渡って、横浜港から上陸したのですから、最初にプレーされたのが横浜なのは当たり前のことです。そして、対岸に羽田空港ができてからも、やはり貨物は船便が主流ですから、「横浜という街は、隣町である東京という街よりも、勤務時間は3分の1、収入は8割以上、可処分所得は同じぐらい、可処分時間は2倍(すべて当ブログ調べ)」というのんびりした豊かな街です。ワールドカップ以降少し失速しているようですが、住みやすい街です。TPPは良い、悪いではなく、程度問題です。ただ、「松岡洋右が国際連盟に脱退状を突き付けて会場から退場する」シーンを拍手喝采するようではいけません。外交交渉ですから、間接デモクラシーとして、信頼できる人間に任せましょう。とにかく、「松岡洋右は出すな」ということは、これは推進派、慎重派、反対派とも共通認識にしたいところです。

 追伸。

     鉢呂吉雄さんもよく頑張った!!


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肩を叩いて「よお、よろしくな」、真後ろに座る、同じセリフを繰り返す 

2011年11月07日 10時17分09秒 | 岡田克也、旅の途中

 日本国憲法第73条には、内閣の職務として、「3、条約を締結すること。ただし、事前に、時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする」と書いてあります。条約の交渉に参加することは内閣が判断すべきで、議会は後から承認する。これはデモクラシーのルール。例えば、アメリカでは、ウッドロー・ウィルソン大統領が国際連盟を提唱しながら、モンロー元大統領の外交的孤立主義の伝統を残していた米議会が承認せず、国際連盟発足時に同国が参加できなかったのはよく知られているところです。わが国は、日清戦争、日露戦争のおかげで、4ヶ国だけの理事国入りを果たしました。が、リットン報告書に反発した松岡洋右が国際連盟を脱退し、先の大戦へ。そして「航空機燃料の割り当てゼロ」となり敗戦します。TPP交渉に参加するか、しないかは国論を二分する争点です。しかしいずれにしろ、松岡洋右のように国際的に孤立することだけはあってはなりません。

 自民党の予定調和的な党内対立とは打って変わって、民主党内で政府外議員の意見集約に手間取り、政府の意思決定が遅れる事態が続いています。

 「復興増税」こと「復興債の償還の道筋を明確化する作業」のプロジェクト・チーム(PT)では、民主党議員410人、うち政府外議員340人のうち、50人ほどが国会閉会中にもかかわらず上京し、反対論を唱え続けるシーンが続きましたが、最終的にとりまとめに成功しました。

 ここでまとめ役を買って出たのが、岡田克也・民主党最高顧問。

 PT座長や事務局長が目を付けていた小沢チルドレンを見つけると、後ろから肩を叩き、
よお、よろしくな」。
 この後の会議では、座長らとは離れ、ヒラ議員席に。しかも、当該小沢チルドレンの真後ろに座りました。

 翌日の会議でも、同じく、当該小沢チルドレンを見つけると、後ろから肩を叩き、

 「よお、よろしくな」。

 この日もほぼ真後ろに席をとった岡田最高顧問。

 反対論をチルドレンが続けると、岡田さんは立ち上がり、「私はこの問題で党内の意見の集約はできていると考えています。そろそろ採決すべき時期だと思います」と発言しました。しかし、この後もチルドレンは再度マイクを握り反対論。そうすると、岡田さんは再びマイクを握り、「私はこの問題で党内の意見の集約はできていると考えています。そろそろ採決すべき時期だと思います」とまったく一字一句変わらぬ意見を述べました。

 この後、座長が採決をとると、復興債の償還財源の道筋の民主党案は可決され、政府に答申されました。

 これについて、小沢チルドレンは「あの人、大人げないよ」と不満たらたらですが、私が小選挙区の対抗馬(自民党比例当選)について聞くと、黙ってしまいました。

 その点、偉いのは玄葉光一郎外相。前回の第45回衆院選で、JAの政治団体である「農政連」の推薦を単独で受けたのは300選挙区中福島3区の玄葉さんが野党・民主党ではただ一人なんです。このほかに、小選挙区で自民党候補とともに推薦を受けたのは、「TPPプロジェクト・チーム」座長の鉢呂吉雄さん(北海道4区)、篠原孝さん(長野1区)、羽田孜さん(長野3区)らがいます。昨年の参院選では与党なので増えています。そのただ一人、農政連の推薦を受けた玄葉外相がTPP交渉参加を推進しているので、大したものです。やはり苦労はあるようで、7日付朝日新聞によると、10月21日に福島県内(全県?)の農業者らによるTPP反対集会で「現場(ゲンバ)を知らない玄葉(ゲンバ)が何をやっているんだ」とダジャレで批判されたそうです。昨日は県都・福島市でJA幹部に対して玄葉外相は「何もやらないと福島も日本もどんどん縮み志向になる」と言ったところ、JA幹部は「交渉に入ろうとしている人に何を言っても難しい」と話したそうです。ただ、福島県議選(20日投開票)に立候補する元秘書4人の応援演説では、最後とはいえ、「今のままでも農業は駄目になる。仮に交渉に入ったら、国益確保のために攻めるべきは攻めて守るべきは守る」と語ったそうですから、すごいと感じます。

 蛇足ですが、日本に入るコメ(精米)に対する関税は778%だそうですが、小麦は252%なんですね。ただ、わが国の小麦のカロリーベースでの自給率はわずか7%。ですから、小麦は当然、農業者戸別所得補償で現在の国内での生産水準は維持すべきです。ただ、今現在、小麦がこれだけ高関税ということは、パンやうどんの値段は高すぎるんじゃないでしょうか。いろいろなことが見えてくるTPP交渉。人の内面も見えてくるかも知れませんが、とにかく、「松岡洋右」だけはいけません。

 
[画像]野党・自民党の野次を制した岡田克也外相、2010年2月1日の衆院本会議。

 
[画像]民主党政府外議員の野次を注意する岡田克也幹事長、2011年。



 岡田さんは今週は衆・予算委筆頭理事の仕事があるのですが、あんまり反対論を唱えている議員は、岡田さんに後ろから肩を叩かれちゃうかもよ。間接デモクラシーですが、私たち国民も、難しいことはよく分からない人も、岡田さんと玄葉さんに任せておけば大丈夫です。日本を、あきらめない。岡田さんと玄葉さんに任せておけば大丈夫です。

 なお、第3次補正予算案は、一般会計の歳入が11兆6832億円で、そのうち、11兆5500億円を新設する「復興債」でまかないます。この「復興債」は、きょう衆院本会議で審議入りする「東日本大震災の復興財源の確保に関する法案」(179閣法4号)が成立して初めて発行が可能になります。ただ、この復興債の償還期間が10年間なのか、それとも、15年間か、20年間か、3党(民主党・国民新党、公明党、自民党)で合意できていません。この3党幹事長協議がきょうある予定でしたが、輿石東・民主党参院議員会長(兼)党幹事長が長崎での参院議長の告別式に参加するため、あすに延期されたと報道されています。しかし、この法案が修正可決のめどが立たないと、第3次補正の財源の98%が確保できないことになります。兼務できないのなら、どちらかを辞任したらどうでしょうか。日本を、あきらめない。そのために残された時間はそんなにたくさんありませんから。



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