昨日の記事の続きでアユの放射性セシウム汚染が気になったので、アユ釣りの時期には早いのですが利根川水系の天然遡上アユについて一寸だけ考えてみました。
以前、このブログに書いたことがありますが、利根川水系の天然遡上アユは東京湾で育った仔魚が江戸川を遡上してくる系統に大きく依存しています。
東京湾では江戸川河口や荒川河口周辺の浅瀬がアユの「ゆりかご」で、ここで育ったアユが春になって川に上ってくるのですが、先日のNHKスペシャル(見逃した方はココ)では、この河口付近の汚染が進んでいると伝えていました。
実際、昨年の5月に利根大堰で採捕したアユから150bq/kgの放射性セシウムが検出されています。(群馬県ホームページ)この時点では暫定基準値の500bq/kg以下ということで問題なしだったのですが、今年4月からは100bq/kgになるそうです。
さて、遡上時期のアユ仔魚は約2~4g程度なので1kgに250~500尾もの数がいます。これが大きくなって40g程度以上に成長した時に釣りの対象となるので、川へ遡上したのちに放射性セシウムをさらに摂取しなければ、放射性セシウムの量は体重が増えた分だけ相対的に10~20分の一以下になるはずです。遡上時に150bq/kgあっても15~7.5bq/kgになる訳です。そして生物学的半減期を加味すれば、さらに低くなることが予想されます。
ただ、この予想通りに行くかどうかは実際に調べなければ分からないのだと思います。そこで、検査結果が出るまでは天然遡上河川には人工種苗アユの放流を控える方が得策かも知れませんね。(汚染を嫌って釣り人が入らなければ元も子もありませんから・・・)
天然アユが遡上できない上流にだけ放流した方が万一汚染数値が高くても天然遡上アユと人工アユの分離が出来ていれば、安心してアユ釣りができるということなのです。天然アユを遡上させようと魚道整備をしてきた水産行政にとっては非常に残念なことなのですが・・・こんなところにも原発事故は暗い影を落とし始めているのです。
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