クロアチア対ベルギー後半

0-0で折り返した前半は堅い戦い方でした。どこかで勝利が必要なベルギーが動いてくるはずという予想は当たり、メルテンスを下げてベンチに置いていた手負いのエースストライカー、ルカクを投入してきました。インテル(イタリア)やチェルシー(イングランド)でエースストライカーのルカクはポストプレーヤーにしてはスピードがあり、ベルギーがカウンター狙いをしても機能させられるFWですが、この試合では彼が敗因になります。

ベルギーのマルティネス監督は、FWをルカクとTアザールに交代させ、思い切ってアーリークロスでもいいからルカクに入れる攻めを意図してきます。写真のデブルイネも、多少守備のタスクを犠牲にしても思い切って個人技で仕掛けます。そのため、このゲームは前半の静かな展開が嘘のように打ち合いになります。ルカクのところにもボールが入り始めます。

それをルカクが決められなかったことが、このゲームを決めることになります。彼にとっては簡単だろうと思えるようなボールを、外したりポストに当てたりしていました。1点入れば圧倒的に優位に立てるこのゲームは、ベルギーもクロアチアも攻めるものの、両チームともにあと一歩が決まらない試合になります。こうなってくると、クロアチアが持っている「我慢強さ」が生きてきました。

クロアチアも、逆サイドに回しながら空いているMFを利用した組織サッカーを見せますが、次第に0-0の引き分けが濃厚になると無理をしなくなってきました。最後の5分はベルギーが怒涛の攻めを見せますが、クロアチアDFグバルディオルを中心に体を張った守りを見せ、ルカクが決定機を外したこともあって、試合はクロアチアの意図通り0-0の引き分けに終わります。

日本代表の決勝トーナメント1回戦の相手がクロアチアに決まったとき「クロアチアなら勝てる可能性がある」とちょっと期待していました。しかし、この相手は接戦にすると驚異的な粘りを発揮するチームでした。そのクロアチアにPK戦で敗れ、惜しかったと思えた日本代表でしたが、欧州選手権などで何度もPK戦を勝ちあがっているクロアチアに、そういう混戦のノウハウがあったと、今では思えます。